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私と娘【おわり】
「”ばあば”って、九州のおばあちゃんのことなの?」
娘に問われ、私は顔を上げる。てっきり話の途中で眠ってしまったと思われた娘は、布団の中でこちらを見ている。
「違うわ」
そう答えた私に、娘は不思議そうな顔をする。少しの沈黙の後に、ひいおばあちゃん?と聞く。
いいえ、と答えた私は娘の頭をなでる。竜のうろこのように、少しざらついた手で。
「ねえ、続きを教えて」
娘は言う。
「それから、その男の人と女の人はどうなったの?」
私は笑って、窓の外を見る。いつか、「ばあば」がそうしたように。
-完-




