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名ゼリフから読み解く 大東亜・太平洋戦争  作者: 佐久間五十六


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ディビット・ファラガット

 「ダム・ザ・ドーピドーズ。ゴー・アヘッド!」

 (機雷なんか恐れるな。突っ込め!)

 米国海軍提督ディビット・ファラガット

 米国海軍において象徴的な存在とされている提督と言えば、ディビット・ファラガット(1801~1870)である。南北戦争の際の北軍の海軍将校で、初代米国海軍提督である。ロンドン軍縮会議で、条約締結に尽力した元海軍次官でもあり、優れた戦史家でもあった。日本の戦史家山梨勝之進は、こう評価する。

 「英国海軍の英雄ホレーショ・ネルソンは人格的に難がある。ディビット・ファラガットの方が範にすべき点が多い。」

 と、述べている。ディビット・ファラガットと言えば、何と言ってもモビール湾での突入作戦である。このセリフは、その時発せられたものであった。南軍のメキシコ湾最後の砦であるモビール湾に対して、突撃をかけてたった3時間で陥落させた。この敢闘精神でディビット・ファラガットは米国海軍の英雄になった。このディビット・ファラガットの突撃精神で興味深いのは、ディビット・ファラガットが、モビール湾で敵の南軍よりもはるかに多くの損害を北軍にもたらしていると言う事である。

 つまり、戦争の勝敗は損害の大小ではなく、最終的な戦略目標を達成するかどうかだと言う考え方がここに示されている。無論、それを可能にするのが強いリーダーシップである事は言うまでもない。米国海軍でディビット・ファラガットが称揚されているのは、南北戦争での軍功に加えて、もう一つの理由がある。

 それは、軍人に対する文民統制の優位を確立した事である。いわゆる「ブルックリン号事件」であるが、メキシコに公使を送る時、艦長だったディビット・ファラガットは公使を丁重に扱った。当時海軍内部では、たかが公使を何故あそこまで丁重に扱うのか、へりくだる必要はあったのかと批判が起きたのに対して、ディビット・ファラガットは、「選挙によって選ばれた政府の任命による文官の方が、軍人よりも上位にあるのだ。」と、反論している。

 この風習は今も受け継がれていて、米軍の陸海空軍の長官は文官が務め、連邦議会による軍のチェックも厳しいものがある。ちなみに、ホレーショ・ネルソン(1758~1805)は、英国海軍提督でナポレオン戦争で活躍した。落命したトラファルガーの海戦では、仏西連合艦隊を破り、ナポレオンの欧州における制海権獲得と、英国本土上陸の野望を阻んだ英国海軍の英雄であり象徴的な存在である。ただ、愛人とウィーンに逃げてしまったり、色々と素行に問題があった人物で、誉められないところもあったが、英国民にとっては英雄である。

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