Episode.1 なぜかあなたと繋がった
"推し活"とは縁遠かった高校生の秋元貴。小学生の頃から"推し活"ガチ勢の山本菜月。幼馴染だが犬猿の仲の2人の行方は…?
俺には幼馴染の女がいる。そいつの名前は "山本菜月" 仲は険悪、今となっては腐れ縁だ。同じクラスなのに喧嘩ばかりしている。元は俺が悪いんだが…。
ー幼い頃、あいつのお気に入りのキャラクターのぬいぐるみを、俺は壊してしまった。隣で泣きわめくあいつをよそに、俺は少しも悪びれる様子を見せずに俺は立ち去ったー
今となっては自分のした事が間違った事だと思って猛省している。きちんとあいつにも謝った。でも、あいつは俺を許さなかった。俺はなぜか悔しかった。俺は今まで、アニメや2次元のキャラクターに興味を持った事が無かった。というか、アニメすら小さい子向けの物で止まっている。あいつに許してもらいたい…、認めてもらいたい…。
俺はアニメを見始めた………………。すぐに沼ってしまった…。えっ?あんなに興味が無かったのに?そして世に言う"推しキャラ”というものまで出来てしまった。調子に乗ってインスタに”推しキャラ"専用のアカウントまで作ってしまった…。神よ、「俺はなんとイタイ奴だ…」と思いながらも、毎日推しキャラのぬいぐるみを抱いて寝るこのキモい男を許してくれ。そんな事は置いておいて、インスタによって共通の推しを持つ色んな人と繋がることが出来た。こうでもして気を紛らわすものが無かったら俺は社会的に終わっている人間になってしまっていただろう。特に推しキャラの話で熱中した人がいる。ユーザーネーム "サイゲツ" だ。この人とは話が合う。というか、やりとりをしていて楽しい。気づけば1時間も推しの話でDMをしてしまっていたくらいだった。推しに性別は関係ないのだと思った。
ある日、学校からの帰り道に駅前の掲示板に目を奪われた。推しキャラのアニメの展示会がわが町で行われるというではないかっ!家に帰ると俺は "サイゲツ" に自慢のDMを送った。こいつはいつも既読がつくのがバカ早い。すぐに返信が来た。なんと、こいつの町でも展示会が行われるという。住んでいる町の名前を聞くと同じだった。なんという狭い世界だろうか。俺はそんなどうでもいい事を思った。"サイゲツ" がいきなり一緒に行かないかと誘って来た。さすがに顔も知らない人と会うのは駄目だと思ったが、せっかく奇跡のように出会った同志だ。俺はイエスと答えた。後日、待ち合わせの場所に向かった。俺はソワソワしていた。"サイゲツ" の事を運命の相手なのではないか…?とか馬鹿げたことも考えたりしていたら待ち合わせの時間になった。"サイゲツ" は時間通りに僕の前に現れた。僕は足元から舐めるように "サイゲツ" を見た。どんな可愛い子だろう……………。顔を見た。僕は、僕は……全てを理解するまで10秒間フリーズしていた。




