転生2.王を超越する者
≪SIDE零夜≫
――チュンチュン。
あさ、すずめの泣き声で目を冷ましたおれは、
「お早う。リスティーナ。」
隣ではだかで寝ていたリスティーナをそっと口付けをして起こした。
「アッアン。おはようございますレイヤさま。」
いきなり農耕なキスを躱されて、リスティーナはびっくり仰天して体を起こしたが、じぶんが全裸だったことを思い出して、はずかしそうに体をかくした。
おれははじらうリスティーナを見て、夕べあれだけのことをしたのに、まだはじらうなんてはじらいが残っていてかわいいとおれは思った。
あれからおれたちは気絶した奴隷商人を起して脅して蕎麦にいた奴隷の少女、リスティーナの所有権を脅し取り、最寄りの町にいくことにした。
えっ奴隷商人? もちろん放置ですよ。
身ぐるみ剥いで置いてきたから、今頃魔物のエサじゃないですかねwwww
最寄りの町についたおれたちはとにかく疲れていたので宿を取る名案をおれの提案でおもいついた。
おれはリスティーナにも一部屋をとってあげようとおもったのだが、
「ど、奴隷がひとり部屋をとるなんてとんでもないですッ!!」
といわれたのでおなじ部屋を宿にとった。
しかしすごく美人なリスティーナといっしょの部屋にいたらいくら針山のうえで寝る人よりガマン強いといわれたおれだってガマンできない。
だが結論からいうとおれはガマンする必要なんてまったくなかった男と女がおなじ部屋に宿をとったわけだからリスティーナも覚悟はあったのだ。
「れ、レイヤさまになら・・・////」
といったのでおれは全然ガマンせずにリスティーナを抱いた。。
リスティーナは当然処女だったが、おれは当然童貞などではなく、百戦錬磨でとてもうまかったので、
「アッアン、こんなのはじめて・・・。」
といってリスティーナはあえぎまくった。
それからリスティーナを何百回も絶頂させ、寝むったのはほんのついさっきだった。
「そうだ。リスティーナ。これを着るんだ。」
リスティーナのまえの服はもうすりきれてボロボロだったしほとんどの場所がボロボロだったので、きのうの夜ぬがせたときにぜんぶ捨ててしまったのだ。
だから変わりにおれはゲーム時代にもっていたアイテムからメイド服とりだしてリスティーナにわたした。
「えっこんないい服を?!」
おれがわたすとリスティーナ驚いた。
リスティーナの話では、ふつうこの世界では奴隷にあまりいい服はふつうわたさないらしい。
しかしおれはそんなことは気にしない。奴隷だっておなじ人間なのだ。
それなのにひどい服を着せる人間の気がしれないしそんな人間はくずだ。やっぱりこの世界の人間たちはくずばっかりだとおもった。
しかし、おれがもっているのはメイド服。つまりメインのスカートがやたらミニなエプロンドレスに、装飾肩なホワイトプリムとオーバーニーハイソックスはあるが、下着のたぐいはもっていない。
ゲームでは中世設定ながら下着とかもちゃんとあったが、漫画とかではよく女性用下着売り場に男の主人公がいっしょにいったりするがあれは男としてどうかと思うのでおれはそんなものはみとめなかった。
「わるいな。これはイヴェントの報酬でぐうぜん手に入れただけだから下着はないんだが・・・。」
おれがもうしわけなくなっていうと、リスティーナは首をきつつきのようにはげしく横に降った。
「そっそんな・・・。こんなに立派な服をいただいたのに、下着まで貰ってしまってはわたしがこまっちゃいます!!」
「そっそうか。そういってくれると助かるが・・・。」
どうすればいいかおれは悩んだが下着はあげないことにした。
ここで空気の読めないやつならもうしわけなく思って下着を用意してしまうかもしれないが、そんなのは緒戦自己満足にすぎない。
自分のもうしわけなさをなくすために相手に物をあげるなんて本当のやさしさではない。
相手がこまるというのならあげないのが本当のやさしさなのだ。それがわからないから日本人の悪いところだが、幸いおれは国という目線を超越していたので涙をのんで下着をわたさないことも造作もないことだった。
「じゃっじゃあちょっとこれを着てみますね。」
そういってリスティーナが着替えると、おれは目をうたがった。
部屋に天使が光輪したのだ!!
いや、天使なんて生ぬるい。もはやリスティーナの美しさは天使なんて美辞麗句では表現不可能な形而下の事象に過ぎないと言っても過言ではないだろう。
メイド服を来たリスティーナは、まるで美の女神、この世すべての美と美貌を寄せ集めた純真無垢な天使そのものだった。
「どっどうですか?」
「すごいにあってるぜ。まるで美の天使みたいだ。」
「そっそんな!ほめすぎですよっ!!」
リスティーナはてれるが本当だからしかたない。
メイド服を来たリスティーナのかわいさはそこらのアイドルグループなんて相手にならないほどだった。ここが日本だったらすぐにテレビのトップアイドルにかけあがれるに違いないくらいのかわいさだった。
だがおれのリスティーナをテレビごしでも世の男どもが穢れた視線で見るのは不愉快だ。やっぱりここが日本じゃなくてよかったとおもうおれだった。
しかもリスティーナが来ているメイド服。ふつうのメイド服のような見た目にしか見えないが、じつはものすごい防御力と能力修正地をほこり、火と水属性への強い体勢があるだけでなく、水属性吸収効果と火属性無効科の効果までついているSS級の装備である。
これをつけていればリスティーナがたとえまた悪漢たちにおそわれても安心だろう。
おれも愛用の漆黒装備に着替えてふたりで下におりると、
「ゆうべはおたのしみでしたねww」
と宿屋の主人にいわれたのでむかついたので反射的にぶんなぐっておいた。
「はっはずかしいです!!」
リスティーナはてれていたが、ゆうべは
「アッアン、キモチイイ!! たまんない・・!」
「そっそんな・・・かっ堪忍してー!!」
「らっらめー!! とんじゃうー!!」
とハデに叶んでいたので、バレてもしかたないかもしれない。
だがリスティーナにはずかしい思いをさせたのはたしかなので、宿屋の主人はもう一発ぶんなぐってからぜったいにしゃべらないように口止めして、金貨一枚をにぎらせておいた。
「えっこっこれは金貨?こっこれいただいてもいいんですか・・?」
「どうせはした金だからな。おまえにやるよ。ただしその変わりだれにもいわないでくださいよ」
本当はなぐっておしまいでもいいのだが、それだとこいつがなぐられたとか軍隊にチクるかもしれない。
軍隊相手でも負けるきはしないが、そんなことになったらリスティーナがこまってしまうだろう。
度量の広いおれは、金をわたしてこの話を解決する頭脳はの解決策を採用したのだ。
どうせゲーム時代の金貨がインベントリの中に10000枚以上入っている。
1枚くらいは惜しくはない。
しかし、この世界の物価なら、あの金貨一枚で一般的な家族が一年間遊んでくらせるだけの金貨だろう。それをもらった宿屋の主人はいきなり土下座を始めた。
「あっありがとうございます!ありがとうございます!」
「ちょっちょっとやめてくれよ。はやく顔をあげてください」
こんな風に土下座をされたらおれがまるで悪者みたいだからおれはすぐに顔をあげさせた。
なぜ主人はこんな奇妙な行動をしたのか。くわしく事情を聴いた。
「じつは・・・。」
なんと話によるとこの宿屋の娘が病気になってしまって、高い治療費をはらわなくちゃいけないのに高すぎて払えなかったのでこまっていたそうなのだ。
ゆうべはおたのしみでしたねとかいうから余裕かと思っていたが、人生いろいろあるらしい。
もしかすると娘を救えない憤りが主人をゆうべはおたのしみでしたねに走らせたのかもしれない。
そう考えると主人にも校正の余地はある。
「ふぅんだったらこれではらえばいいじゃないか。」
「ははぁー。ありがとうござますぅぅ!!」
おれが金貨を押しやると、主人はそれこそ神様に向かって礼をするみたいな丁寧さな仕草で金貨を受け取った。
・・・こいつ、おれが神様ふみつけにしたって訊いたらおどろくかな?
そんなことをちょっと思ったがそれで今よりもっと尊敬されたりしてもウザいだけだからやめた。
土下座の店主に見送られ、おれたちは今度こそ宿のそとにでる。
「やっぱりいいことをした後は気持ちいいな。」
「はっはい!・・・やっぱりレイヤ様はやさしいかたです(ボソッ。」
「えっなにかいった?」
「いっいえなんでもありません!!」
やっぱり何かいっていた気もするが、べつにいいか。
「うーんどうすればいいかまったく検討もつかない」
宿屋を出たのはいいが、これからどうすればいいのだろうか。
まったく検討もつかなかった。
「あっそうだ!なら冒険者ギルドにいけばいいんじゃないでしょうか?」
するとリスティーナがナイスなアイデアを出してくれた。
「そうか冒険者ギルドか・・・。」
おれも『ナイトキング・オブ・ワールド』では冒険者ギルドにはおせわになった。いや、むしろお世話していたといっても過言ではないほどの活躍ぶりをみせた。
世界でも12人しかいないSSSS級冒険者、『アーサーテーブルズ・トゥエンティ・ナイト』の一員呼ばれ(しかも自分で名乗ったわけではなくて自然とだれかが言い出した)、まともなプレイヤーからの尊敬と、くずプレイヤーからの嫉妬を受けていたのだ。まあそういうのはどぶの腐ったにおいがするからすぐわかって瞬殺だったが。
「よしじゃあ行くか」
「はいっレイヤ様っ!!」
そしてギルドに付いたので、おれたちはためらいもせずに扉を入った。
周り中から不躾な視線が集まってくる。
たしかにリスティーナはかわいいからしょうがないとは思うがほんとにウザい。
今すぐ呼吸を止めてくれないだろうか。
しかしおれが少しオーラを出すとそいつらは静まった。
戦うものは自分より強い人間を本能的に悟って戦わないというのは有名な話だ。野生動物くらいの知性はあるようだった。
おれは周りからの畏怖と恐怖と憐憫の視線を受けて悠々と歩き出して受付にいった。
「うわっ!?」
受付にいたのはすごい美人で胸の大きいエルフだった。
おれは人を外見で判断したりすることはまずないが、その胸の大きさにはちょっとびっくりしてしまったGカップはあるだろうか。日本ではまずお目にかかったことないレベルの巨乳だ。
リスティーナが歌って踊れるスーパーアイドルだとしたら、このエルフの受付は超グラマーなグラビアアイドルだろうか。どちらにせよすごい美人だ。
「何か御用でしょうか?」
そういった声もすばやらしく、とてもきれいな声だった。
「きれいだ・・・。」
だから思わずいっていた。
「えっ・・・?」
受付の人驚いて声をあげた。
「いっいやなんでもないんだそれより依頼を見せてくれ。Sランクでいい。」
「えっSランクですって!?」
受付はお驚いていた。
なんだ?べつにへんなことはゆっていないが。
「カードを見てもよろしいですか?」
「あっああ。べつに問題はないが・・・。」
おれがカードをわたすとギルド員は、
「まっまさかっ!?いいえ、これは・・・!!」
と驚いたあと、
「あっこれ偽造じゃないのっ!!」
とんでもない濡れ衣をいい出した。
「なにをいってるんだ偽造なんかじゃないぞ!?」
もしや神様なにかトチッたかあのくずめとおもったが違ったらしい。
「いいえこれは偽造です!だって今はラングドシャ歴234年なのにこれは98年ってなってるわ偽造じゃなきゃおかしいもの!!」
なぜかカードの年代がずれたらしい。
そういえばクソ神様に転生のとき、この世界とはいったが年代はいわなかったのが裏目に出たので正しく時代を選ばなかったのかもしれない。
やっぱりあのクソ神様次有った時ぶっ殺すとか物騒なことを考えていると、ギルド員が騒ぎ出した。
「カードの偽造は重要な犯罪よ!最低でも30年は牢屋につながれて豚のような生活をするから覚悟しなさいよね!!」
「ちがうっ!!濡れ衣だ!!」
「言いわけは牢屋の中で30年ずっとすることね!ガード!ガード!」
ギルド員が軍隊を呼ぶ。
このままだとまずい。
「くそっこうなったらしかたない。女に暴力をふるったりはしないが・・・。」
おれはしかたがないので力ずくでも説得することにした。
「ガード!ガー、むぐっ!」
金髪ギルド員の口をふさいで黙らせ、そのまま髪をつかんで、おくの部屋にひっぱっていく。
おれにつかまえられたギルド員がさけぶ。
「なっなにするつもり!? あたしはギルド員なのよっ!? そのあたしにこんなことしてただですむと・・・アッなにするのやめてッ!!」
たしかに冒険者ギルドには王国に匹敵する程の力があるとされているから、そんなギルド員に暴力を振るったなんて噂がたったら大変なことになるだろう。
だがおれはそういう権力に任せて人を脅す最低行為が許せないタイプの人間だったので逆効果だ。
「うるさいッ!!さっきからおれはなにも悪いことをしてない善良な市民をつかまえて勝手なことばかりいいやがって!!お前みたいに傲慢で他人を思いやることができないやつは、一度しっかり躾けてやった方がいいんだよ!!」
ギルド員は最初は威勢がよかったが、おれの迫力にようやく核の違いを悟ったのか、ふるえあがった。
「ひっひい!!やめてさっきのはウソよじょうだんなの!」
「いまさらそんなことが通用するなら警察はいらないんだよ!!」
「アッアア!!そんな・・・!?」
そして、おれはこんどこそおくの部屋にギルド員をつれこみ、
「アッアン、キモチイイ!! たまんない・・!」
「そっそんな・・・かっ堪忍してー!!」
「らっらめー!! とんじゃうー!!」
「もう生意気なこといわないな」
「アッアン、こんなのはじめて・・・。」
「おい訊いているのか!?」
「はっはいごめんなさい!!もうご主人様には逆らいません!!」
五分後、ひみつの『教育』をしてもどってくるとそのエルフの受付嬢はすなおになっていた。
まあちょっとやりすぎておれのことをご主人様と呼ぶようになってしまったがしかたないだろう。
そのときなんとなく隣のリスティーナの目が詰めたかった気がするが、気のせいだろう。
「あっあのもうしわけありませんご主人様!この冒険者カードは五年以上更新されてないからもう無効になってるんです!」
「なんだとっ!」
「ひっひい!ごっごめんなさい!わたしが命をかけてギルドマスターを説得してカード更新させますからゆるしてっ!ゆるしてくださいおねがいしますぅ!!」
おれはギルド員の(名前はエイファシアというらしいと聞いた)あわれな懇願を訊いて、怒りをしずめた。
あまいとは思ったが、エイファシアだって今は精一杯やっているし、何より美人に涙はにあわない。
「いいよ。」
「えっ!?」
「ギルドランクは最低のEE-でかまわないから新しいカードを作ってくれ。」
「えっでもっそんなっご主人様っ!」
エイファシスはびっくりしたがそれは実はもっともなことだった。
ランクはEE-からSSSSSSSSSS+まであるが、上になればなるほどランクを上げるのは困難かつむずかしくなっていく。
それがSSSSSSSSSSランクからSSSSSSSSSランクにランクアップするのは不可能ではないかといわれる由縁である。
SSSSランクはさすがにそれほどまでの難易度を誇りはしないが、AからSになるのの100倍、いや、100倍の100倍くらいはむずかしいのではないかと考えられている。
その為なら家族も友人も愛する祖父母だって裏切るやつらがくずだがいるだろう。
そのくらいのランクをおれは無言でどぶに捨てようというのだからこれはびっくりしないほうが驚くくらいの驚くべき出来事だったといえる。
「最初からはじめるのでもご主人様の実力なら試験を受ければSランクからのスタートだって夢ではないのにそれなのに最弱のEE-ランクでいいんですか!?」
「ああ。めだちたくないからな」
おれはただでさえ太陽戦士ってゆうすごいクラスで目立つしリスティーナもかわいいから目立つ。
しかしおれはあんまり目立つのは好きじゃないのでそれは逆効果なのだ。
「EE-ランクなんて、子供でもならないスライムの一滴より弱いとされるランクですよ。こんなランクになったらきっといろんな人に馬鹿にされてしまいます。それなのにご主人様はそんな苦難の道を進むというんですか?」
「いや、いいんだ。それでやってくれ。」
最強から最弱への転落。上等じゃないか。
運命がおれをそうさせるなら、それにおれは抗ってみせる!!
「・・・わかりました。ご主人様がそうおっしゃるなら。」
エイファシスはそのときおれの覚悟をしっかり理解した様子だった。
すごく真剣な様子でおれに新しいカードを作ってわたす。
「あの、一応できましたけど、でも・・・。」
「いいんだっていったろ?まあその変わりすぐランク上げたいから、ランクSの依頼とかをおれに優先してまわしてくれよな?」
「はっはい!もちろんです!」
やっぱり美人の笑顔はいい。その笑顔をおれが守ったとなればなおさらだ。
ふたりで笑いあっていると、急に横から殺気が感じた。
「イツマデ、フタリデ、ワライアッテルンデスカ?」
あ、あれ?なんでだろう?
隣にいるのはリスティーナのはずなのに、すさまじく汗が止まらない。
「サッサト、ヨウジ、スマセマショウネ?」
「「はっはい!!」」
おれたちはそろってすぐに返事をした。
・・・それにしてもリスティーナさん、ちょっとキャラ変わりすぎてませんか??
「あっそういえば、ここらで悪徳商人のヘルマーンが指名手配されているのって知っていますか?」
「悪徳商人ヘルマール?」
「非道なことばかりする悪の商人です。でも、ものすごく強いAランクの取り巻きたちがいるから誰も手出しできないんです!」
「ふーん。世の中いろいろなやつがいるもんだな。」
しかしリスティーナの様子がおかしかった。真冬の野外でもないのにぶるぶる震えている。
「れ、レイヤ様。それって、わたしをつかまえた奴隷商人ですっ。」
「な、なんだとっ!!あのおれがぶったおしたやつらか!!」
おれは驚いたが、それ以上にエイファシアが驚いた。
「えっご主人様あいつらをやっつけたんですかっ!?」
「あっああ、そうだが・・・。」
あんな雑魚どもがAランクなんて嘘だろう。
全然歯ごたえなかったし。
まあおれが強すぎたという可能性もあるが。
「だっだったらついてきてください!!」
だがエイファシアは興奮するとおれのうでを取った。
それを見てリスティーナがむぅぅとハリセンボンのようにふくれる。
おれも腕にすごい胸が当たるのでそれどころじゃなかった。
「どっどこにいくんだ?」
「王城です!!」
「「えっええーーーっ!!うそーーーっ!!」」
というわけで、いきなり王城につれてこられた。
何でも指名手配した理由は王様だから、倒したやつは王様に謁見できるらしい。
はっきりいって有難迷惑での何物もなかったが、エイファシスのためにもすっぽかすと面倒だ。
エイファシアはツンデレぎみだがかわいいし、王城に行く前に宿によってあの大きな胸で楽しませてもらったりしたしなwww
「おっきなお城ですね。わたしお城って始めて入りました。」
まるでどこかの国のお姫様という隠し設定がありそうなリスティーナだが、王城に入ったりするのは始めてのようだ。初々しい感じが花蓮でいじらしかった。
だがおれは権力で相手を変えるなんてことはしない。
歩き方も実に堂々としたものだ。
腰がたたなくなったエイファシアの変わりの案内の人もひどく感心していた。
謁見の間にいっておれはまっさきにいった。
「ふぅん。あんたが王様か?」
周りから、
「なっ無礼なっ!」
「即刻獄門打ち首にしてやるぞっ!」
という声が聞こえたが無視する。
どうやらその程度の人間しかいないようだ。
「つまらないな・・・。」
そうおれは思ったからさっさと話終わらせようとした。
「あの商人の取り巻きを殺したのはおれだ。あと商人本人はその場に置き去りにしたぜ。じゃあもう用は済んだな行くぞ。」
そういって謁見の間に退出しようとおもったおれに声がかけられた。
「きっ貴様、この歴史あるベニエ王国の重鎮たちを前にして無礼千万であるぞ!
おまけにそんな薄汚い奴隷を連れて貴様は生きる価値もない奴隷と似たような存在だ!!」
それを訊いたおれは足を止めた。
「なん・・だと・・・!?」
だれがいったのかはわからなかったが、
「よくいった宰相サマ!」
「さすが宰相サマすばらしい!」
といったやつらからすると今いったのは宰相なんだろう。
見ると、やたら不細工な肥った男がそこにいた。
こいつが宰相だろう。
「今の言葉、すぐに取り消せ!」
おれは最大限の迫力をこめていった。
「なんだとっ?」
「リスティーナはおれの大事な仲間だ!そんな仲間を薄汚い奴隷だといったお前のくずな言葉を取り消せっていったんだよ耳が遠くなっちゃいましたかねー?」
最大限の侮蔑を込めていう。
「なんだとっ!そいつが薄汚い豚同然の最悪の奴隷という身分の女だというのは事実だろっ!帝政なんてするかっ!」
「・・・そうか。」
それを訊いてやっぱりおれは確信した。
身分だとか地位だとかは関係ない。やっぱりこの宰相はやっぱりくずなのだと。
くずほど身分だとか外見だとかばかりを気にして、まったく中身を見ようともしない!!
「なぁ。おまえに聞くが・・・。」
おれは底知れない核熱のマグマのような低い声でいった。
「オマエは、こいつみたいに肌がきれいなのか?」
「な、なにをいっている?」
そんなはずないのはわかっている。
宰相はひどい不細工で、肌だってぶつぶつだらけだ。
「オマエは、こいつみたいにつややかな髪をもっているのか?」
「きっ貴様・・・。」
絶句する宰相。
それはそうだ。宰相の髪は不潔な油でぎとぎとしていた。
「オマエは、こいつみたいに宇宙を映したみたいに神秘的な瞳を持っているのか?」
「う、うぐぐ・・・。」
宰相はとうとううめき声ひとついえずに黙り込んだ。
それはそうだろう。宰相の目は、豚のくずみたいなひどくにごった魚の目をしていた。
おれはとうとう抑え込んでいた怒りを爆発させた。
「お前らはこいつを奴隷だ薄汚いと罵ったが、この中でこいつよりも美人でかわいくて花蓮で美しいやつがいるっていうのか!こいつは奴隷だから劣っているんじゃない!外面だけを見て内面を見れないお前らのほうが本当は劣っているんだ!!」
おれの裂ぱくの叫びが響き渡り、
「れ、レイヤ様・・・///」
うしろでリスティーナがほほをそめた。
「く、ぅぅ。おぼえていろよっ!!」
悔しさが限界突破したのか、宰相は恥も外聞もなく逃げ帰った。
あとに残された重心たちはだれもが戸惑うだけで何もできなかった。
「やれやれ。国のトップたちがこんな様子じゃこの国も終わりだな・・・。」
そうやっておれが颯爽と帰ろうとしたとき、
「待たれよ!客人!」
一番の上座。天にまします玉座から、王が声をあげた。
この謁見の間に着てから始めて王様の声を訊いた。
以外とナイスミドルな声で渋かった。
だが、それとこれとは話がべつだ。
「待つ義理なんてない。本当はここであんたらを皆殺しにしてもいいんだぜ?」
それはただの脅しだったが、その場にいたみんなは本気だと勘違いしたのかみんな震えた。
だが王様だけは違った。
震えずに冷静になって支持を出した。
「あれを持ってこい!」
「しかしあれは・・・!」
「くどいぞ!わしが持ってこいといったらすぐさま持ってくるのだ!」
それで運ばれてきたのは・・・。
「あっあれはこの国に代々伝わる焼土下座という最大限の謝罪の意を示すときに王族が使う焼鉄板!!おやめください陛下!そんなことをすれば、陛下の前髪と額は・・・!」
「控えろ!客人に友誼をみせるためならば、私の前髪と額などやすいものだ!!」
そういって王様は熱されて湯気をあげる鉄板にむかって、土下座のポーズを始めた。
「本気なのか・・・?」
さすがのおれも、これには息をのんだ。
見ているだけで、あの鉄板の暑さははっきりとわかった。
あんなものに頭をこすりつけながら謝ったらただでは済まないだろう。
だが国王は、自分の所為じゃないのに自分の部下がやった不始末だからと鉄板に土下座して謝ろうとしているのだ。
並みの人間だったら絶対にこわくてできないことだった。
「馬鹿な宰相に変わってわしが謝罪する。本当にすまなかった。」
そういって、王様はゆっくりと頭をさげる。
そして、その額が焼鉄板につきそうになった瞬間、
「アッ・・!」
細いが力強く盛況さを感じる手が、その頭を止めた。
その手のもちぬし、それはもちろん、
「れ、レイヤ殿・・・。」
おれだった。
おれは国王が本当に焼土下座してしまうという瞬間に、秘儀テレポートワープを駆使して王様のもとに殺到、その顔を上げさせて窮地を防いだのだ。
「顔をあげなよおっさん。なんというか、感動しました。あんた漢だよ」
この、単なるEE-ランクの冒険者と、ベニエ王国国王の巡り合い。
これが世界を変える一瞬の分岐点だったとは、神すらもまだ想像すらもしてもいなかったのだった。