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修学旅行4

続き。


十時五十六分

誠は防寒服をできるだけ沢山着て、リュックサックをからって、懐中電灯を持ち、麻衣には来るなよと釘を刺して外へ出た。

外は『吹雪のなりかけ』という感じだ。

懐中電灯で照らしても二メートル先が見えない。誠はしばらく突っ立っていたが意を決して、森の中へ入って行った。

森の中は真っ暗だ。

降る雪で武志の足跡は完全に消えていた。

この分じゃ誠の足跡もすぐに消えてしまうだろう。

まったく、武志という奴は人騒がせな!・・・会ったことないけど。

ここでこんな事を考えていても状況が変わるわけでもないので誠は勘を頼りに武志を探すことにした。


十時五十六分

麻衣は待つことしかできなかった。

(話を持ち込んだのは私なのに当の自分は何もしないで待つだけなんて・・・これでお兄ちゃんも戻って来なかったら私、どうすれば・・・)

すぐにネガティブ思考になるのが麻衣の悪い癖だ。

自分は頭を抱え込み考えることしかできないの?

「・・・ダメよ、ダメ!お兄ちゃんや先生達が頑張ってるのに私だけのんびり待っているだけだなんて、私も探しに行こう」

パンパン、と自分の頬を叩いて気合いを入れ直した麻衣は防寒服を着て外へ出た。

手にはもちろん懐中電灯を持って、だ。

誠は出て行く前に麻衣に『来るなよ』と釘を刺している。

捜しに出たら間違いなく怒られるだろう。

普段は意外とあまり怒らない誠だが(喧嘩は除く)実を言うと怒ると稲木先生より怖かったりする。

・・・本人は気づいてないようだが・・。

「・・・大丈夫よ麻衣!怒られないよ!大丈夫!・・多分・・!」

麻衣は無理やり自分に言い聞かせ森へ向かった。


十一時八分

誠は暗い森の中をあてもなく歩いていた。

迷子にならない為に一応通って来たとこの木の枝に目印の白い布を結んでいるのだが、どういうわけか同じ所を何度も回っているようで目印のとこに戻って来てしまう。

「・・・俺、方向音痴だからな~・・・あくまでも“軽い”方向音痴だがな!断じて重くはない!この差はデカいよ!うん!」

ぐるぐると同じ所を回るのにも飽きたので、無意味な独り言(励まし)をしていると、二十メートルほど先に光る何かが見えた。

「?」

遠い上に少しぼやけているのかそれが何かはわからない。

誠はその光の方へ向かって行った。


十一時十一分

麻衣は森の中を進んでいた。

所々木の枝に目印がある、おそらく誠か先生が付けたやつだろう。

同じ道を行ったら誠に会ってしまうので麻衣は目印のない方に向かった。

ふと上を向いて見たが木が覆い茂っていて空も見えない。

そのせいか雪もあまり降ってきておらず、風だけが『ゴォォオ』と低い音をたてていた。

懐中電灯を照らしてもあまり遠くまで見えない。

周りに人の気配もない。

はっきり言って怖い。でも

「今戻る訳にはいかない!」

麻衣は森の中をずんずんと進んで行った。


十一時十一分

誠はあと何メートルもないとこにある『光』に向かって歩いていた。

下が雪なので多少歩きづらいが近づくにつれて徐々に形がはっきりしてきた。

「・・・・」

女の人だ。

白い着物で長い髪の女の人。その顔は無表情で言っちゃ悪いがちょっと不気味。

多分あれが噂に名高い雪女なのだろう。

雪女は幽霊じゃなく妖怪の類のはずだ、恐くない!)

「ゆ・・雪女・・さん?武志って子知りません?アナタについて行った男の子なんですけど・・」

「・・・・・」

雪女は答えなかった、答えはしなかったが、右手を上げて誠からして左の方を指差した。

指差す先は崖だ。

「・・!まさか」

誠は急いで崖の縁に行き、懐中電灯で崖の下を照らした。

あまり深くないようだが表面に凹凸はあまりなく、落ちたら登ってくるのは難しそうな所だ。

「おぉ―い、武志ぃいるかぁー?」

そう言った後、耳を済ませてみた。

「・・・ぉーぃ・・・」

微かだが聞こえた。

誠はさっきから懐中電灯を下に向けて照らしている、これが見えているなら真下に来ている筈だ。

「すぐ助けるからなぁ」

そう言って、からっていたリュックサックを降ろし中に入れていたロープの端を一番近い木にくくり付けて反対側の端を下へと投げた。



この時もう12月入ってた気が・・・。

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