第五十四話「血の繋がり」
「取引…?」
「はい、そうです」
壊斗は、芹沢の圧迫感のある言葉に、惑うこと無くそう返した。
「なかなか良い提案なんじゃねぇのか? カイトが何知りてぇか知らねぇけど」
「…分かった。その手に乗ってやる。ただ、一つ条件がある」
「条件?」
「お前らにやれるのは、俺の知っている情報の中で一つだけだ。だから慎重に選べ」
「おい、オレ達に色んな事喋らそうとしてる癖に、一つだけってのはケチくさすぎねぇか?」
「俺達はこの仕事に命掛けてんだ。必死こいて集めた情報は、本来は数百万にものぼる。情報によっちゃ数千万まで及ぶ事もある。だからそんな安売り出来るもんじゃないんだ。悪いな」
その言葉に、壊斗は少し躊躇った。
「話し合いの時間をやろうか?」
「じゃあ、少し…」
壊斗は、皆を集め、話し合いを始めた。
「で、壊斗は何を聞きたいんだ?」
「」
「俺は───」
『───!?』
壊斗の言葉に、数人が驚く。
「確かに…その頭は無かった」
「まぁ、一つと言われたらそれしかないだろうな」
「オレも絶対それが良いと思うぜ」
「でも、あの人…本当に知ってるんでしょうか」
「聞いてみないと分からないよ」
「アタシは何でもいいぜ。よく分かんねぇし」
「よし…決まりました」
壊斗は芹沢のもとへ歩いていく。
「何が聞きたい」
芹沢は真面目な表情で壊斗に問いかける。
「"フローザー"って家について、何か知りませんか」
「フローザー…」
その言葉だけでは皆目見当がつかなかったのか、芹沢は羽織っているロングパーカーの内ポケットから、ノートパソコンらしきものを取り出した。
「パソコン?」
「へぇ、知ってんのか。向こうにもあるのか?」
「どうだったっけ?」
「少なくとも、オレァ見た事ねぇぜ」
「私も…」
「そうか」
芹沢は、怪しむ目で壊斗をチラリと見た後、すぐパソコンの方に目を移した。
「調べてみたが、それらしき情報は見当たらなかったぞ」
「え…」
「って事は、エマルカとか以前に、この大陸には…」
「お前たちは、ソイツらを探しているのか?」
「はい、だいぶ前から探しているのに、未だに情報の一つも掴めてなくて…」
「そうだな…この大陸に居る以上、俺たちの目を掻い潜れるとは思わない」
「いや…アイツらにはそれが出来るかも知んねぇ」
トパーズは、芹沢の言葉を遮るように食い気味に話に割り込んだ。
「何か根拠があるのか?」
「ソイツらも能力者なんだ。姿を晦ますことくらい、簡単に出来ると思う」
「…お前が言う通り、フローザーが姿を晦ましていたとして、それを見つけ出すことが出来るのか?」
その問いに、トパーズは自信満々に答えた。
「何でか知らねぇけど、分かると思うんすよ。血の繋がりってやつで」




