第四十二話「実演」
「…能力って何だよ」
「え…」
壊斗は結輝の思わぬ発言に、聞き返してしまった。
「だから、能力って何だよ。ふざけてんのか?」
結輝は少し怒気の篭った声で問うた。
「あー、こいつ能力じゃねぇみたいだぜ」
トパーズは頭をポリポリと掻きながらそう口にした。
「能力の事を仄めかしながら話したんだけど、何も(なん)知らなそうだった。隠してるって感じでもなかったしよォ」
「トパーズ…お前まで…」
結輝は少し悲しそうな顔をした。
「…見せりゃいいだろ、その方が手っ取り早いし」
壊斗はそう言うと、「トパーズ」と声をかけた。トパーズ「おう」とそれに応じ、手から眩しいくらいの光と共に、魔法陣の様なものを召喚し、黄色いアタッシュケースを出して見せた。そう、黄盾だ。
結輝は口を開けたまま、ただそれを見つめた。
黄盾をパッと消してみせ、黒いケースを出現させた。
「見ろよ、小技会得したぜ?」
トパーズは二へへと笑う。
「これが特殊能力じゃないとしたら、どう説明づける?」
壊斗は真剣な眼差しで結輝と目を合わせ、そう言い放った。
「冗談じゃ…無かったのか…」
結輝は目を擦ってみたが、黄盾を何度も出し入れするトパーズを見て、これは現実だと確信した。
「これでも足りないなら、ほら」
壊斗はベキッと何の躊躇いもなく自分の小指を折り曲げた。
「痛みを感じない…とかか…?」
「まさか。多少は痛ぇよ」
壊斗は「エメル」と優しく声をかけ、エメルは壊斗の小指に手をかざし、元通りに治して見せた。
「最後に───誰でもいいぞ、俺を思いっきり殴ってみろ」
「俺がぶん殴ってやる」
トパーズがやる気に満ちた顔をして躍り出た。肩を回し、思い切り振りかぶって壊斗の顔面を殴りつけた。
「───ッたァ!」
トパーズは痛みのあまり手をブンブン振り回した。
黙ったままの壊斗の代わりに、円香が説明を加えてくれた。
その間、壊斗はある疑問を感じていた。
ほんの少しだけど、痛いぞ…?
壊斗は軽く突つかれた程度の痛みであったが、微かに痛みを感じた。
「もう良い、ありがとう…疑って悪かった」
「まぁ、簡単には信じられませんよね…私も最初はそうでした」
円香は「今は慣れましたがね」と笑った。
「トパーズが連れてきたからてっきり何か凄い能力でも持ってんのかと思ってたよ…」
「こいつは今のオレに必要なものを持ってたんだ、それに…」
トパーズは一泊置いてこう言った。
「能力だけが全てじゃねぇ。特に俺の力の場合はな」
トパーズは「気を取り直して」と背伸びをした。
「ほら、カイト! せっかく新たな仲間を迎え入れたんだ!飯食い行こーぜ!!!」
「…そうだな。結輝は何か食いたいもんあるか?」
「…ハンバーグ」
照れくさそうに結輝は小さく呟いた。




