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昨日は休日だったんです
布団の中で気がついたら今日だったんですよ
大人しく本を読んでいる少女を見つつ
私はあることを考えていた。
少女の名前だ。
ポチ、タロー、ハチ、タマ……あ、最後のは猫か……
何時までも名無しのまま置いておくのも可哀想だと思ったのだが……
ーーーーーー
「私にはネーミングセンスが足りない……」
「それでワシの所にこられても困るのじゃ……」
学長室に突如現れたのだが爺はそこまで驚かなかった。
「ねぇ、良い名前無い?」
「だからこられても困ると……」
「まぁ、爺だしそんな期待してなかったけど。」
私はそれだけ言い残し学長室を後にした。
ーーーーー
学長室を出た私は学内を歩き回りながら名前を考えていく。
ミノ、タン、ハツ、ハラミ……
お腹すいたなぁ……
私の足は自然と学食へと向かっていた。
「いつ来ても人気ね。ここ」
学生達の声が響く学食
学内の関係者は無料で利用できるこの場所は集まるのに最適で授業の合間に集まる強者もいるぐらい
私は一ヶ所不自然にすいてる席へと座る。
私が特製の結界を張り私専用の席にした所だ。
席に座ると一人のウェイトレスが私に話しかけてくる。
「あら?魔本さま?何時もよりお早いですね?」
この学食職員で私の存在を認識できるウィル・ヘルム
爺の旧友で結構な歳の筈なのに見た目は20代のばけーー
「魔本さま?」
ーー女神さまです。
「あらあら、サービスしときますねぇ~」
そういって離れていくウィルさん。
私の食べるものは毎回変わらないので良いのだがホントに爺とは比べ物になら無い位凄い人だ
なんで、ウェイトレスなんてしてるのだろう?
そういえば少し前に契約を迫ったのだが……
「あらあら……私にはもう払える代償がありませんよ?……」
と断られている。
魔本との契約数は、契約した魔本によって変わるが大体は一冊一人
というのも求める知識を提供し代償を貰うのだが、対象が求める知識はその魔本の全てであることが多く
尚且つ、極めた知識は代償も大きい
その為私のように幾つも幾つも契約を交わせるのはごく稀だ。
さらに言えば私の知識は異界産
この世界の情報ではないので情報、更には力の対価は私が自在に決められる。
例えば、この世界では発達してない科学技術
それを石ころのような安易な物を対価にも出来るしその命を対価としても設定できる。
なんでもし放題とも思えるが制限もある。
もし、安易に私の内部情報をばら蒔けばーーが私を削除しに来るだろう
ーーは、今の私には表すことができない存在
格上、というか存在そのものが上すぎて誰かにそのーーという名前を伝えようものなら聞いたそいつもろとも削除
魂を刈り取られ
その場で居なかった事にされる。
とまぁ、そんなーーに目をつけられながらの生活だが誓約さえ守ってれば干渉されない。
今は危ないことはなにもない
「お待たせしましたぁ~。どうぞ」
ウィルさんがプレートを置いていきその場を去る。
目の前には白色で湯気のたつ大量の粒々
にかかる茶色のソース
ソースにはゴロゴロと大きな野菜が幾つも入っている一品……
カレーライスだ。
いや、普通に言っても良かったがね、異世界風にかっこよく言いたがったが私の語学力が足りなかった。
なに、白色の粒々って
スプーンで掬い口に運ぶ
味はいまいち
私が知ってるカレーにはまだ及ばない
なにが足りないんだろうなぁ……
諦めつつ口に運ぶ、食べれなくないから良いか
というかそもそも私には食事は必要ないが一種の娯楽である。
今は前世で食べたカレーを再現するのが楽しみの一つに加わってる。
そのカレーを口に運びつつ頭の隅に追いやられそうになった少女の名前を思い出し、考えるかとしたとき
「ご一緒して良いですか?」
私にかけられた言葉で全てを忘れ
興味はその声をかけてきた存在へと写った。
この小説は結構頻繁に時間が飛びます。
話の終わりだと特に……
次回は続きですよ……多分