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名ゼリフから読み解く 大東亜・太平洋戦争  作者: 佐久間五十六


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チェスター・W・ニミッツ

 「レイトンは、巡洋艦隊よりも貴重だ。」

 チェスター・W・ニミッツ米国海軍大将

 レイモンド・スプルーアンスは、ミッドウェー海戦の勝利を「ラッキー」と評しているが、それ自体が勝因の全てではないとしても、やはり情報戦でも、日本軍は完全に敗北していた事に違いは無い。相当前から日本の外務省の暗号は、解読されていたが海軍については諸説ある。

 チェスター・W・ニミッツは、キンメルから太平洋艦隊司令長官を引き継ぐ際、エドウィン・レイトンと言う極めて優秀な情報参報参謀を残し、対日情報戦の責任者として太平洋戦争終戦まで重用する。ニミッツは、ミッドウェー海戦の直前にもレイトンを呼び出し、「日本の機動部隊が再びハワイを攻めてくるんじゃないか?」と確認をとっている。その質問に対しレイトンは、「日本の艦隊は必ずミッドウェーに来ます。」と答えたので、ニミッツは、ミッドウェー沖での待ち伏せを決断する。

 最もこの時点で、レイトンは「完全に暗号を読み取る事は出来てはいなかった。」と、著書に書いている。ただ、暗号と言うのは全文を解読出来る必要は必ずしもない。重要なのは、解読出来た部分を他のデータ(偵察報告・敵の攻撃パターン・気象や海洋情報)等とつき合わせて、それが何を意味しているかを読み取る事なのである。ミッドウェー海戦も、そんな条件で判定している。米国海軍の首脳部は、レイトン等情報参謀達の達の活動を非常に重視している。

 特にニミッツは、このセリフの様に高くレイトンを評しているし、ミッドウェー海戦直前には、暗号解読の鬼才と呼ばれたロシュフォートの元にキングが直接ワシントンから情報分析を尋ねた事もある。レイトンとロシュフォートは、海軍の日本語研修生として、1929年~3年間日本に滞在歴がある。レイトンは、米国人のいない所で勉強しようと、別府で日本語を学んだ。この研修制度が始まったのは、1910年。その頃から米国は対日情報戦の準備を進めていた。

 真珠湾攻撃の後、日本側電文の中の「AF」と言うコードがどうも次の攻撃目標らしいと米国側は、分析した。それが本当に「ミッドウェー」なのか確かめる為に、「ミッドウェーの浄水器が壊れて水不足だ。」と言う偽電文を打った。すると、これに日本側が反応したので、米国は日本軍がミッドウェーに来る確証を得た。と言う有名なエピソードもあった。

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