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成り行きで異世界転生 〜チート能力、期限付き〜  作者: 乙坂創一
第二章『フロウザー家捜索』

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第四十四話「紅月公園」

今日は過ごしやすいいい天気だ。だが、あんなことがあった後だ。皆揃ってテンションだだ下がりだ。


暫く続いた無言を壊斗が打ち破った。

「…しかし、あんな輩が居るなら迂闊に飯も食えねぇな」

「安心しろ。俺が飯に毒が入ってるかどうか判別してやる」

結輝は飄々とそう返した。

「…頼もしいな」

これで会話は終了した。



「あ…あんな所に」

昌幸はとある広場を見つけ、指さした。そこは芝生と木々が生い茂っており、沢山の人で賑わっていた。

「こ、公園だ! ちょっと一休みしようぜ?…さっきはゆっくり出来なかったからな…」

「賛成!」

賛成多数で一時的に公園で一休みすることになった。


たまたま木陰が空いていたので、皆でそこに座ることにした。

「ふ〜疲れた…」

「この広場はのどかで良いな。周りの奴らも皆楽しそうだ」

「…眠くなってきたな」

「カイト、寝ちまうのか?」

「さっきエメルに疲労は取ってもらったけど、眠気が取れないんだ」

「ああ、確かにな。こいつの能力じゃ眠ィ時にゃ頭痛とか眠気とかは取れんだけどよ、一時的っつーか、何でか気ぃ抜くと寝ちまってるんだよなァ。眠くもねぇのに」

不思議そうに呟くトパーズ。壊斗は、少ししょんぼりしているエメルに声をかけた。

「多分エメルの能力は疲労を回復してくれているから眠気が一時的に無くなるだけで、眠気を根本から消すことが出来る訳じゃないだ。…別にエメルを責めているわけじゃないからな? 人には得意不得意があるんだから」

「うん…」

エメルは歯切れ悪く頷いた。

「でもさ、さっき襲われたばっかりだろ? 気を抜くのは危なくないか?」

「こんだけ人が居りゃあ平気だろう」

壊斗はそう言いながら地べたに横になった。

「皆も寝てみ? 風がめちゃくちゃ気持ちいいぜ〜」

「オレは筋トレすっから、大丈夫だ」

「そうか。じゃあ、おやすみ〜」

壊斗はそう言った直後、幸せそうな顔で寝息を立てた。

「寝んの早ぇな」とトパーズ。

「ふわぁ…そう言われると俺まで眠くなってきやがった」

結輝は悔しそうにあくびをした。

「俺が見張っておくよ。皆安心して眠ってくれていいから」

「そうか? 悪いな。悟」

そう言うと結輝も目を瞑った。続くようにエメルと円香も眠り始めた。

「僕は本でも読もうかな」

そう言うと昌幸は前に購入した本の続きをペラペラとめくり始めた。

「サトル、暇ならオレと筋トレでもしようぜ。やり方教えてやるよ」

「…いいね。俺もそろそろ始めようと思ってたんだ。ほら、腕とか爪楊枝みたく細いからさ」

そう言い、悟は自分の腕の肉をつまんだ。



数分後、悟はその場に倒れ込み、息を荒らげていた。

「いきなり…腕立て100回はやりすぎだって…もう腕上がんないよ」

「一応お前のために回数減らしたんだぜ?」

「いつもは…どれくらい…やってるの?」

「あぁ……500回ぐらいだな。最近はなにぶん時間がねぇからな。前は1000回ぐれぇだったと思うぜ」

「トパーズって…本当に人なの…?」

「ったりめぇだろ? ほら、次、さっさと腹筋やんぞ」

「ひえぇ…」



それから数十分経った時の事だった。昌幸は手に持っていた本を落とし、何やら親指を動かし始めた。

「ん? どうしたマサユキ?」

昌幸は顔色一つ変えず、親指を動かし続ける。

「おーい、サトルッ! …マサユキが変だぞ?」

悟はその問いかけに返答する気力が無く、地面にうつ伏せに倒れ込んでいた。

昌幸は暫くすると指を動かさなくなった。

「まじにどうしちまったんだ? そんな呆けた面してよォ…?」

トパーズが体を揺さぶると、昌幸はそのままの体勢で地面に倒れた。

「…そうか、寝ただけか。それにしても、変な眠り方だな」


続くように壊斗が口を開いた。

「う…あれ…何が起きてんだ…?」

そう言い残し、壊斗は口を閉じた。

「…寝言か?」

トパーズは首を傾げ、不思議がった。

「…さっきからぶつぶつと…どうかしたの…?」

悟は何とか起き上がって今にも死にそうな声で言った。

「ああ、昌幸が変なんだ。突然親指を動かし始めたと思ったら、目ェ開けたまんま床に倒れちまってよ…」

トパーズがそう悟に答えた途端、何者かが声を荒らげた。

「───二人共…体を動かせッ…止まっちゃ…駄目だ…体を…動かし続け…ろ…口も…だッ…」

寝起きの結輝は掠れた声でそう告げた後、昌幸と同じように動かなくなった。

「…何だ? ユウキの奴。起きたと思ったら、寝ぼけてんのか?」

「体を動かせって…もう無理だよォ…」

悟は涙を零しながら泣き言をほざいた。

「!?」

トパーズは今、自身の体に起こっているある異変に気がついた。

「 何だ!? 足が…動かね───」

胡座をかいていた足が動かないのだ。疲労だとか痺れたとかではなく、いくら脳から信号を送っても、それが足に届くことはなかった。

「痺れたの…? そういう時はゆっくりと前に伸ばすんだよ…」

「一思いにやってくれッ! 頼むぜッ!」

「え、良いの? 触るとジーンってなっちゃうけど…」

「良いから早くッ!」

「わかったよ…」

───ん、固…ッ。

悟はトパーズがかいていた胡座を解き、足を前に伸ばしてあげた。トパーズの足からはパキパキと音が鳴った。

「どう? 少し固まってたけど…」

「ん、治ったぞ…?」

トパーズはそう言うと、その場ですくっと立ち上がった。

「え、…おかしいなぁ。そんなすぐに痺れは治らないと思うけど…」

悟はそのことを深くは考えず、疲れていたのでとりあえず地面に座ることにした。


休憩がてら、辺りを見渡すと、悟はある共通点と違和感に気付いた。

「…遊んでいる子以外、寝ちゃってるね」

走り回っている子、ボール遊びをしている子以外、つまり、現時点で動いていない人が全員眠っているのだ。

「まあ気持ちいい天気だしな」

「そんな事…ある? この広場に居る、座っている人達が皆、寝るなんて事……あれ?」

悟は大分足を休め、少し立ち上がろうとした途端、足だけが動かない事に気が付いたのだ。

「うわァ!! 俺の足が石みたいに動かなくなったッ!!」

「…何だ。お前も痺れたのか?」

トパーズはニヤケながら横目で悟を見た。

「違う! こんなすぐに痺れることは無いはずだ! …とにかく引っ張って! さっき俺がやったように!」

「お、おう」

トパーズは言われるがまま、自分と同じことを悟にしてあげた。ピキピキと音を立てて。

悟は足を伸ばしてもらい、何とか自力で立つことは出来たが、足に違和感が残った。それと同時に、頭に嫌な予感がよぎる。


「と、トパーズ。つま先って…動かせる?」

悟は恐る恐る、そうトパーズに尋ねる。

「つま先ィ? そりゃあ…」

トパーズはつま先を動かそうとしてみる。が、それは失敗に終わった。

「何でだ!? 足の指まで痺れちまったのか!?」

そう。トパーズは遅くして気付いた。何か不可解だと。それと、二人に共通していること。


足の指が、つま先が、動かないと言うことに。

「そんな訳ない! 足の指がつることはあっても、指だけ痺れることは…」

悟は必死に矛盾点を否定した。

「それにさっきのあの三人! 単なる寝ぼけってだけじゃ説明がつかない!」

「もしかして…いや、まさか…」

二人はハッとして、顔を見合せた。

「───どこからか能力で攻撃されているんだッ!!!」

タイトルはこうづきこうえんと読みます

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