第2話~気になるあの子~
くっそー…。
放課後。
授業に遅刻した罰として、俺は居残りさせられている。
あのバカが…!
脳内にケラケラと笑うリコの顔が浮かぶ。
ぼっちで補習とか、悲しすぎる!
何で俺だけなんだよ!
教台からの先生の視線が痛い。
俺はぼーっと漂わせていた目を、配られた数学プリントに戻した。
せめてあの子と一緒だったら……!
残念ながらヘッドホンは鞄の中。未来予知したいができない。
俺があきらめた瞬間、バタバタという足音が廊下から近づいてきた。
もしかして…!
バンッ
教室の戸が勢いよく開き、一人の少女が飛び込んできた。
「遅れてすみませんっ!」
白いふわふわの髪に綺麗な顔。
俺が待っていたあの子、榎本ネネだった。
「また遅刻か。まあ、仕方ないだろう。プリントだよ。」
榎本さんはプリントを受け取り、席に座った。
榎本ネネ、売出し中のモデルだ。
仕事続きで学校を休み、補習に来るのは毎回のこと。
そしてそれが終われば、また仕事に戻っていく。
頑張る彼女に俺は少し惹かれている。
テレビや雑誌の榎本さんはどこか硬いところがある。
「うわあ…分かんない…。」
プリントを抱えてあたふたする榎本さん。
補習のときの榎本さんは自然だ。
だから補習も悪くない。彼女といるときだけだが。
俺はシャーペンを握り締め、次の問題に目を通した。
続く☆






