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成り行きで異世界転生 〜チート能力、期限付き〜  作者: 乙坂創一
第二章『フロウザー家捜索』

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番外編「オオタ・クロト②」

ニューエラのカジュアルクラシックのキャップ買いました。LAのブラック。

門松が玄斗(くろと)にしばかれてから、丁度一月(ひとつき)経過した頃だった。

玄斗たちは、職員の都合により、昼前に帰りのホームルームをしていた。


「───以上……かな。13時から職員会議が始まるから、用の無い生徒は速やかに帰るように」

「先生掃除は?」

「今日は全部無し」

「よっしゃ!」

生徒たちは歓喜した。当然玄斗も喜んだ。

玄斗は、溜まったアニメを見ようと、帰り支度を進めていると、隣のクラスの門松に止められた。

「お、おい。待てよ」

「……何?」

「13時過ぎに体育館に来い」

そう言い残すと、門松は自分のクラスへ戻ってしまった

ああは言われたものの、面倒くさいのでそそくさと帰ろうとしたが、帰り支度の最中にある物が無いことに気が付いた。筆箱に付けていたアニメのストラップだ。それも激レアの。

「アイツ……」

玄斗は門松のクラスを尋ねると、門松がこちらを見てニヤついているのが見えた。玄斗が帰ろうとするのはお見通しだったようだ。

玄斗の性格上、先生にチクッたりはしないと分かっていた門松は、それを逆手に取ったのだ。


「あれ、玄斗じゃん。珍し!」

壊斗に声をかけられた。

「あ、いや……先生に用があってさ」

「呼んでこよっか?」

「いや、後で大丈夫だよ。今他の人と話してるみたいだし……」



その後、一旦自分のクラスに戻った玄斗は、言われた通り体育館の扉を開けると、二階の窓から差してくる日差しに目を細めた。

再び目を開けると、門松の他に、当たり前かのように立っている見慣れない顔が二人。

「待ってたぜ。ヤクザもどき」

門松の手には、ストラップが握られていた。それをポケットにしまうと、門松は手の骨を鳴らした。


「おい、ホントにあのデブにやられたのか?」

「流石に冗談っしょ」

「うっせ馬鹿」

門松は、友人の頭を引っ叩いた。

「わりわり。ま、アイツがいくら強くたって、三人相手じゃ手も足も出ねぇだろ」

そう言って友人Aは失笑した。


「……僕に何の用?。そこの二人、榊ヶ丘(ウチ)の生徒じゃ無いよね?」

「太田〜。お前がこの前の事誰にも言わなかった代わりに、俺もテメェの刺青チクんねぇでやったんだ。有難く思えよ」

門松は、玄斗の問い掛けを完全に無視した。

「い、刺青? それにこの前の事って……何の話……?」

玄斗は、そう言いながらストラップを取り返そうと門松達の元へ歩いていく最中、不自然に(ひら)いている体育館倉庫に目が行った。

「あくまでそのスタンスか……化けの皮剥いでやるよ」

門松は小声で呟いた。

「それより、ストラップ。早く返してよッ!」

玄斗は門松達の正面に立ち、声を上げだ。

「俺らに勝ったらな〜」

友人Bはニヤつきながら言った。

先生(金山)達も職員会議で暫くここに来ねぇ。存分にやり合おうぜ? なぁ!?」

門松はそう吠えると、前蹴りを繰り出す。素人特有の体重が乗っていない前蹴りだ。玄斗は避けようにも両サイドを他二人に固められ、身動きの取れないように両肩を掴まれた。が、玄斗は後ろに全体重を掛け、みぞおちを狙った前蹴りを、胸で受け止めた。

「痛い……ッ!! 離してよッ!!」

玄斗は、掴まれていた両肩を無理やり振りほどいた。友人二人は、あまりの怪力に手を痛めた。


「ちっ……柳瀬」

門松は顎で玄斗を指した。

「……はいはい」

そう返事をすると、柳瀬は肩を回した。

柳瀬は、前置きもなくいきなり玄斗に殴り掛かった。

「うわッ!」

玄斗はわざとらしく目を瞑り、顔を腕で覆いながらしゃがんだ。

すると、横から膝が飛んできた。それは、玄斗のこめかみに膝が命中した。

「ナイス佐久間ァ!」

玄斗は、目の前に火花が散り、一瞬平衡感覚を失い、フラついた。

玄斗は、ズキズキと痛むこめかみを抑え、血走った目で言った。

「もういいわ。テメェら全員掛かって来い」

玄斗の考えは、自らの手によって失敗に終わった。玄斗は動きやすくする為、ブレザーを脱いだ。


その隙に三人は、言われるがまま一斉に玄斗に飛び掛った。

「三人同時に相手する方法。まず一人を潰す」

そう唱えながら、佐久間をフルスイングで殴りつけ、佐久間は意識を失い、受身を取れずに倒れた。玄斗は、佐久間以外の他二人から攻撃を食らう事は承知の上だった。

「痛ってぇなマジで」

案の定二人から攻撃を食らった玄斗は、倒れた佐久間の頭を思い切り踏み付けた。

「あ、これ以上やると死んじゃうか」

急に我に返り、笑いながら言った玄斗だったが、横から攻撃が飛んできている事に気付くのが遅れた。

門松のハイキック。形にはなっているが、バランスが悪く、少し足を狩られたら、直ぐに倒れてしまいそうだ。

玄斗は、門松の足を内側から狩ると、想像通りに地面に倒れた。

「うッ!?」

だが、油断は出来ない。複数人を相手にする時、一人やっつけたからといって油断しているとすぐさま次の攻撃が飛んでくる。

柳瀬は後ろ回し蹴りを繰り出したが、攻撃に躊躇いが見えた。さっきの佐久間を見て、萎縮していたのであろう。

玄斗はさっと仰け反り躱し、一気に接近して柳瀬の胸ぐらを掴んで鼻っ柱に頭突きをぶち当てた。それでよろけた所に、間髪入れず膝をぶち込んだ。

玄斗は、すぐにその場から離れた。門松からの追撃を食らわない為に。

「結局1体1(タイマン)になるのかよ。この前俺に負けたんだから、せめて経験者連れて来いよ」

「……まぐれで勝ったのがそんなに嬉しいかッ!?」

門松は、負け犬らしく吠え、ポケットに忍ばせておいたコンパクトハサミを取り出した。

「これで……ワイシャツと、下に着てる肌着ごと切り裂いて刺青さらけ出させてやる……」

「……お前いい加減にしろや。結局あの後ワイシャツ買い直す羽目になったんだぞ」

「うるせぇッ!!!」

玄斗は、一心不乱に駆け寄ってくる門松の顔に手を被せた。咄嗟の出来事に、門松は目を瞑る。すると次の瞬間、門松の体は地面に叩きつけられていた。

「───グッ!?」

玄斗が何をしたのか、門松は地面に倒れた後で気づくことになった。

玄斗は手を覆い被せる事で門松の視界を封じ、その隙に足払いをしたのだ。顔に被せた手の力と足の力によって、例え痩せ細った人間が太っている奴を相手にしても、簡単に倒すことが出来るのだ。

二度も地面に倒され、門松は羞恥心と屈辱を感じていた。しかも、二度目は倒れ方が悪かったのか、肩や肋、膝等がズキズキと痛み、とても起き上がれそうにない。

「……このハサミ、こう使うのか?」

そう言ってニヤついた玄斗は、門松の髪を鷲掴み、バッサリと切り落とした。

「あ……おま……」

言葉を失う門松を尻目に、玄斗はハサミを投げ捨てると、体育館倉庫の方へ歩いて行った。


「……やっぱな」

何かに気付いたように、玄斗は喋り続けた。

「体育館倉庫の扉、あの隙間から撮ってたんだろ? ……お前らは結局、どっちに転んでも美味しいって事だったんだろうな。お前らの浅い考えは俺みたいな馬鹿でも分かる」

玄斗は体育館倉庫の中に入り、机の上に置かれたスマホを手に取り、地面に叩きつけ、踏み潰した。

「念の為、お前ら全員の体を調べる。録音でもされてたら溜まったもんじゃねぇ」

玄斗は、この距離から音を拾えるはずないと考え、倉庫の中までは探さなかった。

玄斗は、用心で先に門松以外を調べたが、何も見つからなかった。

「最後はお前だな……あ、ストラップ。忘れるとこだった」

門松のポケットをまさぐってストラップを取り出した。

「……ぶっ壊れてるじゃねぇかッ!!!」

プラスチックで出来ていたストラップは、門松のポケットの中でバキバキに砕けていた。

玄斗は、怒りのあまり門松の腹を思い切り蹴飛ばした。

「───ぐえェッ!!!」

玄斗の足が、みぞおちに的中し息は疎か、思考すらままならなかった。



「もうそろ会議も終わるし、早く掃除して帰んねぇと色々と問題になるかもな? 他校も絡んでるしよ」

玄斗は、体育館の入口に置いたバッグを手に取り、そうアドバイスした。

「ま、その体力があればの話だけどな〜」

そう吐き捨てると、玄斗は門松達を放置してすぐに帰路に着いた。

異世界パートと現実パートのバトルシーンについて

異世界パートの方は戦闘、現実パートの方は暴力と考えて頂ければ。

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