第五十八話「エマルカ」
紅白vaundy出るのアツすぎ。それにサウシーも楽しみ。
ある男は今日も、勤めている会社近くのビジネスホテルで、悪習慣になりつつある就寝前のシャワーを浴びていた。
「…ふぅ」
こげ茶色の髪をタオルドライし、間髪入れずにドライヤーで乾かした。
「…明日も早いし、もう寝るとするか」
男はベッドに座り、眼鏡を定位置に置き、床に就いた。
…
「着いたァ!!!」
壊斗たちは無事、墜落事故を起こす事なくエマルカの地に足を着けた。
「うわ、外暗ッ!」
「ここがエマルカか…つっても、暗くてよく分かんねぇな」
「…今何時ぃ?」
「二十二時七分だって」
「それってジャーバルの時計だろ? じゃあ、時間がズレてるんじゃないか?」
その壊斗の言葉に、悟は自慢げに鼻を鳴らした。
悟たちは、到着ゲートまでの道のりをを歩きながら会話を続けた。
「これ、実は結構値が張るやつでさ。勝手に訪れた国に合った時刻に変わるんだ。…貰い物なんだけどね」
悟はこれみよがしに壊斗たちに見せびらかした。
「ジャーバル時間で言うと…夜中の二時だな」
「無視!?」
悟の言葉を無視し、結輝は一瞬で逆算して答えを導き出した。
「道理で眠ぃ訳だ」
トパーズは大きくあくびをした。
「今日はもう何処かに泊まろうか」
「うん…私も眠いよ」
「私もぉ」
「アタシも眠ぃ…」
「僕も…」
昌幸は目を擦って何とか目を覚まそうと努力した。
「そうだな」
けれども、壊斗たちはエマルカに来たのは初めてだ。結輝も久しく来ていなかったらしく、仕方なく近くの人たちに宿泊場所までの道を尋ねることにした。率先して結輝は現地人に話しかけに行った。
「Excuse me. Is there a hotel just around the corner from here?(すみません。ここからすぐ近くにホテルはありませんか?)」
「Oh, you're a Jervalese? You speak Emarqa very well(あら、ジャーバル人? エマルカ語が上手なのね)」
「…また知らねぇ言葉だ」
トパーズはまだ自分が知らない言語があるという事を知った。
「え…?」
壊斗は、結輝と現地人の会話が普段と変わらずに聞こえた為、トパーズの言葉を理解する事が出来なかった。それが神に授かった能力のおかげだと知らずに。
それから暫くして、結輝は壊斗たちの元に戻ってきた。
「ここから徒歩5分圏内に大きめのホテルがあるんだと」
「へぇ……案外近ぇな」
トパーズは、やっと横になれる。と思い、ニヤついた。
…
「うわッ!? 何だアレェ!?」
少し歩き、完全に空港が見えなくなると、道路や建物が見え始めた。トパーズは高速で行き交う謎の物体を指差してはしゃいだ。
「速…っ」
「車って乗り物だよ。そうか…ここには車もあるんだな」
壊斗は久しぶりに見る"乗り物"に懐かしさを感じていた。
「あ、もう見えた」
結輝が指差した所には、大きいホテルが堂々と建っていた。
…
『予約が必要!?』
「はい。そうなりますね」
驚く壊斗たちに、受付の人は冷たくそう答えた。
その後、何度か交渉を試みたはものの、埒が明かず、仕方なくホテルを出ることにした。
───まぁ、普通はそうだよな
壊斗は、現世と照らし合わせて、そう納得した。
「悪い…携帯、事務所に置きっぱにしてた」
結輝はそう軽く謝罪した。
「いや、今から予約しても間に合わなかっただろうし、仕方ないよ」
悟はそう結輝をフォローした。
「どーすんだよ…アタシら野宿か?」
「僕たちは全然平気ですよ。…慣れてるんで」
昌幸はそう自信満々に答えた。巻き込まれた円香も、小さく頷いた。
「いや、こんだけ栄えてりゃ、泊まれる場所くらいあるだろ」
壊斗の言葉に、トパーズたちはハテナを浮かべた。
「…前、急な出張があった時に利用したとこがある」
そう言うと結輝は、壊斗たちをそこまで案内した。
暫く歩き続け、その建物は見えた。
「ラブホ…?」
壊斗は建物の淡い色合いを見て唖然とした。
「いや、ビジネスホテルだな。外観でそう見えるだけだろう」
「にしても、凄い色だね…ピンクピンクしい…」
悟は自分でも気づかないうちに、初めて見るホテルにワクワクが込み上げていた。
…
その後は、結輝のおかげで順調に事が進んだ。部屋にはベッドが二つあるらしく、二人一組のペアで一つの部屋をとることにした。つまり、計四部屋。
「じゃあ、俺はさと───」
「アタシとだよな!」
乱子は、何かを言いかけていた結輝をお構い無しに、強引に肩を組んだ。
「そうすりゃ、男女分かれた部屋割りになんだろ?」
そう。仲間の内、女子が一人多かったのだ。故に、結輝と乱子がペアになれば、男と女が均等に分かれる事となる。
「…分かったよ。じゃあ、皆…後は宜しく」
結輝は、乱子に見えない角度を向き、嫌そうな顔をしながら強引に連れられて行った。
「…俺たちはジャンケンで決めっか」
「いいね」
女子は人数的にエメルと円香で決まっていた為、男同士でジャンケンを行った。その結果、壊斗はトパーズと、昌幸は悟と同じ部屋になった。
…
───壊斗、トパーズの部屋。
「おいカイトッ! 見てみろ! ここ、部屋に風呂が付いてるぜ! それにトイレがなんか変だッ!」
「そりゃ、ビジネスホテルだからだろ……あ、ほんとだ。久しぶりに使うな。洋式トイレ」
───悟、昌幸の部屋。
「うわ。ここ、お風呂入るのにお金が掛かりますよ。しかも10分刻みで」
「じゃあ、一緒に入っちゃおうか。少し狭いけど」
「そうですね」
───エメル、円香の部屋。
「マドカちゃん、お風呂どうす…」
円香は倒れ込むように眠ってしまっていた。
「…おやすみ。マドカちゃん」
そう言って、円香に掛け布団を掛けてあげ、そっとお風呂のドアを開けた。
───再び、壊斗、トパーズの部屋。
「寝る前によォ、枕投げでもしよーぜ」
「…そしたら俺が一方的にぶつけられるだけじゃねぇか」
「いいじゃん! ほらッ!」
トパーズは楽しそうに壊斗に枕をぶつけられた。
「…くそっ。こういう時に邪魔だぜ。この能力」
壊斗は、内心やり返したい気持ちで一杯だった。
───再び悟、昌幸の部屋。
「うわ、凄い! 何ですかこのフカフカな布団は!」
昌幸は、早速初めて使うベッドの上に寝転んだ。
「ベッド…かな?」
「…気持ちいぃ~」
「…そろそろ寝よっか」
「おやすみなさい。悟さん」
「おやすみ。昌幸」
悟はそう言い、そっと電気を消した。
…
「よっ 壊斗」
外に出て、夜風に当たっていると、後ろからかっこいい声で自分の名が呼ばれた。
「結輝…」
「どうしたんだ? こんな遅くに」
「いや、久しぶりに自販機でジュースでも飲もうかって思ってな」
「奇遇だな。俺もだ」
そう言いながら、結輝は自販機に金を投入した。
「…懐かしいなぁ。自販機」
「あぁ、あの時言ってたやつか。確か、日本…だっけ? 壊斗が居たとこ」
「うん。この世界で言うと、ジャーバルとエマルカが混ざったような所でさ。…楽しかった」
結輝は、炭酸水を選んだ。
「でも…寂しいよな。親や友達、恋人にも会えないなんて」
「…この世界に来たばっかの時は、突然のこと過ぎて…心がボロボロになりかけたよ。でも、エメルのおかげで何とか持ち直した」
「お前、もしかして…エメルのこと好きだったりするか?」
「…そんなんじゃないよ。きっと。ただ、言葉にするなら、心の支えになってくれる存在…かな」
「…そっか」
結輝、炭酸水に口をつけた。
「ふわぁ…眠くなってきたな…そろそろ戻ろうぜ」
「…そうだな」
「おやすみ。結輝」
「…おやすみ。壊斗」
そう言って、二人は各々の部屋へと戻って行った。
そう言えば、サッカー! 日本勝ちましたね! でも逆にコスタリカに負けそうで怖い…




