第三十九話「衝突」
結輝は逃げた。ただがむしゃらに。後先考えずに。その場から離れることだけを考えた。
走り続けること十分。結輝は人通りが多い所まで逃げ切った。撒けたかどうかはまだわからない。結輝は逃げ続けることにした。
走りながらチラリと後ろを振り返ると、人にぶつかってしまった。
「───ッ痛」
「ごめん! 急いでるから!」
結輝は軽く平謝りをし、直ぐに走り去った。
「おい…ぶつかったら謝れよ」
黄色い髪に緑色を帯びた瞳をした男が結輝の肩を掴んだ。
「ん? お前、オレに似てんな」
トパーズは結輝の姿を見て目を見開いた。
「後にしてくれ!ちゃんと謝ってやるから!」
結輝はトパーズの手を振り払い、逃走を図ろうとしたが、服の襟を掴まれ逃げることが出来なかった。
ただでさえ人通りが多い場所だった為、小競り合いをみたい野次馬共がゾロゾロと集まってきた。
「オレァ今、気ィ立ってんだよ。謝るなら今のうちだぞ」
「俺についてきてくれよ。振り切ったら土下座でも何でもしてやるからさ!」
「今ここでやれ」
「頑固だなッ」
結輝は左手と左足を少し前に出し、右手と右足を軽く引いた。
───ボクシングの構えか…?
「やんのか?」
トパーズは構えをとった結輝を見て、苛立ちが増幅した。
「早いとこケリ付けて、俺は逃げる」
ハイキックを繰り出した。
トパーズは自分のよく使う技の為、対策するのは余裕だった。
トパーズはハイキックを肘でガードしてやろうと思った。
しかしトパーズの思惑通りにはいかず、結輝は足を下げその場でくるりと回転し、技を後ろ回し蹴りに移行した。
トパーズはすっかり上がった足に気を取られてしまい、技の変更に気づくのが遅れた。
結輝の踵はトパーズのこめかみを蹴り抜いた。結輝の蹴りはしっかりとこめかみを捉え、脳震盪を起こし、トパーズはその場に倒れてしまった。
「別にさ、足が上がったからってそっちで蹴るとは限らないぜ?」
【〈蹴りの鬼才〉『神崎結輝』】
トパーズは接近戦、近接格闘術が苦手です。




