第七十一話「捜索」
壊斗は、今まで築き上げた皆との絆が崩れ去ってゆくのを感じ、一気に罪悪感が押し寄せてきた。
「やっぱり俺達も探しに───」
「バカ。オレ達まで行っちまったら、それこそ皆バラバラになっちまうぞ」
正論を言うトパーズに、壊斗は言葉を飲んだ。
「オレ達は、ユウキ達がマドカ達を連れて帰ってくるまで、大人しく待ちゃいいんだ」
「たちたちうるさくて良く分かりません……」
昌幸はそうツッコんだが、ツッコミに覇気はなかった。
「ま、とにかく……円香たち帰ってきたら、ちゃんと謝れよ」
そう言ってトパーズは壊斗の背中を叩いた。
「……わかった」
「───私も、マドカちゃんに謝らなきゃ。『あの時止めてあげられなくてごめんね』って」
エメルは、皆が帰ってくるという希望を胸に、多少ぎこちなく壊斗にニコッと笑いかけた。壊斗は、二人からの励ましで少し気が楽になった。
…
それから三日間、壊斗達四人は結輝が置いて行ってくれた車の中で、車中泊を続けながら結輝達からの朗報を待っていた。だが、結輝達は一向に連絡を寄越さず、壊斗達は気が気じゃなかった。
長いこと円香と顔を合わせていない昌幸から、軽い禁断症状の様なものまで垣間見えた。
「あれから、三日は経ってるはずだ。なのによ……連絡一つ寄越さねぇって、どうなってんだ」
元気が取り柄のトパーズも、今の不明瞭な状況に参ってしまっていた。
「電話も折り返して来なければ、メールも返信が無い。アイツらの安否すら確認出来ない」
現在の状況をただ口にした壊斗からも、元気が失われているのが分かった。
「『待てど暮らせど』じゃないですか……! いい加減にして下さいよッ!!」
昌幸は声を荒らげた。それは、昌幸らしくない言動だった。
「カイトに当たっても仕方ねぇだろ。状況が変わるわけでもねぇんだし」
「きっと、大丈夫だよ。きっと……」
そう言って昌幸を励ますエメルの体は、震えていた。
…
遡ること、三日前。円香と乱子を完全に見失った二人は、途方に暮れていた。
「完全に見失ったね……」
「ちっ。このままじゃ埒が明かねぇぞ……」
「近くの人に聞き込みするしかないね」
「……そうだな」
周りの聞き込みで僅からながら得た情報を頼りに、引き続き円香と乱子を探していた。ただ、エメルが居る訳ではないので、疲労が溜まっていた。腹が空いていたのもあって、二人は、西部劇に出てきそうな、洒落たベーカリー屋に入って腹を満たした。
「なんでだろ。美味しいはずなのに、味がしないや……」
人一倍食べ物が好きな悟も、今はゆっくり味わう余裕も、食欲もなかった。
「味わう必要も無いしな。腹さえ満たされればそれで良い。さっさと出ようぜ」
「───君らぁ、もしかして"カミサキ"と"コンドウ"ちゃうか?」
席を立った二人は、自分たちの名前を知る赤の他人の声のする方をゆっくりと振り向いた。
「やっぱそうやん……! 今日はツイてるなぁ。一石二鳥や」
【上位四讃會 剣術部隊《トマホーク使い》『輪島慎平』】




