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成り行きで異世界転生 〜チート能力、期限付き〜  作者: 乙坂創一
第二章『フロウザー家捜索』

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第七十五話「真相」

replicaの常熱がヤバい神

あとKing GnuのアルバムSUNNY SIDE UPからの雨燦々の流れ最高

あと):阿修羅:(鬼リピしてる

───同時刻。エメルと幸志郎の二人は。

「……何やら騒がしいですね」

辺り一帯では、あちこちで轟音が鳴り響いていた。

「そうだ、聞きたかった事が聞けずじまいでした。エメルさんは、どうしてここに───」


エメルに、そう疑問をなげかけた幸志郎は、背中に燃えるような熱さを感じた。

「コウシロウさん、何か音が……」

エメルは、幸志郎の後ろに居る何者かを目撃し、一瞬で青ざめた。

「……何……が」

幸志郎は、続け様に弾丸を数発撃ち込まれ、体から力が抜け、受け身も取れずして顔面から倒れた。


「こ、コウシロウさん!!」

「いや〜、出遅れちまったと思って急いで来てみりゃ、お目当ての品が目の前で突っ立ってるなんてなァ」

幸志郎を撃った男は、拳銃をクルクルと回してそう言ってのけた。

───撃たれ……た? リアムさんが、銃撃部隊の人をやり損ねる筈が無い……まさか、リアムさんの身に……何か……ッ

幸志郎は、薄れゆく意識の中、そんな事を考えていた。

「おっと、余計な真似すんじゃねぇぞ? 俺の目当てはお前なんだぜ」

男は、エメルの足元に威嚇射撃をした。

「……俺ァよォ、美味ェもんは後に食う派なんだ。その意味が分かるか? 緑のガキよ」

男は、銃をリロードしてそう言った。

「逆に、嫌いなもんから先に片付けんだッ! 誰だおっさんッ!!」

男は、嫌いなものを食卓に出された子供が、それを嫌々口に運ぶように、幸志郎を何度も撃ち続けた。

幸志郎の鼻と口からは、血が流れ出し、ぶくぶくと泡立っていた。


「やめてッ!!!」

エメルは、涙を流しながら、幸志郎の前に膝を付き、手を広げた。

その時、幸志郎は過去を回想していた。



『何でアンタは、見ず知らずの子の為に、ここまで協力してくれるんだ? 善意にしゃあ、ちょっと……』

トパーズは、前々から不思議で仕方なかった疑問を幸志郎に投げかけた。

『───聞きますか。少し長くなりますが』

『……話せる事なら、教えてくれ』

トパーズの言葉を聞き、幸志郎は目を瞑り頷く。

『……私にも、六つになりたての娘が居ました。目に入れても痛くない、最愛の愛娘でした。……しかし、娘は私と買い物に出掛けている時にはぐれてしまい、数日後無惨な姿で発見されたと報告が入ってきました。まぁ、感謝していますよ。私一人でいくら探しても見つからなかった娘を、見つけてくださったのですからね』

『……ですが、それっきりで、シェリフ達はそれ以上何もしてくれませんでした。そこで私は思ったのです。自分で娘の仇を討つしかないと』

『娘は、そこらのゴロツキ達に殺された。という情報だけを頼りに、私らしくなく、組織に無策で乗り込みました。……笑えますよね。分かっていた事なのに、結局まんまと捕まって、見せしめに殺される一歩手前でした。死を覚悟したその時、この能力(ちから)に目覚めたのです。ですが……そこでゴロツキ共を皆殺しにしても、娘が還って来ることは無かった』

トパーズは、柄にもなく神妙な面持ちで話を聞いていた。

『"九死に一生を得る"だなんて言いますが、出産と同時に妻を亡くし、男手1つで育てた娘も失い、生きる理由を失った私には───』

そこで、幸志郎は言葉に詰まってしまった。

『……ありがとな、話してくれて。もういいぜ、悪かった。話してて辛ぇだろ』

トパーズのその一言で、知らぬ間に目に涙が溜まっていた事に気づいた。



「待っててコウシロウさんッ! 今すぐに、治すからッ!」

エメルは、幸志郎の方を向き、能力を使おうとした。

「ふぅ……おい、止まれ。お前にとって良い提案をしようか、緑のガキ」

エメルは、男のその言葉に、発動しかけた能力を止めた。

「両手を頭の上まであげて、変な真似せずにそこから一歩も動かねぇってんなら、冥土の土産に話してやるよ。お前らのお仲間が、どうやって死んで逝ったかをなァ」

エメルの瞳孔は、その言葉を聞いた瞬間、一瞬にして収縮した。

目を大きく開き、冷や汗を流し、震えながら、エメルは幸志郎に差し伸べた手を、頭上に上げた。

「とれぇな。何もたついてんだ。……まぁいい。そのまま動くなよ」

そう言うと、男は体をエメル達の方へ向けたまま、背後のビルの窓を銃で撃ち破り、後退りをするようにビルの中に身を潜めた。

「……これなら、安心して話に耽けれる」

男はもう一度、ふぅ。と一呼吸つき、銃をくるりと回してホルスターにさした。

「後、何があっても俺の方を向くんじゃないぞ。残りのお仲間に感ずかれて、奇襲なんか食らったらたまったもんじゃない」

エメルは、分かったと言わんばかりに、目線を変えずに頷いた。

「……よし、いい子だ。じゃあ話してやろうじゃねぇか」



『……』

円香は、口をすぼめて石ころを蹴っ飛ばした。

『あ〜あ。何も考えず、飛び出して来ちゃったなぁ……壊斗になんて謝ればいいんだろ……』

『───やあお嬢ちゃん』

円香は、何者かに背後から口を布で覆われた。

『おねんねしな』



再び円香が目を覚ますと、十数人もの男達に包囲されていた。空には夕焼けが出ており、辺りを見渡す限り、ここが路地裏の行き止まりであることを理解した。

円香は、腰を抜かしながらも、咄嗟に懐からナイフを取り出して構えた。その手は、ふるふると震えており、男たちはその光景を見て爆笑した。

『……やっと起きたと思ったら、ナイフなんか出しやがったぞコイツ』

『つまり、俺たちと真っ向からやろうって事じゃねぇか?』


すると、一人の男が、円香の手を下から蹴り上げた。

『───っ!』

円香は、あまりの痛みと驚きで、ナイフを落としてしまった。

『握りが甘ぇな』

円香は、その痛みに耐え、再びナイフを握ろうとしたが、手に力が入らなかった。


『……おいガキ。これ、見える?』

頬を掴まれた円香は、目の前に銃をチラつかされた。

『な……(なん)……』

円香は、どもりながらそう尋ねようとした。

『時間切れ〜 拳銃だバーカ!』

男はそう言うと笑いながら円香の右足を数回撃った。貫かれた右足には、耐えがたい熱さの後に、鋭い痛みが走る。

()ッ───』

『はは! 痛ぇか? ……って、痛ッ!』

好青年風の男は、銃で円香を撃った男の頭を引っぱたいた。

『バカはお前だ。(こんなもん)使ったら、すぐ終わっちまうじゃねぇか』

銃で円香を撃った男に、そう叱りつけ、『掴んどけよ』と指示した。

銃で円香を撃った男は、言われた通りに円香を羽交い締めにした。

「……それに、もし銃弾の跡がついたら俺らの仕業だってバレるだろ。対策でもされたらどうすんだ」

すると好青年風の男は、円香の横っ面に、腰の入った蹴りを炸裂させた。

『糞ガキ。一丁前に楯突いて来てんじゃねぇよ』

蹴りを放ち、男は円香の髪を掴み、コンクリートで出来た地面に叩きつけた。

『ん? 反応が無くなったな』

円香は、鼻血を出しながら気絶していた。

コンクリートに叩きつけられれば、大の大人でも簡単に死んでしまう。それでも円香は、辛うじて生きてはいた。

男は、動かなくなった円香の顔面を踏みつけ、横っ面を蹴り飛ばした。

『……おい、誰か水持ってっか?』

『小便でいいんじゃねぇか? 出そうな奴〜?』

円香は、男たちの小便でゆっくりと目を覚ます。もう言葉を発する力もなく、自然と涙が流れだした。

『……よし、サッカーでもするか』

『良いな。でも、顔は無しだ。誰か分かんなくなっちまったら意味ねぇしな』


それから、男たちは円香を蹴り飛ばして遊んだ。絶え間ない暴力が、数分間止むことなく続いた。そこには、円香を心配する者は1人もおらず、ただ笑い声だけが飛び交った。


何故、こんな事をするのか。その理由さえも聞かされぬまま、円香は抵抗する事も出来ず息絶えた。



「これが、顛末だ。……おいおい、せっかく話してやったんだから、感想の1つくらい言ったらどうだ?」

───仲間のこんな話聞かされて、とてもじゃないが正気じゃ居られねぇはずだ。……最ッ高のコンディションにしてから、じっくりと楽しむかァ


男はそう考え、唇を舐めずった。

「……おい、何とか言えよ」

何のアクションも起こさないエメルを奇妙に思い、男はじっとエメルの方を見た。すると───


「な、何やってやがるッ!?」

エメルは、幸志郎を治していた。緑色の光が、幸志郎を優しく包む。

「余計な真似すんじゃねぇッ!!」

男は、エメルを屈服させようと致命傷にならない場所に数発発砲した。

右腿。左肩甲骨。臀部。右腕上腕部。計四箇所に命中したものの、エメルは回復の手を止めなかった。


「何企んでんだ……ソイツに何しようってんだ!! 俺が話をしている間、お前はソイツに何もしなかったッ!! もう手遅れなハズだッ!!!」

男は、何をしでかすか分からないエメルの事を、今直ぐに殺さなくては。という思考に移った。もう、どう殺すかなど、どうでも良いことだった。


エメルは、全身を何十発撃たれながらも、回復の手を止めなかった。


「……ふぅ。もう、美学だとかどうでも良くなった。知らねぇよ。面倒くせぇ」

男は、リロードの最中に冷静になり、自身の美学である『頭は撃たずに殺す』を捨て、ヘッドショットを狙い、弾を放った。それは避けようの無い、完璧な弾道だった。


「エメルさん。大変ご迷惑お掛けしました」

幸志郎は、エメルを抱えて安全なビルに移動していた。


「そして、ありがとうございました。エメルさんがあの時、瞬間的に致命傷の回復を施してくれたお陰で、延命に繋げられました」

そう。幸志郎の言う通り、エメルは幸志郎へ差し伸べた手を止める前。男の死角を利用し、一瞬にして致命傷だけは治していたのだ。それが無ければ、幸志郎が生き長らえる事は不可能であった。


「お前らイカれてるぜッ!! あの出血量で、何で動けるッ!? それに、二人とも鉛玉が体に何十発も埋め込まれてんだぞッ!?」

男は、攻撃に警戒して身を潜めながらそう尋ねる。


「……エメルさん。貴女に、これ程までの勇気と覚悟があるとは、思っていませんでした。少し甘く見すぎていました。貴女は立派だ。私なんかよりも、ずっと」

幸志郎はエメルの頭を撫でて微笑んだ。

「今は自身の傷の回復に専念してください。終わらせてきます」


幸志郎は、丸腰だと言わんばかりに、男が居るビルの前に出た。

「私は逃げも隠れもしません。貴方もそろそろ姿を現したらどうです? 臆病者」

「───っせぇえええええええええええッ!!!」

男は、割れた窓から腕だけを出して一心不乱に銃を乱射した。質より量で勝負するつもりらしい。


銃を持つ腕だけを出して、体を外に出さなければ、安全だとでも思ったのだろうか。男の手首は、幸志郎によって簡単に切り落とされた。


「うぅッ! 痛いッ!!」

痛がらす時間も与えず、幸志郎は男の襟を掴み、ビルの中から外に放り出した。

「ほら、貴方の大好きな銃ですよ。拾わないのですか?」

幸志郎は、わざわざ男の為に銃を持ってきてあげ、拾いやすいよう男の前に捨てた。


それが罠である可能性を全く考慮せず、男は銃を拾おうと反対の手を伸ばした。

案の定、残った方の手も幸志郎によって切り落とされてしまった。

「これで、お得意の銃も握れませんね。足でも使ってみますか」


「き、汚ぇぞこの野郎ッ! 痛ぇ……!」

男は、涙を流して訴えた。

「……やはり、リアムさんの言った通りだ。こんな計画を企てる連中は、(みな)小物ばかりのようですね」


「う……嘘だ! 全部嘘だ! さっきの話も、俺の作り話なんだよッ!! だから───」

幸志郎は、右肘関節を切断した。

「貴方の自慢のような口ぶりをみるに、あれは事実なのでしょう?」

「い、痛てぇよ……! 頼む……助けてくれ……! あのガキを……あの子を呼んできてくれ! お前を治したみてぇに、俺の事も治してくれッ!!」

「……言葉も出ない」

幸志郎は男に心底呆れ、ため息をついた。

「では、質問です。ただの純粋な質問ですよ。貴方達は、円香さんの他に、もう一人殺しましたか?」

「もう……一人……ッ!?」

幸志郎は男の右肩を切り落とした。

「う……あ゙ぁッ!!」

「金髪にショートヘアーの女性です」

「……し、知らねぇ!! 知らねぇよッ!! 俺らが殺ったのは、さっき話した黒髪のガキだけだッ!!」

「……そうですか。乱子さんを殺したのは、やはり別の人間の仕業か」



これは、昨晩交わされた会話の内容。

『乱子を殺した奴と、円香殺しの犯人は、別な可能性が高い』

『急に何言い出しやがる。ンな訳ねぇだろ』

結輝の発言に、トパーズは突っ込みを入れる。

『この話を聞けば、そうは言いきれないはずだ』

そう豪語し、結輝は話し始めた。

銃撃部隊(アイツら)、円香の事は俺たちが見つけやすい所へわざと捨てていきやがったが、乱子に関しちゃ、悟の能力が無きゃ見つけられなかった』

『……確かに、一理ありますね。やる事に一貫性がない』

『だろ? 奴等なら、そんな回りくどいことはしないはずだ』

『……その顔、乱子を殺した奴に何か心当たりがあるのか?』

トパーズは、結輝の仕草や表情から何かを察したのか、そう尋ねる。

『今は……言えない』

『何で』

『……乱子の為だ。然るべき時が来たら、必ず話すと約束する』



幸志郎は大きく深呼吸し、男の左肩を切り落とした。

「ア゙ァ゙!! 話が……違ッ!!!」

「話……? 何が違う」

幸志郎は、怒りのままに男の首を掴んだ。へし折れる寸前の力で。

「ご……ごべんな゙さ───」

「付き置き場の謝罪など、怒りをヒートアップさせるだけに過ぎない」


幸志郎は、男を宙に放り投げた。そして、自身そのものを光という物質に変え、攻撃性を持った"移動"の繰り返す。幸志郎は、徐々にスピードを上げてゆく。男を嬲るかのように。


今までは、自身の手や腕のみを光に変え、男の体の切断を行っていた。それは、能力使用時に使うエネルギーの消費量を極限まで抑える為だ。

全身を光へと変えるのは、光速移動にのみ使用していた。それでも、連続での使用を控えていた。続けて使えば、途中でエネルギー切れが起きてしまう可能性が高いからだ。

幸志郎は過去に一度、ゴロツキ共を皆殺しにした時、エネルギー切れを起こす寸前まで陥ったことがあるが、呼吸が荒れ、辺りの物質の色が一層濃く光って見え、体が軽くなり、まるで天にも登るような気持ちになった。それ以上能力を使えば、どうなってしまうのか、幸志郎自身も分からなかった。


しかし、もう幸志郎の頭は、この男を木っ端微塵にする事だけでいっぱいだった。全身を光に。ただでさえそれだけでも凄まじいエネルギーの消費量だ。それに加え、能力の連続使用。当然、消費されるエネルギーは莫大なものとなる。だが、幸志郎にはそんな事考えもしなかった。これで死んでもいいと、本気で考えていた。


幸志郎は、男の周りを光速で移動し続ける。その光景は、まるで"鳥籠"のようだった。


男の体は、今や紙吹雪と同等の細かさになった。幸志郎はそれでも飽き足らず、男が存在していたという痕跡そのものを完全に無くす為、能力の使用を続けた。エネルギー切れがすぐそこであると痛感しながらも、大きな雄叫びを上げながら限界まで能力を出し切った。


幸志郎の攻撃はたった1分であったものの、男の痕跡を完全に消しきるには十分すぎる時間だった。

しかし、幸志郎の身体も、エネルギーが完全に枯渇し、光となって散った。

その時だった。エメルが飛び込みながら光の1部に触れ、能力を掛けた。すると、光は一箇所に集まり、幸志郎の体を再構築した。今起きた数秒間は、誰しもが予想の出来なかった、奇跡そのものだった。


「……エメル……さん……」

「コウシロウさんッ!! 無茶しないで!!!」

エメルは、涙を流して幸志郎を叱った。


「……生きて……いる……?」

幸志郎は、微かな意識の中、生を実感していた。

「……うん。生きてるよ……ちゃんと!!」

「それは……良かっ……」

幸志郎は、そこで気を失った。

円香のシーン。去年の3月くらいに書き連ねたものに、少し加筆して出来上がったものだったんですけど、自分でも書いてて辛かったです。

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