第三十四話「絶体絶命」
構想練ってたせいで投稿めっちゃ遅れましたすみません
トパーズは反省しなくてはならない。己の弱さを。それは力や戦略の話では無く、内面的な部分の話だ。
全身を盾で覆うことによりどんな攻撃でも一度は防ぐ事が出来る。が、その間盾を使った反撃や追撃が出来なくなる。防御に徹しているだけでは、いつまで経ってもトドメを刺す事は出来ない。トドメを刺せる場面になればの話であるが。
だが、まだトパーズにはいくつかの選択肢がある。例えば、今すぐに全身を覆っていた盾を解除し、攻撃に徹する。盾を使い、自分だけをバウンドさせ、穴の中から脱する。あるいは、盾を通常状態に戻して構え、逃げに徹する。
然し、トパーズはそのいくつかの選択を選ばなかった。理由はただ一つ。あの痛みがトラウマになっていた。もう二度とあの技に当たりたくない。その一心で微かな可能性と希望を放棄した。
「《クアドラングル》」
修二は緑色の四角形を飛ばした。しかしそれは、トパーズの目前で突然萎縮した。
「チッ… ハズレが出やがった……《オクタゴン》《エニアゴン》」
修二は間髪入れずに両手から橙色と桃色に光る八角形と九角形を出現させた。
「これでも食らって死ね」
修二は嘲笑うかのような表情で両手を広げ、八角形と九角形を飛ばした。
八角形は難なく交わすことが出来たものの、九角形の方は避けても避けてもトパーズを追尾した。
「───フッ」
トパーズは壁にもたれ掛かり、スレスレで避け、追尾させる間も与えず九角形を壁に直撃させた。
───なんだ、パターンが分かれば避けんのなんか楽勝じゃんッ!!
トパーズは心の中で修二を嘲笑った。
「《ペンタゴン》《ヘキサゴン》《セプタゴン》《デカゴン》」
修二は、連続して〈図形〉を手から放出した。
図形達はそれぞれ炸裂、膨張等といった形で各々トパーズを攻撃したが、間合いを完璧に読み、それら全て交わして見せた。ハンデと言わんばかりに地面に片手をつけ、ひょいと交わしたりもした。
「何で当たんねぇんだよォッ!!!」
修二は目をかっぴらいて踏ん張り、力強く八角形を下投げした。
「しつけーよ」
トパーズは体を後ろに反らして攻撃を交わした。
「……弾切れか…もう十発打っちまったな」
修二はトパーズから顔を背け、俯いた。
「んん? まさかその能力 "十発以上は打てねぇ"のか? ねちっこくて気色悪ぃ能力だったなァ テメェの能力よォ ……テメェ自身をよく表してんじゃねぇか」
トパーズは安堵を堪えきれず、自然と笑みを漏らしてしまった。
「……オレも出血やべぇな このままじゃ死んじまうかも知んねぇ」
ふと自身の弾け飛んだ左腕を見ると、まだ血がボタボタと滴り落ちていた。
修二は少し気を抜いたトパーズの頭を鷲掴みにした。
「俺もこういう性格が嫌だからアイツらとつるんでた」
修二はタバコを吐き捨て、そのまま頭を地面に叩きつけた。頭が地面に埋まり、地面の破片が散らばった。
「───ッ!!!」
あまりに急激な出来事に、トパーズはうめき声一つ発する事が出来なくなった。
「アイツらと一緒にいる時だけは」
砕け散った地面の中からトパーズの頭を掴み、引き上げた。
「バカでいられた」
修二はトパーズの頭を壁にめり込ませた。
───ゔぅッ 駄目だ… このままじゃ痛みが軽減されるだけで、完全に防ぎ切る事が出来ねぇッ!!
トパーズは微かに蓄積されていく痛みに耐え続けた。
修二はトパーズの首根っこを掴んで壁から引き出し、雑に地面に放った。
「アイツらと同じ場所が俺の心の拠り所でもあった」
修二はトパーズの顔面を肘で殴りつけた。
「お前のそのダセェスーツ…… これなら貫けっかな」
修二は自身の右手を緑色のオーラで覆った。
トパーズはこれは本気でやばいと悟り、体を転がし、その場から一時避難をした。
「チッ まだ体力残ってんのかよ……」
修二はそう小さく呟いた。
トパーズは自分が稼いだほんのわずかの時間で頭をフル回転させた。
相手の特徴や癖を見てきた事、感じた事全てで思索し、相手の弱点をあぶりだそうとした。
頭の中を巡らせて行く中で、トパーズはある事に気がついた。
───待てよ、アイツ 能力十発打ったとか言ってたよな? 一、二、三……九ッ!? まだ一発隠してやがるのかッ!?
そう、修二はまだ一発、能力を隠し持っていた。
───でも、何で隠した!? 何を考えてやがる!?
トパーズは必死に考えた。その間も修二はゆっくりと歩み寄ってくる。
限られた時間内で考えに考えた結果、殴る蹴るを続け、トパーズを極限まで弱らせ抵抗が出来なくなった所でトドメを刺す気だと結論付けた。
色々なことを考えていく内に、トパーズは考えたくもないことまで頭に浮かんでしまった。
彼の能力の上限が十発とは限らないのだ。
どちらにせよこのままでは安易に盾を解除して反撃に移る事が出来ない。トパーズはある作戦を実行することにした。
「───何ボーっとしてんだ アホ見てぇな面で」
「オレの顔 見えてんのか?」
「透けて見えるぜ ……テメェのアホ面がよォ」
修二は口元をニヤつかせた。
トパーズは一瞬の隙に修二のもとへ駆け出した。
「近寄んなよ」
修二はトパーズのみぞおちに膝蹴りを入れた。
「───ッグゥ」
確かに効いた。だが、トパーズは絶好のチャンスを掴んで離さなかった。
「気づくの遅せぇなオレ… "間合いを詰めりゃ"お前は能力を出す事は出来ねぇ」
トパーズはニヤつきならが修二に抱きついた。能力を出させないために。
「ちゃんと数、数えてたんだ」
バツが悪そうに修二は続けて言った。
「───で、誰が自分に被害が及ぶだなんて言った?」
修二は小さく《トライアングル》と唱え、黄色く光る三角形をトパーズの心臓に押し当てた。
バリイィッと大きく音を立て、《黄盾》はガラス細工の様に砕け散った。
「───嘘……だろ?」
「嘘じゃないんだな〜」
トパーズは死を覚悟した。現状に深く絶望し、地面に膝をつきかけてしまった。
だが、トパーズは考え直し、服を破いて左腕の止血を行った。
「お、お前 以外といい体してんじゃねぇか」
「……ジロジロ見んな 気色悪ぃ」
「生憎能力を本当に使い切っちまった ……変なスーツも破れたみてぇだし 俺の手で殺してやる」
修二は、「あ」と何かを思い出したかのような声を出した。
「これもお前の策略か? 時間稼いでガーネットを逃がそうって魂胆だろ? させねぇよ」
修二が繰り出した前蹴りをさっと避けた。
修二の蹴りは壁に穴を開け、右足が壁にめり込んだ。
「ん? 抜けねぇ」
───盾を失った以上、こっからは殴り合いで勝たなきゃいけねぇッ!!
修二が手こずっている隙にトパーズは宙返りをし、修二の横っ面を蹴り飛ばした。
……確かに蹴った。だがしかし、修二は微動だにしなかった。顔を抗力でガードしたからだ。
修二は顔に当たったトパーズの足を掴み、強く握り骨を砕いた。
「グッ!!!」
修二は足を離さずに反対方向に投げ飛ばした。
トパーズは壁にめり込み、口から血を吐き出した。
壁に強く打ち付けられた衝撃で内蔵を損傷してしまった。このままでは長くは持たない。
「早いとこ殺らなきゃなァ ガーネットがどっか行っちまう」
いつの間にか壁から足を抜いていた修二が、十字架にかけられたように身動きが取れないトパーズの顔面を殴りつけた。
顔は面影が残らない程に潰れてしまい、歯も何本か折れてしまった。
トパーズは、折れた歯を飲み込んだ。床に散らばってしまったら、回収が困難になる。つまり、後でエメルに治してもらおうと考えたからだ。
「ひっでぇ顔だな」
修二は後ろポケットから二本目のタバコを取り出し、口に咥えてライターで火を付けた。
「もう死んでっかも知んねぇから 火葬してやる」
修二は仲間の亡骸をトパーズの近くに集め、ライターの下を握りつぶし、オイルを撒き散らした。
タバコの灰で火を灯そうとした時、死んだと思っていたトパーズが声を発し、修二は驚いた。
「や……めろ…」
タバコを指でつまんで口から外して喋りだした。
「確実に頭蓋骨まで砕いたと思ってたんだけどな 壁に救われたか」
修二は皮肉な事にと苦笑した。
「火葬は辞めだ」
修二はタバコの火をトパーズの額に押し当てた。
「テメェ…… 誰だか知んねぇけど 助かったわ 俺1人じゃ気づかなかった」
修二は壁を思い切り殴り、穴を開けた。
「こうやって登ってけるって事」
じゃあなと言ってどんどん登ろうとする修二の足を掴んだ。
「行……く…んじゃ……ねぇ…」
「クッソ……しぶてぇな」
修二は振りほどこうと足を揺らしたが、トパーズが手を離すことはなかった。
折れているはずなのに、力なんてまともい入らないはずなのに。トパーズは強く、力強く修二の足を掴んで離さなかった。
「───ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ クソッ!! めんどくせぇから見逃してやろうと思ったのによォッ!!! やっぱ殺すしか無さそうだなッ!!!」
修二は壁に埋まってた手を引き抜き、再び地面に降り立った。
修二は、トパーズの腹を蹴った。勿論、抗力を足に纏いながら。
修二の蹴りが、トパーズの内蔵を潰し、グチャグチャに混ぜ合わせた。
トパーズは大量の血を吐き出した。
───バ……カイトッ 助けてくれ
柄にも無く、トパーズは他人に助けを求めた。だが、そう叫ぼうしただけで喉を潰されて声が出ない。
失いそうになる気を保とうと努力をした。しかし、次の一撃でトパーズは意識諸共命を失うことになる。致命傷が重なると、致命になるのだ。
「結局お前の仲間は誰一人助けに来てやくれねぇんだな」
トパーズの心を読んだかのように、修二は哀れみの目でトパーズを見た。
修二は目に光が無くなっていくトパーズを哀れみ、最後の一撃にしてやろうと決めた。
「───何してるんだッ!!!」
トパーズはその声で意識が戻った。目に、光が戻った。
そこには、穴を覗き込み大声で呼びかける何者かの姿が見えた。
MYの家完全に解体してみたドッキリでずっと笑ってるwwwwwwww




