海軍技術研究所
「こちらから電波を出すなんて、闇夜に提灯を灯すようなものだ。奇襲を伝統とする日本海軍の伝統には馴染まない。」 海軍技術研究所
レーダー研究が海軍の技術研究所で、提案された時艦隊では、このセリフを放って一蹴したと言う。研究レベルでは、ユニークな技術を持っていたにも関わらず。
八木秀次が開発した八木アンテナ等がその代表であるが、軍の方がその重要性を理解出来ぬ内に米英が八木アンテナをレーダーとして正式採用してしまう。しかも、日本の軍人はどうしても精神論が先行するもので、「レーダーは守りの兵器だ。攻撃こそ最大の防御だ。」とか、「敵を見つけてから攻めるのは卑怯だ。」等となってしまう。
無線やレーダーと言うエレクトロニックスも目には見えない技術である。そうなると、軍人は途端に理解出来ず興味を持たなくなってしまう。そうやって馬鹿にした技術の差が、第二次世界大戦で欧米に日本が勝てなかった最大の理由である。
ちなみに八木秀次(1886~1970)は、電気工学の権威として東北大学教授、東京工業大学学長、技術院総裁、大阪大学総長等を歴任し、参議院議員も務める。昭和31年には、文化勲章を授章している。
米国は、開戦前と終戦後では、まるで別の国になった様に、技術を発展させていて、戦闘機や原子爆弾に至るまで、目覚ましい軍事力の拡大に成功していた。一方の日本軍は、成長や進歩がまるで見られず、技術的な体力の差が日本の敗北を、決定的な物にした。だが果たしてそれだけが日本の敗北の理由だろうか?
日本人と米国人の根本的な考え方の差が、敗北の決定的な理由ではないだろうか?安易な精神論に偏り、最新技術を蔑ろにする日本人と、合理的な思考に基づく理に叶った考え方の出来る米国人の方が大東亜・太平洋戦争における日本の敗北の主たる要因では無かったであろうか。決して日本人と米国人に大した能力差は無い。しかし、決定的に違うものがあるとすれば、その様な考え方の違いによるものが大きいだろう。そして、それは今もその考え方は大して変わってはいない。