第六十九話「No.7」
───グランヨーク、旧オフィス街のとあるビル。
リアムは、そこに身を潜め、銃撃部隊を片っ端から殲滅していた。
「……やっぱりな。こんな作戦企てるような奴ら、No.すら無い雑魚だけだろうと思ってたが、ここまでとはな」
【上位四讃會 銃撃部隊 No.7『リアム・ハリス』】
…
遡ること、数日前。
リアムは、壊斗の部屋の前に立っていた。気持ちを落ち着かせ、いざ扉をノックした。
だが、いくらノックをしても反応がかえってこなかった。
「おかしいな……ルーシィが言うには、ここで合ってるはずなんだが」
「……おい。その部屋に何の用だ?」
リアムは、たまたま近くに居合わせた。トパーズと顔を合わせた。
「クザキの知り合いか? 丁度いい。クザキが何処か教え───」
「おいテメェ。何者だ」
いつの間にか目の前に立っているトパーズを見て、リアムはギョっとした。
「リアムだ。リアム・ハリス」
トパーズは、〈黄盾〉を召喚した。
「……しまった。能力を解除しちまった。おい、早く行くぞ。着いてこい」
トパーズは、リアムが下手な動きをすれば即座に絞め殺せるよう、〈黄盾〉で作り出した縄をリアムの首に巻き付け、犬のリードのように掴み、自分たちの部屋へ招いた。
…
「───で、オレたちの仲間になりてぇと?」
縄を結輝に巻き直しながら、リアムの話を聞いたトパーズは、そう聞き返す。
「あぁそうだ。正確には、『クザキに協力したい』と言ったところだけどな」
「でもなァ……いきなり訪ねてきてそりゃあ、簡単に信用出来ねぇよ」
「上位四讃會でしたか? 聞いた事が無いですね」
幸志郎がそう切り捨てる。
「俺達は無闇に組織名を名乗らないし、まだデカい事をしでかしてもいないからな」
「黙って聞いてたけどよォ……聞きてぇ事が山ほどあるぜ」
「……早く本題に移りたい。3つまでなら答えてやる」
リアムの高圧的な態度に、皆は不快感を覚えた。
「わかった。だがその前に……」
…
「おい、俺をスパイだって疑いたくなる気持ちは分かるが、これはやり過ぎじゃないか?」
リアムは、丸裸にされたあげく、両手両足をタオルでキツく巻かれ、拘束された。
「念には念をだ。何を隠し持っているか分からねぇからな……じゃあ、早速1つ目だ。上位シサンカイの名前は、ダイヤモンド護衛隊と関係はあるかか」
トパーズは、組織名に思うところがあった。ダイヤモンド護衛隊の"上位"の事かもしれない。と。
「……悪いな。それは俺も知らない」「そうかよ。……2つ目。この紙切れに書いてある話は本当か?」
トパーズは、円香の口に挟まっていた紙切れをリアムに手渡した。
「……これに関しては、残念ながら本当だ。それでクザキを誘き寄せようと、俺にも話が来た」
「……こっちは、未だにお前が円香殺しに関わっていないなんて、信じられねぇんだ。あんま適当な事言うなよ?」
「悪いが、そのマドカって奴を殺した現場に、立ち会っていないのは事実だ。さっきも言ったが、俺はそういうのが嫌で組織を裏切ろうと考えた」
「……まぁいい。深追いはしねぇよ」
トパーズは、どーせ後で分かるしな。と小さく呟いた。
「じゃあ最後だ。こいつは、お前らの仲間か?」
トパーズは、親指で結輝を指差した。
「……知らないな。見たことすらない。うちの隊の奴じゃないのは確かだ」
「嘘じゃねぇだろうな?」
トパーズは、リアムの目の前に顔を持っていき、凄まじい剣幕で睨みつけた。
「あぁ、神に誓ってもいい。何なら今、上の奴らに聞いてもいいんだ。少なからず、何故そんな事をと、疑いの目は向けられるだろうがな」
「……リアムさんの発言、嘘ではないと思いますよ。その、銃撃部隊? に所属していない人間が、トパーズさんを円香さんの亡骸の元へ誘導出来るとは考えられない」
「……分かった。それもそうだな」
トパーズは、結輝の手足を縛り付けていた黄盾を解除した。
「悪かったな。ユウキ。だが、まだ完全には信用出来ねぇ。本当に裏切り者じゃないか、これからの行動で示してくれ」
「……分かった。俺の方こそ、乱子と悟を守れなくて悪かった」
そう、抜け殻のような声で謝る結輝を見て、皆これ以上責めようとは思えなかった。
「……おいリアム、協力してやるよ。だが、1つ条件がある」
「……何だ」
「オレたちの関係は、カイトには秘密だ。もし、今のアイツに敵と同盟を結んだなんて言ったら、マジでお前を殺しかねない」
「分かった」
「よし。じゃあ今から作戦を練り直す。作戦は───」
…
「ワンワンッ!」
「まだ居やがるか。……でかした」
ルーシィのおかげで、リアムは生き残りの殲滅に成功した。
「ワン!」
ルーシィは、呼応した。
「引き続き、背後は任せた。ルーシィ」
…
「これが、上位四讃會にすら明かしていない、俺の能力だ」
そう言うと、リアムは青い影のような犬を呼び出した。犬種は、グレイハウンドのようだ。
「《架空の犬達》。俺の能力は、2匹の犬を自在に操れる」
「こいつがスピード型の"ルーシー"と、パワー型の"ロッキー"の二匹だ」
「……? もう1匹は?」
「……ロッキーは気性が荒く、俺以外のあらゆるものを噛みついてしまう。だから、人のいる所では出さないようにしている」
「……そうか」
…
「ワンワン!」
ルーシィが吠えた。
「今度はどいつだ?」
リアムはそう尋ね、顔を出すと。
「あれは……? 剣術部隊No.1……!?」
女は、リアムの居る方角を見つめている。
「嘘だろ!? ここは3キロ先の物陰だぞ!?」
リアムは、動揺してついスナイパーライフルの引き金を引いてしまい、弾丸が発射された。
「───殺れたか!?」
そう思ったのも束の間。リアムは恐い光景を目の当たりにしていた。
銃弾を口に咥えていたのだ。女は、銃弾を吐き捨て、リアムの居るビルに向かい始めた。




