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名ゼリフから読み解く 大東亜・太平洋戦争  作者: 佐久間五十六


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田中頼三②

 「揚陸止め!戦闘用意!全軍突撃せよ!!」

 日本海軍少将田中頼三

 ルンガ沖には米国海軍の前衛駆逐艦4隻、主力重巡洋艦5隻、そして後衛駆逐艦2隻の陣形を整え、日本海軍艦隊の接近を待ち構えていた。午後11時過ぎ(11月30日)の事であった。

 田中少将は旗艦長波の艦橋にあって、予定通りドラム缶輸送を指示。部隊は大わらわになる。ロープをほどき、いつでもドラム缶を落とせる状態にまで持って行こうとした矢先の事であった。田中頼三少将の元に、駆逐艦高波より発信があった。

 「敵らしきもの見中。方位100度。」

 続く「敵艦隊7隻見中!」

 の報告が入った時、遂に米国艦隊から攻撃を受ける。午後11時23分、田中頼三少将の命令が飛ぶ。その時の彼の一瞬の判断が凄まじかった。これらの命令を伝え、いささかに動揺する気配を見せなかったのである。整然たる戦闘体型など、とっている暇はない。ドラム缶を海中に叩き込み、魚雷発射菅を敵艦隊に直ぐ様向けた。無線電話と無線電信が司令官の命令を打ち込む。

 米国海軍艦隊旗艦の重巡洋艦ミネアポリスの艦腹に凄まじい水柱が立ったのは、午後11時27分の事である。攻撃開始命令から4分後の事であった。続く重巡洋艦ペンサコラは、衝突を避けようと慌てて左に取り舵。大混乱が敵の艦隊に生じた。魚雷を避け、味方の艦を避けて逃げ回る。その間にも、次次と魚雷の命中を受ける米国艦隊。戦闘が終わったのは、11時50分であった。

 米国側は重巡洋艦一隻が沈没、三隻が大破の大損害であり、田中頼三艦隊の損害は哨戒艦となり、囮となった駆逐艦高波のみであった。短時間で、艦の大きさとその数は、決戦前より遥かに劣勢であった日本海軍の水雷戦隊が、圧倒的強さを誇る米国海軍重巡洋艦を完全撃破したのである。9回ウラ、ツーアウト満塁からのサヨナラホームランであった。

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