表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成り行きで異世界転生 〜チート能力、期限付き〜  作者: 乙坂創一
第二章『フロウザー家捜索』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/113

番外編「クザキ・エミコ」

成り行き一周年を記念して、壊斗のお母さんの話を書きました。

神様が、晴れ続きに飽きてしまったかのような悪天候。その日、私は双子を妊娠していた事が発覚しました。


後日わかったことですが、どちらも男の子でした。


最初に生まれて来る筈の子の名前は、義兄の康仁さんが決める事になりました。なんでも工崎家の仕来りで、出産の日が近くなると親戚一同が集まり、あみだくじを引き、当たりに辿り着いた人が名付け親になれるという決まりがあるそうです。


それが運悪く義兄に当たってしまいました。こんな言い方は良くないと思っていますが、義兄は四十路にもなるのに働きもせず、家に閉じこもり、義母さんと義父さんに迷惑ばかりかけているような人でした。


義兄は最初、所謂(いわゆる)キラキラネームというものを付けようとしていましたが、せめて普通に読める名前にと親戚一同に釘を刺され、渋々決めた名前が『壊斗』だったのです。意味を聞いてもへそを曲げたのか頑なに話してはくれませんでした。私の祖父や祖母は猛反対しましたが、ルールで決まった事だからとそのままの名前で決まってしまいました。


次に二人目の名前を決める時になりました。くじの結果、なんと私が名付け親になる事が出来ました。恥ずかしながら少し涙が零れ出てしまいました。


私はその子に、本当は壊斗に名付けたかった名前を付けてあげることにしました。名前は───


拓斗。工崎拓斗。意味は自分の才能や、人との関係をひろげていって欲しいと思ったからです。


名前には意味を持たせないといけません。ルール違反ですが、私は1度だけ義兄に抗議をしに行きました。


私は義兄に言いました。

「名前には言霊が宿るのよ。こうなって欲しい。こう育って欲しいって。貴方は壊斗に何かを"壊す"人間になって欲しいの?」


義兄は頭を掻き毟った後、信じられない言葉を返してきました。

「うっせぇな。そんな迷信信じてんのかよ。最初のやつを変えてやったんだから文句言うんじゃねぇよ。ルールで決まった事だろ? べちゃくちゃと口を挟んでくんじゃねぇよ。このクソババァ」


その言葉に、私は深く絶望しました。そして私は、決して思ってはいけないことを思ってしまいました。そんな名前の子を、心から本当に愛せるのか、と。その次の瞬間、私は怒りが湧いてきました。義兄にではなく、自分にです。自分と最愛の夫との子を、一瞬でもそんな風に思ってしまった。私はそんな自分が一生許せません。


どんな名前であっても、腹を痛めて産んだ私の子。それは変わらない。私は何があってもこの子を、壊斗を愛し抜くと決めました。



8月11日。午前二時四十分。十数時間もの痛みを耐え抜いた末、何とか無事に第一子を出産することが出来ました。ああ、この子が壊斗なんだ。私は産まれたばかりのこの子を、堪らなく愛おしく思いました。


続いて二人目の出産です。結果だけ言うと。


二人目は、拓斗は流れてしまいました。


あまりの衝撃で、言葉を失いました。すぐには涙が出ませんでした。信じられなかった。信じたくなかった。助産師さんがそっと金属トレーの上に置いた拓斗の無惨な姿を見た途端、壊斗をそっちのけで泣き崩れてしまいました。この日は、最高な出来事で始まり、最悪の出来事で幕を閉じました。



───最期に。頑張って生まれてきてくれた拓斗へ。


辛かったよね。苦しかったよね。…痛かったよね。


生まれてきてくれて本当にありがとう。拓斗。大好きだよ。またね。

面白いと感じていただけたら、ぜひ評価、ブックマーク登録お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ