実菜と親友
女の子と女の子。
「実菜が好き。」
絞り出したように震えた声で、彼女は大粒の涙をボロボロと零してそう言った。
緊急事態発生。
小学校からずっと一緒で、ずっと親友だと思っていた同性から告白された時の正しい答えを、誰か教えて。
人間関係とか、感情とか、そういう一番大切な事を学校は教えてくれない。
私は今結構つらい状態だけど、目の前の彼女はきっと私よりもっと、つらかったんだろうな。
高校?中学?それとも小学校から?いつから私を好きだった?
今まで私に好きな人ができた時、どんな気持ちだったの?
こういうことを聞きたいけれど気になるけれど、絶対に彼女を傷つけてしまう。
私は言葉を飲み込んで彼女の涙を拭う。
「泣かないで。」
我ながら結構正しい返しだと思う。彼女は私の手を離させてまた泣いた。
ちょっとだけショック。
「ごめん、本当、ごめんね。実菜に触られるだけで、くるしい、の。気持ち悪いよね。」
気持ち悪くなんかはないが、言葉が出なかった。
「いつから?」
「初めて会った時から。天使みたいな人だと思って、それからずっと、実菜が、好き、だった。
言っちゃったら、もう友達じゃいられないって、今までずっと言わなかったけど、ごめん、もう、むり。」
そう言って泣き続ける彼女はとても綺麗で、儚い物のようで、同時になんだか裏切られた気になった。
親友は、最初から友達ですらなかった。
「じゃあ付き合っちゃおっか、私たち。」
自分が何を言っているのかよくわからない。
言葉の意味が理解できない。
私がそう言うと彼女は眼を見開いて、ほんのちょっと困惑したような顔をした。
多分、私は彼女がいないと生きられないから、彼女が望むなら、
それで一緒にいられるなら、
全然、それでいい。