第四十七話「決断」
健翔の死亡と同時に、人々は再び体を動かせる自由を得た。
「───ッ!」
結輝は、目覚めた途端に一目散にトパーズ達を探しに広場内を駆けた。
…
「トパーズ! 悟!」
結輝は、転がっている生首に祈りを上げているトパーズと、地べたに倒れ込んでいる悟を発見した。
「…その生首、能力者のものか?」
「…ああ、オレが殺した。つっても、ソイツを見つけ出したんはサトルだけとなァ…」
「そうか…悪かった。役に立てなくて」
「いや、気に病むな。能力者じゃねぇお前にはどうこう出来るもんじゃなかった」
一見悪口に聞こえなくもないが、トパーズは精一杯の励ましのつもりだ。
「…とりあえず戻ろう。壊斗たちを置いてきちまったからな」
結輝は悟を背負って、
…
壊斗は、眠っている三人の為に、その場で帰ってくるのを待っていた。その姿は、三人の下僕を従えている王のように見え、トパーズはツボに入ってしまった。
「お前らどこ行ってた? …起きた瞬間金縛りみてぇに動けなくなった事と関係あるのか?」
壊斗は眠い目を擦りながら言った。
「能力攻撃を受けた。だけどもう大丈夫だ。既に始末したからなァ」
「…始末?」
「気にすんな。もう済んだことだ」
「いやお前…」
「───だァッ! めんどくせぇ! もう片付いた事なんだから気にしなくたって良いんだよ!」
「待てって。お前…まさか、殺し───」
「おいカイト。そろそろお前、感覚をこっちの世界に慣らしたらどうだ?」
トパーズらしくない低い声のトーンに、壊斗は少しドキッとした。
「お前は平和ボケしすぎだ。まさか殺しはダメっつうのか? 後一歩で殺されかけていたお前が」
「殺されかけたって…待てよ、意味わかんねぇぞ…?」
「何故かは知らねぇが、お前は狙われてんだよ」
「狙われてる…?」
壊斗は訳が分からず、トパーズの言葉をなぞった。
「一体誰に?」
「お前一度、変な奴に注射みてぇの打たれたことあったろ?」
「あぁ…トパーズが殺されかけた時の事だろ…?」
「今日の奴は、恐らくソイツの仲間だ。だから殺した」
起きている仲間たちは、その言葉に驚愕した。だが、仲間たちは空気を読んで、会話に口を挟むことはしなかった。
「何でそんなことがわかんだ…?」
「お前のことを"ガーネット"って呼んでたからだ」
壊斗は度肝を抜かれた様な顔になった。それもそうだ。その単語は少なからず壊斗も聞き覚えがある言葉だったからだ。
トパーズをいたぶられた怒りのせいで、朝霧修二の事自体はよく覚えていなかったかったが、ソイツが言っていた奇怪な発言はうっすら記憶にあった。
「何で俺が狙われてんだ…訳がわかんねぇ」
壊斗の額からは謎の汗が滴り落ちる。
「今わかってんのは、組織のボスがお前を殺すよう命令を下したってことだけだ」
「俺の…せいで…」
壊斗は自分のせいで周りを巻き込んでいると自負していた。
壊斗は、眠っていたエメル、昌幸、円香の三人を起こした。
「…話がある」
壊斗は、神妙な面持ちでそう呟いた。
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