第五十六話「パスポート」
壊斗達は、あの後、無事に個人写真撮影を済ませた。
『色んな手回しから発行まで、ざっと一時間位掛かりそうだ。その間、青葉が二階の客室を使っていいってよ。そこで待ってろ』
壊斗達はそう言われたので、芹沢の作業が終わるまで皆で二階の和室で待つ事にした。芹沢はその間、何者かに電話を掛けたり、パソコンを触ったりで小一時間程が経過した後に、向こうから声が掛かった。
「完成したぞ。お前らの戸籍謄本と、パスポートだ」
壊斗達の偽造戸籍と偽造パスポートが無事に完成したらしい。芹沢はそう言うと、全部を一纏めにして壊斗に投げ渡した。
「おっとっと」
少しよろめいたものの、何とかキャッチする事が出来た。
「無くさずに大事にしまっておけよ?」
ビシッと指をさした。
「…はい。ありがとうございます!」
完成した顔写真付きのパスポートに、皆は寄って集って覗き込んだ。
「カイト目付き悪ぃなァ」
「いや、お前も人の事言えないでしょ」
壊斗のパスポートを見て大笑いするトパーズに、壊斗もすぐに言い返した。
…
それから、他愛も無い話から重要な話まで、駄弁り散らかしていると、外はすっかり暗くなっていた。
「お前ら。今日はもう泊まってけよ。近くに宿はねぇしな。青葉も、『もう暗いし泊まっていけ』ってよ」
「え!? マジか…アタシもう寝みぃし助かるぜ!」
「いや、辞めとこうぜ」
「どうしてだ?」
皆がウキウキの中、壊斗一人が反対した。
「流石にこの人数じゃ、邪魔になっちゃうだろ。それに布団も足りないだろうし」
「確かにそうだが、もう外も暗くなってるし、ここら辺には宿屋が無い。ここ以外に泊めてくれる所は無いぞ?」
結輝は正論を返した。
「…そうだな。泊めてもらうか」
「ただ、この部屋以外使うなとの事だ」
「じゃあ滅茶苦茶ぎゅうぎゅうじゃねぇか!!!」
「あれ、芹沢さんはどうすんすか?」
「俺は青葉の研究室で寝させてもらうとする。じゃ、ごゆっくり」
芹沢はそう言い残し、部屋を後にした。
「───枕投げだッ!」
トパーズは、枕を悟の顔面にぶち当てた。
「…やったなトパーズッ!」
そのまま暫く枕投げをした後、皆ぎゅうぎゅう詰めの状態で床に就いた。




