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名ゼリフから読み解く 大東亜・太平洋戦争  作者: 佐久間五十六


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ゼロファイター

 「あれほど乗り良い飛行機はない。」

 ゼロファイター

 零戦で戦ったパイロット達は、皆異口同音にこのセリフを口にする。零戦(零式艦上戦闘機)が登場したのは、昭和15年頃。昭和15年が皇紀2600年にあたる年に誕生したから「零戦」と呼ばれる様になった。他にも例えば96式戦闘機は皇紀2596年の昭和11年に誕生しており、一式陸上攻撃機は皇紀2601年の昭和16年に正式採用されている。

 零戦はまず中国戦線に投入される訳であるが、それから昭和17年頃迄は、正に向かうところ敵無しであった。当時は、文句なく世界最高の戦闘機であり、特に運動性能が抜きん出ていて、小回りが利くために、空戦に力を発揮した。パイロットの意思がそのまま操縦に反映された様である。零戦の長所は、第1に航続力が長い事である。太平洋戦争初期に零戦が戦った米軍のグラマンF4F ワイルドキャットは1450㎞、名機とされたドイツ空軍のメッサーシュミットはおよそ700㎞である。その中で零戦は、約3000㎞以上飛べる為他国戦闘機を凌駕していた。

 それはまた、日本海軍の戦略的無謀さを助長する事にもなる。米国が戦闘機の航続距離で零戦に対抗出来る様になったのは、昭和17年から18年に投入されたボートシコルスキーF4UコルセアやグラマンF6Fヘルキャットになってからであった。零戦の最高速度は500㎞と世界標準だったが、軽戦闘機にも関わらず20㎜機銃と7㎜機銃を搭載するなど、攻撃力もあった。

 零戦は、非常にバランスのとれた戦闘機と言えた。空母に搭載される艦上戦闘機と言うハンデはあるにしても、零戦は、第二次世界大戦前半の最優秀機であった。戦闘機の歴史に名を刻んだ零戦ではあったが、米軍の戦闘機の技術力向上の前に花と散る。空母艦載機には様々な制約がある。昇降機に乗らなければならないし、狭い甲板に完全に着艦させるパイロットの操縦技術力も必要だ。零戦は、それらの条件を満たして要求を越えた働きをしてくれた。日本が太平洋戦争を闘えたのは零戦のお陰と言っても過言ではない。

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