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殺戮人形産のおいしい野菜はいかがですか?〜最強美少女はふつうの農家を目指してるけど、やっぱり最強だったみたい〜  作者: ことりとりとん


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31.討伐

 


 ティーファが気楽なのは、現状が分かっていないのではない。

 全てを理解し、相手の脅威度も分かった上で、そう苦労なく勝てると、そう思っているだけ。


「でも、ダンが居なかったらそれなりに大変だったでしょうね。連れて来て良かったわ」


「……ん」


 呑気な会話はそのくらいにして。


「そちらさんも、援護お願いね。

 もし無理ならやらなくても大丈夫だけど、絶対に私には当てないように!」


 当たり前のことを男達に言って、氷結狼(アイスダスト・ウルフ)へと向き直る。

 彼らもティーファの実力を見て自分たちよりも相当上だと分かっているから大人しく従う。

 変に気取らず、年下の相手にでも従えるから、彼らはここまで生きて来られたのだ。


 ティーファは格好つけて言ったし、相手が出来るとは思っているが、それはそれとして、ここまで大きな相手は初めて。

 どう攻撃を当てようかな、なんてことを考えていた。


 そんなことも決まっていないのに何故こんな余裕なのかって?


「やっぱり、真っ直ぐ当てるのが早いわね」


 ラク出来ないかと考えていただけで、ダイレクトに当てるだけなら難しくも何ともないから。


 この間にも迫る攻撃はダンが全て無効化してくれているし、ティーファは魔法を組んで放つだけのカンタンなお仕事だ。


 魔境で魔法が使いにくいのは魔獣側も同じだから、魔法自体はそこまで高威力ではない。

 ダンの手に負えないほどの大きさの魔法は飛んで来そうに無かった。


 氷と水という、炎にとって相性の悪い相手だが、氷は溶かして水と一緒に蒸発させれば良いだけ。


「とおっ!」


 魔境の中では魔法に工夫が要るから、相手の水圧砲を参考にして、炎の威力を一点集中にしてみた。


 何度か避けられたものの、それなら避けられないほど高密度にしてしまえば良い。

 攻撃は全てダンに無効化され、トドメの炎の弾幕を浴びた氷結狼(アイスダスト・ウルフ)は為す術もなく倒れていった。


「ほぉー」


 途中から援護をする必要すら感じられなくなってただ突っ立っているだけになった冒険者たちは、氷結狼(アイスダスト・ウルフ)が倒れた時も感嘆の声を上げるしかしなかった。


「うん、こんなものかしら。

 どう? これじゃあ、他の獣が魔力に当てられてしまいそう?」


「いや、そこまで広範囲ではないし、空に散った魔力の方が多いと思う。この辺り全体の魔力量は上がったと思うけど、そこまで深刻な問題じゃないな。

 それより、討伐ありがとう!

 どうしようかと思っていたんだ!」


 リーダーらしき男に絶賛されて、ティーファはちょっと鼻が高い。


「うふふ。上手く出来たでしょ? ちゃんと食べれるようにしたんだから!」


 後で食べることまで考えて、狙う所までちゃんと計算したんだから、と言うティーファに、若干呆れながらもただ褒める男たち。

 自分たちには、後のことを考える余裕なんてまるで無かったから。


「でも、持って帰るには大きすぎるわね。ダン、荷台持ってきてくれる? もしくは、担いで帰ってもいいけど」


「……ん。」


 台車を取りに帰るダンを見送るティーファ。あくまでも、自分が持って帰るなんてことは考えないお姫様体質なのだ。


「俺はザンザ。本当に助かった、ありがとう」


「いえ、私たちも大きいお肉が手に入ったから、充分よ」


「君たちは、肉が欲しいのかい?」


「ええ、さっきの彼は、ものすごい量のご飯を食べるのよ。だから村のものを食べ尽くす前に自分たちで狩ろうと思ってね」


「そういえば、屋台の大将がそんなことを言ってたな。でも、肉が欲しいならもっといい相手が幾らでも居るだろうに」


「そうなの?」


「ああ。もう少し東へ行けば、闘牛(ミノタウロス)とか居るし、鎧兎(アルミラージ)も数を狩れるならいい相手だよ。美味しいし。

 この辺に出る相手は強い割に肉も少なくて美味しくないからオススメではないかな」


「そうなのね! ありがとう。こんどはそっちを狙ってみるわ」


「でも、俺らは君たちがここに居てくれたから助かったんだけど」


 あくまでも食べ物のことしか考えていないティーファに対して、ザンザは苦笑いするしか出来なかった。




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