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成り行きで異世界転生 〜チート能力、期限付き〜  作者: 乙坂創一
第二章『フロウザー家捜索』

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第五十五話「偽名を作ろう」

あまりにも自信満々なトパーズに、芹沢は笑みを零した。

「そうか…なら、協力してやろうか?」

「え、良いんですか…?」

「あぁ。俺たちの目を掻い潜って暮らしているような奴らだ。俄然興味が湧いてきた」

そう言って芹沢はニヤリと笑った。

「情報屋の方が協力してくださるなんて。すごく心強いですね…!」

昌幸はそう言って喜んだ。

「お言葉ですが、協力って言っても…具体的に何をしてくれるんですか?」

結輝は芹沢に質問を投げかけた。

「まず手始めに、お前ら三人の偽の戸籍とパスポートを作ってやる」

そう言って、芹沢は壊斗たちゾウ大陸組を指さした。

「そんな事も出来るんですか?」

「まぁな。情報屋舐めんなァ? …だが、その前に一つ確認だ。昌幸、悟、結輝、乱子。お前ら四人はパスポートを持ってるのか?」

「俺は持ってますよ」

「アタシもッ!」

そう答えたのは、結輝と乱子だけだった。その他の二人は発行すらした事が無い。

「ま、お前ら二人には戸籍があるからな。比較的楽にパスポートを発行してやれる」

芹沢は「実際にパスポートセンターで発行するんじゃ、時間も金も掛かるからな」と笑った。

「で、問題は君だ。顔までは把握してないだろうが、この苗字のままじゃ面倒なことになる可能性がある。心当たりあるだろ? 東雲家のお嬢さん?」

「気づいてたのね…」

円香は、道中で購入した黒のキャスケット帽を取った。

「何故君が、彼らと行動を共にしているのか。気にはなるが今は触れないでおこう」

そう話しながら芹沢は背を向けたまま、チョイチョイと指で手招いた。

「───着いてこい。顔写真を撮影する」

芹沢は壊斗達を写真屋に案内した。



「…なぁ。タカヒロとか言ってた奴さァ、実は敵の差し金だったりとか、ねぇよな…?」

「…どうだろうな」

芹沢に聞こえないようヒソヒソと話すトパーズと壊斗。だが、壊斗達には芹沢の後を着いていくことしか出来なかった。


青葉(あおば)。パスポート用の写真を」

「はいよ」

芹沢は、青葉と呼ばれた男とヒソヒソと話を始めた。

「…カメラ類の準備にある程度の時間がかかるらしい。その間、お前らは戸籍登録の際に使う"偽名"を考えておいてくれ」

「偽名…」



「偽名っつってもなァ…そのままの名前で良いんじゃねぇか?」

トパーズはそう適当に言いのけた。

「戸籍はジャーバル人って事で作るって言ってたじゃないか。なら、漢字を使わなきゃおかしいだろ」

「でも…いきなり偽名を考えてって言われても…思いつかないよ」

エメルは困ったような顔で呟いた。

「じゃあ、俺が考えてやるよ。中学……昔、友達とひたすら居そうな名前を考えるって遊びをした事があるんだ」

壊斗はエメルの名付け親を買って出た。

「なら安心だね…! ありがと」

「じゃあオレのも頼むぜ」

「私のもお願いしていい?」

「任せとけい」

こうして、壊斗はエメル、トパーズ、円香の偽名を考える事となった。



「"ジュエラード"ってさ、(よう)はジュエルって意味だと思うんだけど、つまり、日本語…いや、ジャーバル語に訳すと、"宝石"って意味になるから───」

「宝を取るか、石を取るかだな」

「"石田(いしだ)"の方が無難で良いんじゃないか? 二人はどう思う?」

「おぉ〜」

「いいじゃねぇか」

「で〜、先に考えやすいトパーズから。トパーズは盾を使うから…読み方を音読みに変えて、(じゅん)。いや…盾助(じゅんすけ)…とか。漢字は違うけど、友達にも居たから、よくある名前だとは思う」

「石田盾助か…悪くねぇな」

【『トパーズ・ジュエラード』改め、『石田盾助(いしだじゅんすけ)』】

「次、エメルは…回復系の能力だから…癒す…癒子(じゅうこ)…何か違うな」

「じゃあさ! 回子とかは!?」

乱子はまるで名案を思いついたかのように誇らしげに発言した。

「いやそれ虫じゃん」

(かいこ)

「わ、私は…何でもいいよ…?」

そんなに悩まないで。という意味でエメルは言った。

「……(みどり)

「…可愛い!」

円香はキラキラした目でエメルを見た。

「石田緑…私の新しい名前…」

「どう…?」

「うん…! 良い!」

【『エメラルド・ジュエラード』改め、『石田緑(いしだみどり)』】

「…よし。最後に円香か」

円香はとてもワクワクした顔で壊斗の顔を覗き込む。

「一応、苗字と名前どっちもいじるとして、確か"円"だけでも"まどか"って読むよな…なら、大事なのは苗字だな」

円香はジーっと壊斗を見つめている。

───あんまり見つめられるとやりずれぇ…

壊斗は心の中でそうボヤいた。

「元の名前が"東雲"なんてイカした名前だから、偽名は控えめな感じにしてみようか」

再び壊斗は頭を回転させる。

「山田…はありきたりすぎるな」

う〜んと唸りながら頭を回転させた壊斗は、閃いた。と手を鳴らした。

「井上。井上円。字ズラに少し違和感を感じるから、円は平仮名にしよう。これなら良い感じじゃないか?」

ちらりと円香の様子を伺う。

「気に入った!」

【『東雲円香』改め、『上川(いのうえ)まどか』】

「よし。全員分付け終わった!」

「…つまんねぇ。ならアタシにも付けて欲しいぜ」

「僕も…」

「…俺も」

「お、俺も」

「いやいや、別に遊びで付けてる訳じゃ───」

「準備、終わったみたいだぞ」

芹沢の声で、自然と話が終わり、皆で撮影室へと向かった。

最初、トパーズたちの苗字は宝田にしようとしてたんです。でも、宝田緑ってキャラが既に居るらしく、あんま被らせたく無かったので渋々苗字の方を変えました。まぁ最終的には石田で良かった気が今はしてます。

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