第五十七話「搭乗」
今期はブルーロックとチェンソーマンのツートップっすかね。他にもおもろいのあるけど。
皆が寝静まった深夜帯。その中に、忍び足で部屋を出ようとする気配を、壊斗は感じ取った。
「ん、どうした……乱子?」
突然声を掛けられ、乱子はビクッと震える。
「いや、トイレだよ。頻尿なんだアタシ」
「…そうか」
「何だ? 着いてきてくれんのか?」
乱子はニヤつきながらそう聞き返す。
「子供じゃあるまいし…」
特に何事も無く、安心した壊斗は再び布団を被った。
…
「芹沢さん、色々とありがとうございました」
翌朝、午前八時頃、壊斗は改めて芹沢に礼を言った。
「俺がしたくてした事だ。礼を言われる筋合いは無い」
無愛想にそう返したものの、芹沢の顔には笑みが浮かんでいた。
その後、芹沢は壊斗たちの去り際に一声掛け、メモ帳を千切った。
「これを持っていけ」
「これは…?」
「俺の電話番号だ。向こうで携帯を買ったら俺に一報入れろ」
「わかり…ました?」
「大体の事は昨日話した通りだが、まだ伝え忘れている事があるかもしれないしな。それに───」
芹沢はそう言いかけたが、小っ恥ずかしくなり、みなまでは言わなかった。
「あ、青葉さーん! 昨日はありがとうございましたッ!!!」
朝の作業を終わらせた青葉は壊斗たちの元へ顔を出した。朝にさよならの挨拶をしたと言うのに、寂しくなったのだろうか。
「またここに来たら、立ち寄れよ」
青葉は、壊斗たちが過ぎ去った後、そう言葉を漏らした。
…
「七時間だっけか? ここから空港までかかる時間」
「確かな」
「うげぇ…そんなにィ? もう歩きたくねぇよ…疲れたしめんどくさーい」
「うるせぇな…こっちまで気が滅入るだろうが」
「……あん?」
乱子は既にヘトヘトだ。反抗の言葉も遅れるほどに。
「喧嘩は辞めましょ…? 何で仲良く出来ないんでしょうか…?」
息を切らしながら昌幸が尋ねる。
「…オレは最初っから、何の力もねぇ奴を仲間に入れんのは反対だったんだ。足引っ張っからな」
「…それアタシの事言ってんのか?」
「乱子」
結輝の一言で、空気が変わった。
「な、何だよ結輝…」
「そういうの、そろそろ辞められないか? もう飽き飽きしてんだよ」
「ご、ごめん…」
「トパーズもだ。一度仲間に入れる事を了承したんなら、後からグチグチ言うのはよせ」
「───チッ…わーたよ」
「平和に行こーぜ。平和に」
そう言って、結輝は二人を半ば強制的に仲直りさせた。
壊斗は、思っていた事を言ってくれて有難く思った。これは結輝の立場でしか言えない事だから。
…
「ここが空港か、意外にデケェな」
「はぁ…やっと着いたか…」
予定より一時間程早く、壊斗たちは空港に到着した。壊斗は修学旅行の時以来の空港に、懐かしさを感じていた。
「暗くなる前に中に入ろう」
その前に、エメルの能力で全員の疲れをリフレッシュし、空港内に入って行った。
…
「パスポートの顔との照合は身体検査の時に確認するって。予約は俺がしてくるよ。大勢で行っても他の客の邪魔になるし」
「…悪いな結輝、頼むわ」
壊斗たちは結輝の言うとうりにパスポートを手渡した。
「あぁん、アタシも行くぅ!」
結輝が立ち去ろうとすると、乱子も一緒になってついていった。
「アイツら、ニコイチだな」
「いつの間に仲良くなったんだろう」
「ま、いいや。俺たちは皆の分の弁当でも買うかァ」
「オレ三個ぐれぇ買おっと♪」
「そんな食えんのォ?」
「ったりめぇだろ? オレは大食いなんだ。壊斗だって知ってんだろ?」
「はは、確かにそうだったな。よし、行こう」
…
「荷物は予めオレの盾ん中にぶち込め。じゃねぇと金取られっからな」
無事に十八時の飛行機の予約が済み、荷物検査に使う最中、皆それぞれの荷物をトパーズの《黄盾》の中に押し込んだ。
「乱子は驚かないんだな。他の皆は揃って驚いてたけど」
「まぁな。話には聞いてたし…それに、アタシの親友が能力者だったんだ」
「…聞いてねぇぞそんな話」
「昔はよくこっそり見せてもらってたぜ。小っちゃい物を少しだけ動かせるってだけだったけどな」
乱子は昔を思い出し、嬉しそうに笑った。
「何か預けられるお荷物はございませんか?」
チェックインカウンター付近で、スタッフの人が話しかけてきた。
「あぁ、無いっす」
「え、本当ですか!?」
「はァい……何かァ?」
トパーズは、何か文句あんのか。という勢いで目を合わせた。
「すみません。ありがとうございました」
結輝はそう言って軽く会釈し、トパーズたちをさっさと検査場へと向かわせた。
「おい、あんま触んなよ」
「そういう訳にもいきませんよ」
トパーズたちはしっかりと検査を済ませ、皆無事にセキュリティゲートを突破した。
「うおぉぉぉぉ!! 何か凄ぇなッ!? ワクワクするぜ!!!」
トパーズは初めての乗り物に大いにはしゃいでいた。
「他の客の迷惑になる事はすんなよ」
「わかってるって!…いやァ美味そう」
そう言いながらトパーズは弁当を開封した。
「早ッ!」
「さっきから腹減ってたからなァ」
トパーズは出発前に黙々と弁当を食べ始めた。
「…前から思ってたけど、お前食べ方綺麗だよな」
───箸の持ち方も直ぐに覚えたし
壊斗は、言葉遣いはガサツなのに。と言いたげな顔でトパーズを見た。
「あ? そりゃ、当たり前だろ。仮にも王族なんだしよ。そこん所はしっかり教育されてんだ」
トパーズは話を終えてから、米を口に運んだ。
「…そうか」
壊斗は、周りの皆が寝だしたのを確認した後、アイマスクを着用して眠りについた。
はい!って事で、ジャーバル編は一応完結です! 本当は他にもやりたい事とかあったんですけど、そしたらジャーバル編だけで尺取っちゃうんで諦めました。書籍化出来たら追加しようかと思います(ブックマーク6しか付いてないのに何言ってんだか)




