第十四話
トンネルの出口から差し込む微かな光が見えてきた。
スマートフォンの明かりが照らす前方に、開口部の輪郭がはっきりと浮かび上がった。
長く暗いトンネルを歩き続けてきた俺たちにとって、その光景は希望そのものに見えた。
「やっと出口ですね。」
エリスが安堵の息を吐いた。鉄パイプを握る手の力が少し緩んでいるのが分かる。
祭囃子の音は、いつの間にか完全に聞こえなくなっていた。太鼓や笛の音が消え、代わりに俺たちの足音だけがトンネル内にこだましている。
「音が止みましたね。」
エリスが振り返って言った。確かに、あれほど鮮明に聞こえていた音楽が、嘘のように静まり返っていた。
「ああ。でも、油断はできない。」
俺はスマートフォンの光を前方に向けながら答えた。この異常な状況では、静寂もまた不安の種になる。
俺たちはトンネルを抜けて外に出た。
そこには再び駅のホームが広がっていた。一瞬、きさらぎ駅に戻ったのかと思ったが、駅名標を見ると異なる文字が書かれていた。
『やみ駅』
月明かりが駅名標を照らし、その文字がはっきりと読み取れた。この駅も、きさらぎ駅とほぼ同じ構造をしている。
木造の小さな駅舎、コンクリート製のホーム、古いベンチ。配置や大きさ、すべてが酷似していた。
しかし、微妙な違いがある。雰囲気というか、空気がより重く感じられるのだ。
高い湿度のような、ねっとりとしたもの。
きさらぎ駅でも十分に不気味だったが、ここはそれを上回る重苦しさがあった。
まるで見えない重りが肩にのしかかっているような感覚だった。
「ここも駅なんですね。でも、なんだか……」
エリスが言いかけて、言葉を飲み込んだ。彼女も同じような違和感を感じているのだろう。
「ああ。気を付けよう。」
そう言うほかになかった。
とりあえず、俺は周囲を詳しく観察した。この駅も先ほどと同じようにフェンスに囲まれており、その向こうは深い闇が広がっていた。
山と草原という風景も、きさらぎ駅と大差ない。
「先ほどのものとよく似ていますが……」
エリスが駅舎を見上げながら呟いた。
「そうだな。まるで双子のような駅だ。」
俺も同感だった。建物の構造、ホームの配置、周囲の風景。どれもきさらぎ駅と瓜二つだ。
しかし、最も大きな違いは音だった。祭囃子が完全に止んでいるのだ。
「静かになりましたね。」
エリスが呟く。確かに、あれほど鮮明に聞こえていた太鼓や笛の音が、まるで存在しなかったかのように消えている。
その静寂が、逆に不安を煽っていた。
俺たちは駅舎内を探索することにした。外見はきさらぎ駅と同じだが、内部に何か違いがあるかもしれない。
スマートフォンのライトを使って、慎重に中を調べていく。
「えへへ。魔法スイッチオン!」
エリスがそう言って、スイッチを押した。
しかし、電気が付かなかった。
「あれ?ああれ?」
何度もエリスはスイッチを操作したが、電気はつかなかった。
「ここはだめみたいだな。」
「ええ、そんなぁ。」
彼女ががっくりした様子でそういった。
ただ、待合室は『きさらぎ駅』と同じ造りだった。古い長椅子には相変わらず埃が厚く積もり、色褪せたポスターが壁に貼られている。
時刻表の掲示板も空白状態で、先ほど見たものとまったく変わらない。
「本当にそっくりです。」
エリスが長椅子を見ながら言った。
「ああ。でも、何か見落としがあるかもしれない。もう少し詳しく調べてみよう。」
俺は駅舎の奥をライトで照らした。
すると、きさらぎ駅にはなかった扉があることに気づいた。
「扉があそこに!」
エリスも俺が気がついた扉を見て言った。
扉は駅舎の一番奥にあり、他の部分より新しく見える。木材の色も微妙に違っており、後から取り付けられたもののようだった。
「きさらぎ駅にはなかった扉だ。中を見てみよう。」
俺たちは扉に近づいた。
取っ手は古い真鍮製で、長年の使用で表面が摩耗している。
扉を開けた。
そこには、小さな部屋が現れた。
そこは倉庫のような空間で、壁際に奇妙な装置が設置されていた。
「これは……何でしょうか?」
エリスが装置を興味深そうに見つめている。
それは古い制御盤のようなものだった。横幅は一メートルほどで、表面には大きなレバーとメーター、そしてスイッチが配置されていた。
中央の大きなレバーが最も目立ち、その周囲には古い計器類が並んでいた。
「信号機の制御盤か。」
俺は一人で呟きながら、その装置を詳しく観察した。
おそらく、鉄道関連の設備のようだ。
興味津々といった様子でエリスもその得体のしれない装置を見ていた。
俺も、その制御盤の周囲を詳しく調べる。
周辺の壁面をライトで照らしていると、トンネルで見たのと同じような赤いスプレーペイントの文字を発見した。
殴り書きされた文字は、制御盤の真上の壁に書かれていた。
『信号を変えろ』
また文字が書いてある。
「これはなんて書かれているんですか?」
エリスも文字を見上げていた。
「信号を変えろ、だな。」
「信号?」
彼女は首を傾げた。
「ああ、えっと。…合図をする明かりだ。」
「なるほど!明かりの魔法で合図をするんですね。」
彼女は言葉を続けた。
「先ほどは『電車を待て』でしたが、今度は『信号を変えろ』ですか。」
「そうだな。この装置を操作しろということなのかもしれない。」
俺は制御盤のレバーを観察した。古いが、まだ動きそうな状態だった。
「でも、勝手にこれを動かして大丈夫でしょうか?」
エリスが心配そうにしていた。
確かに、正体不明の装置を無闇に操作するのは危険かもしれない。
「分からないが、他に手がかりもないし……」
俺は彼女の意見を求めることにした。
「エリス、君はどう思う?騎士としての直感で、何か感じることはある?」
エリスは制御盤をじっと見つめ、しばらく沈思していた。
彼女の青い瞳が装置の詳細を丁寧に観察している。
「ボクの騎士としての勘では……壁の文字に従ったほうがいいと思います。これは何かの手がかりなんだ、と思うから!」
彼女の言葉には確信があった。
その表情には迷いがなく、内なる声に従っているようだった。
「君の勘を信じよう。…だけど、もうちょっと探索してからにしよう。」
「はい!」
エリスが頷いた。
俺たちは一度ホームに戻ることにした。
小さな部屋を出て駅舎の外に向かった。
月明かりがホームを淡く照らし、周囲の静寂が俺たちを包んでいた。
「本当に静かですね。」
エリスが周囲を見回しながら言った。
「さっきまで、あんなに賑やかな音楽が聞こえていたのに……」
確かに対照的だ。きさらぎ駅では絶えず祭囃子が聞こえていたが、ここでは風の音さえしない。
ホームに出ると、俺は線路の向こう側を見渡した。きさらぎ駅と同じように、闇の向こう側に草原や山々が広がっている。
その時、異変に気づいた。
線路の向こう側に、何かが立っている。
「あれは……」
俺は目を凝らした。最初は木か何かの自然物かと思ったが、明らかに人工的な形をしている。
それは確かに人のような形をしていた。しかし、何かが決定的に違う。
シルエットを見る限り、人間よりもかなり背が高く、手足が異様に長い。人間の比率を大きく超えた、不自然な体型をしている。
「人……でしょうか?」
エリスも同じものを見ている。彼女の声には警戒心が滲んでいた。
「分からない。でも、普通の人ではなさそうだ。」
俺はそのシルエットを観察し続けた。距離があるため詳細は見えないが、動きも奇妙だった。
関節の曲がり方が人間とは明らかに異なり、まるで機械のようにぎこちない動作をしている。
そして、そのシルエットがゆっくりと動き始めた。
俺たちの方向に向かって、歩いてくるのだ。
「こちらに来ています。」
エリスが緊張した声で報告した。
その存在は線路を越えて、俺たちのいるホームに向かって近づいてくる。動きは遅いが、確実に距離を詰めてきていた。
近づくにつれて、その正体が明らかになってきた。
それは人間ではない。表面が白っぽく、まるでマネキンのような人工物だった。
顔の部分は暗くて詳細は見えないが、全体的に無機質な印象を与える。そして、体の各所に継ぎ目のようなものが見える。
まるで複数の部品を組み合わせて作られた、巨大な人形のようだった。
「人形…ですか?」
俺は困惑した。なぜこんな場所に人形が一人で歩いているのか。しかも、なぜ動いているのか。
「ケイイチさん、あれは普通の人形ではありません。」
エリスが鉄パイプを構えた。騎士としての本能が危険を察知しているのだろう。
「何かの魔物……いえ、魔物とも違います。まったく別の何かです。」
エリスの判断に従い、俺も警戒を強めた。
白い人形のような存在は、さらに近づいてくる。その動きは機械的で、まるで巨大な人形が見えない糸で操られているかのようだった。
足音は重く、コンクリートのホームに響く。一歩一歩が規則正しく、人間の歩行とは明らかに異なるリズムを刻んでいる。
顔の部分をよく見ようとしたが、やはり詳細は分からない。暗闇の中で、目や鼻があるべき場所には何もないような印象を受けた。
ただ、平坦な表面があるだけで、表情というものが存在しない。
「気味が悪いですね……」
エリスが鉄パイプを握り直した。彼女の手にも緊張が走っているのが分かる。
「ボクの後ろに下がってください。」
エリスの指示に従い、俺は彼女の後ろに身を隠した。彼女の小さな背中が、この状況では頼もしく見える。
白い人形は俺たちから十メートルほどの距離まで近づくと、突然動きを止めた。
そして、顔のない頭部を俺たちの方向に向けている。表情があるわけではないが、何かを観察しているような不気味な存在感があった。
俺たちも人形も、しばらく動かずにいた。まるで互いの出方を窺っているかのような、奇妙な膠着状態が続く。
「何をしているんでしょうか?」
エリスが小声で尋ねる。
「分からない。」
俺は人形の動きを注意深く観察していた。今のところ、直接的な攻撃を仕掛けてくる様子はない。
しかし、その存在自体が異常であり、油断はできなかった。
静寂の中、俺たちと人形の奇妙な対峙が続いていた。
しかし、膠着状態は長くは続かなかった。
線路の向こうから、さらに多くの人型が現れ始めたのだ。
最初は一つ、二つと数えられる程度だった。しかし、次第にその数は増加していく。五体、十体、やがて数え切れないほどの人型がぞろぞろと現れてきた。
それらは全て最初の人形と同じような白い人工物だが、それぞれ形状が微妙に異なっている。
背の高いもの、低いもの、手足の長さが違うもの、胴体の幅が異なるもの。まるで異なる型から作られたかのような多様性があった。
しかし、共通しているのは、どれも人間ではない不自然な動きをすることだった。
「たくさん出てきました……」
エリスの声に緊張が高まっていた。彼女は鉄パイプを両手でしっかりと握り、戦闘態勢を取っている。
その美しい顔には決意が浮かんでおり、騎士としての誇りが恐怖を上回っているようだった。
白い人形たちは次々と線路を越えて、俺たちのいるホームに向かってきた。その動きは個体によって微妙に異なるが、どれも機械的で不自然だった。
足音が重なり合い、ホーム全体に不気味なリズムを刻んでいる。
「囲まれる前に、何か対策を考えないと……」
俺は状況を分析しようとした。人形たちの動きは遅いが、数が多すぎる。このままでは確実に包囲されてしまう。
「先手必勝です!」
そう言って、エリスは最も近い人形に向かって駆け出した。
彼女の動きは騎士らしい。まず、一歩目の踏み出しからして違う。重心の移動が滑らかで、無駄な動きが一切ない。
鉄パイプを振り上げる動作も美しく、まるで本物の剣を扱っているかのような流麗さがあった。
「はぁああ!」
エリスの渾身の一撃が、白い人形の胸部に炸裂した。
ガンッ!
金属と硬い物質が衝突する重い音が夜空に響いた。
鉄パイプは確実に人形の胸部中央に命中していた。その威力は凄まじく、人間相手なら確実に戦闘不能に追い込めるほどの一撃にみえた。
しかし、人形はほとんど反応しない。わずかによろめいただけで、数秒後にはゆっくりと元の姿勢に戻った。
まるで何事もなかったかのように、再び俺たちの方向を向いている。胸部には小さな凹みができただけで、それ以外に変化はない。
「効いていない…!」
エリスが驚きの声を上げた。彼女の青い瞳に困惑の色が浮かんでいる。
「次は頭部を狙います!」
エリスは素早く体勢を立て直した。騎士としての訓練が、予想外の状況にも対応させている。
今度は頭部を狙って、より精密な攻撃を仕掛ける。
「とおぉお!」
鉄パイプが弧を描いて白い頭部に直撃した。再び鈍い音が響き、頭部に亀裂のような線が入る。
しかし、結果は同じだった。人形は倒れることなく、ゆっくりと元の姿勢に戻る。
頭部の亀裂も、時間が経つにつれて薄くなっていくようだった。まるで自己修復機能でも備えているかのようだ。
「物理的な攻撃にあまり反応しないようですね。」
エリスが鉄パイプを構え直しながら分析した。
その間にも、他の人形たちは着実に距離を詰めてきていた。俺たちは徐々に包囲されつつある。
エリスは周囲の状況を素早く把握した。
前方に五体、左右に各三体ずつ、そして後方からも二体が接近してくる。合計十三体の白い人形が、ゆっくりとしかし確実に包囲網を狭めてきていた。
「ケイイチさん、私の背中に付いていてください。」
エリスの声には、この絶望的な状況でも動じない強さがあった。
「一体ずつ相手にするしかありません。」
彼女は鉄パイプを剣のように構えた。その姿勢は完璧に騎士そのものだった。
最初の人形が手を伸ばしてきた。
その動作は緩慢だが、腕の長さが異常だった。人間なら届かない距離から、俺たちに向かって白い腕が伸びてくる。
「危ない!」
エリスは素早く横に跳んで攻撃を回避した。同時に反撃として、鉄パイプで人形の腕を叩いた。
硬い音と共に人形の腕が一瞬止まるが、すぐに動きを再開する。
「やはり効果が薄いですね…」
エリスが歯がゆそうに呟いた。
その時、別の人形が背後から接近していた。俺は気づいたが、戦闘の素人である俺では対処できない。
「エリス、後ろ!」
俺の警告にエリスは振り返った。白い人形の腕が彼女の肩に向かって伸びてくる。
エリスは咄嗟に身をかがめて攻撃を回避し、同時に鉄パイプで人形の足を払った。人形はバランスを崩してよろめくが、倒れることはない。
「数が多すぎます!」
エリスの額に汗が浮いていた。一体一体は動きが鈍いが、この数では対処しきれない。
俺は何かできることはないかと考えた。直接戦うことはできないが、別の方法で支援できるかもしれない。
「エリス、駅舎に戻ろう。」
俺は制御盤のことを思い出した。あの装置が何かの鍵になるという彼女の直感を信じよう。
このまま多数の人形と戦っても、勝算は低い。
「さっきの装置を操作してみる。何か変化があるかもしれない。」
「了解です!一度撤退しましょう!」
俺たちは急いで駅舎に向かった。人形たちの動きは鈍いため、逃げることは容易だった。
しかし、彼らは諦めずに俺たちを追ってくる。ゆっくりとした足取りで、駅舎の周囲を取り囲み始めた。
制御盤のある部屋に戻ると、俺は壁の文字を改めて確認した。
『信号を変えろ』
この指示に従って、制御盤を操作してみることにした。
「どこから始めればいいのでしょうか?」
エリスが制御盤を見つめながら尋ねた。
俺は装置を詳しく観察した。中央の大きなレバーが最も目立つ操作部分だった。
「まず、このレバーから試してみよう。」
俺は中央の大きなレバーに手をかけた。
最初は全く動かなかった。相当な力が必要なようだ。俺は両手でレバーを掴み、体重をかけて押し下げた。
きしむような金属音を立てて、レバーがゆっくりと動き始める。完全に下まで押し下げると、重い音を立てて固定された。
すると、駅全体に何かの変化が起きた。
ブーンという低い機械音が響き始め、床や壁が微かに振動する。まるで巨大な機械が動き始めたかのようだった。
そして、ホーム全体に電気が通ったようだった。窓の外を見ると、古い照明が次々と点灯していくのが見える。
薄暗かった駅が、温かな電球の明かりで照らされ始めた。
「おお!明るくなりました!」
エリスが窓から外を覗いた。ホーム全体が照明で照らされ、人形たちの姿がより鮮明に見えた。
「あ、すごい!あれらの動きが鈍くなってる!」
エリスの指摘通り、明かりに照らされた人形たちは、先ほどよりも動きが緩慢になっているようだった。
もしかしたら、光が彼らの動きを制限する効果があるのかもしれない。
「光を嫌っているみたいだね。」
エリスが人形たちの行動の観察を続けていた。
「よく見ると、顔の部分には目のようなものがありますね。それが明かりの方を向いていません。」
エリスの観察力は鋭かった。
確かに、人形たちの顔の部分をよく見ると、暗い窪みのような部分があり、それが目の役割を果たしているのかもしれない。
しかし、光だけでは完全に彼らを止めることはできないようだった。
動きは鈍くなったが、それでも確実に駅舎に向かって移動を続けている。
その時、遠くから電車の警笛のような音が聞こえ始めた。
長く低い音が夜空に響き、山々にこだまする。まるで遠くの駅から電車が出発したかのような音だった。
「近づいて来ていますね。」
エリスが耳を澄ませながら言った。
そして、線路の向こうから電車の明かりが近づいてくるのが見えた。
遠くに小さく見えた光点が、次第に大きくなってくる。確実に電車が俺たちの駅に向かって走ってきているのだ。
ついに脱出の手段が現れたのだ。
しかし、そんな俺たちの期待を裏切るように、人形たちの動きが変化していた。
まるで電車の到着を阻止しようとするかのように、より組織的な動きを見せ始めたのだ。
それまでばらばらに動いていた人形たちが、まるで意思を共有しているかのように連携し始めた。
駅舎の入口を完全に封鎖するように配置を変え、俺たちの逃げ道を断とうとしている。
「まずいですね…完全に囲まれてしまいました。」
エリスが鉄パイプを構え直した。
騎士としての戦闘本能が、危機的状況に反応していた。
エリスの瞳に決意の炎が宿った。
おそらく、彼女は恐怖を乗り越えて、騎士としての責務を果たそうとしているのだ。
「ケイイチさん、ボクたちは、あの人形たちを突破しなければなりません。」
エリスの声には、迷いがなかった。
「ボクが道を切り開きますから、電車が来たら一緒に走ってください。」
俺はエリスの言葉に頷く。
俺たちは制御盤の部屋から出て、ホームに向かうことにした。
電車の到着まで、人形たちと戦わなければならないのだ。