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-010 『ただし、いたのは空き巣でなく』

「清司、今日の晩御飯は何がいい?」


「そうだな、なら魚料理を頼む」


「うん、了解。じゃあ、今日はアジフライにするわ」


「おぅ、まかせた」


 そんな風にのんびりと話しながらの下校。相手は勿論、ペットボトルに入ったライムだ。


「それにしても、慣れたよなぁ」


 彼女が来てから今日で六日目の金曜、その扱いにもいい加減慣れてきた。今だって、独り言に思われないよう、話すのは携帯電話を持ちながらだ。


「でも慣れないこともあるんじゃない?」


「……あんなことには慣れたくない」


「えー、あたしは清司の女装、結構似合ってると思うけどな」


 ――そう、女装である。


 五日前、ゲーセンで部長が応援すると言っていたこと。それは、俺が『実は女装趣味だった』という噂に対してだったのだ。


 あの日、俺が女性服や下着を買うところ、さらに(傍目には)一人でプリクラを撮る姿まで見られていたのだ。こちらが相手を知らなくても、文芸部の知名度で俺の顔は知れ渡っていたらしい。


 今まで自分のことはあまり気にしていなかったが、教室で同級生からそのことを聞いたときには死にたくなった。文芸部という存在が酷く恨めしい。


「お前は当事者じゃないからそんなことを言えるんだよ。似合ってるとかそういう問題じゃない、アレはホント精神的に辛いんだ……」


 昨日などは、面白がった部長に女装をさせられもした。嫌がるといきなり意識を奪われ、気がついたときには化粧をして女子の制服に着替えさせられていたのだ。


 確かに、我ながら似合っているとは思った。だが、俺は男だ。しかも、制服を取り上げられ、女装姿で下校させられるなんて……。幸い、別人に見えるほどの出来栄えだったためにバレはしなかったが、精神的苦痛に変わりはない。


「もうその話は止めてくれ、欝になる……」


「まぁ人の噂も七十五日と言うし、そのうちみんな忘れるはずよ」


「だといいんだがな……」


 現在俺は、女装趣味なうえ一人でプリクラを撮るのが趣味で、さらにライムと会話するのを見られたのか霊能力者とまで言われている。他の二人と比べても見劣りしない非常識具合だ。俺は一般人なのに……。


「……ん?」


「どうしたの?」


 アパートに着き、ドアを開けようとして違和感に気づいた。


「鍵が開いてる。ちゃんと朝していったと思うんだが……?」


「そ、それって……」


「もしかしたら泥棒かもな」


 まぁそんなことはなく、俺の勘違いという可能性が高いが。


 ガタン。


 部屋の中から、何かが落ちる音がした。耳を澄ませば、まるで探しものでもするかのような、ガサゴソという不躾な音が聞こえてくる。


「ち、ちょっと、どうするの? 誰か中にいるみたいよ……」


「覗いてみるしかないだろ……。相手がもし本当に泥棒なら、……あ」


 部屋のなかを覗いて、正確には部屋を荒らす人物の手を見て、血の気が引いた。

しかも、最悪なことに目が合ってしまう。


「なによ、そんな恐ろしいものを見るような目をして?」


「逃げるぞ!」


「もうっ、いきなりなんなのよっ!?」


 状況の飲み込めていないライムを抱えて、一目散にアパートから逃げ出す。逃げる当てなどないが、とりあえずここにいたらヤバイ。


「なんで、拳銃持った女が部屋荒らしてんだよ!?」


「なっ、なによ、それっ!?」


「俺が知るか! 理由はあっちに聞いてくれ!」


 後ろから部屋を飛び出した女が追ってくる。住宅街だから、そうそう拳銃は撃ってこないだろ、


「止まりなさい!」


 渇いた音。何か風を切る音が聞こえたかと思うと、前方の民家にあった植木鉢が破裂する。


「マジかよ!?」


 容赦なく撃ってきた!?


 今のは運よくそれてくれたけど、このまま逃げれば撃ち殺される。流石にこの歳で死ぬのはごめんだ!


「一体何したのよ、あんたっ!?」


「どう考えてもお前がらみだろうがぁぁぁぁぁぁ!!」

そんなわけで更新

なるたけ本編である下半身更新の日には更新して行きたい予定


今回も読んでいただき有難うございました。

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