自動販売機
初キャラ登場!幼馴染の足立 凪早君です!
肌寒いと感じるようになってきた学校からの帰り道。
一緒に帰っていた友達の足立 凪早が季節はずれの怪談話をしようと言い出した。
誠はあまり乗り気じゃあなかったが、凪早が強引に進めて怪談話は始まった。
まずは凪早の番の番。
「自信作だぜ!」
凪早はえっへんと胸を張った。
「作ったのか?ナギが?」
このナギが?と訝しそうに問いた。
「おう!まぁまずは聞いてくれ!」
凪早は自信たっぷりに答えると話を始めた。
「これは、ある男が自販機にジュースを買いに行った時の話だ。」
その男は夜ふとジュースが飲みたくなって小銭をポケットに入れて家を出た。
時間はとっくに二時を過ぎていたが、構わずに自動販売機に向かった。
ほどなくして自動販売機に着いた。
小銭を入れ、ボタンを押し、目当てのジュースを取り出した。
出てきたジュースは少し赤く濁っているように見える。
暗くて、はっきりとは見えないのだが・・・。
帰ろうと、もと来た道に向きなおした。
この自動販売機は家からそう遠くない場所にあり、その男もよく来ていたため目をつむってても家に帰れる・・・はずだった。
男が向いた先には道はおろか地面すらない深い崖が広がっていた。
周りを見てみても、足場と言えるところは後ろの自動販売機と自分の立っている所しかない。
しかも足場はかなり脆く、こうしている間にも徐々に崩れて立てる部分は確実に狭まってきている。
ガラガラ!
後ろで物凄い音がして振り向いてみると、さっきまで後ろにあったはずの自動販売機が消えている。
足場はどんどん崩れていってついに男も落ちてしまった。
というところで目が覚めた。
夢か。と安心した男だったがふと手に違和感を覚えて見てみた。
そこには、いつ持ったのか、ジュースのペットボトルがしっかりと手に納まっている。
そのペットボトルの中身は、夢で見たのと同じように赤く濁っていた。
「・・・・」
「どう?誠!さっき作ってみたんだ!すごくね!」
満面の笑みで聞いてきた凪早に誠は逆に聞き返した。
「それ本当に作ったんだよな?」
「・・・そうだけど?」
何言ってんだ?と凪早は不思議そうに答えた。
「・・・じゃあさナギ・・お前が手に持ってるのは何?」
そう言って誠は凪早の手の中にあるモノを指差した。
「・・・!?」
凪早は自分の手の中にあるモノを見て驚いた。
いつ持ったのか、凪早の手には赤く濁ったジュースの入っているペットボトルが握られていた。
この話は・・・・なんで出来たんだっけ・・?