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成り行きで異世界転生 〜チート能力、期限付き〜  作者: 乙坂創一
第二章『フロウザー家捜索』

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第二十六話「迷い子」

え? SPY×FAMILYえっぐ。

髭男と星野源とかセンスの塊やがな。

「…そういやぁよ …お前、名前は?」


トパーズは少年の案内について行く最中、少年の名を尋ねた。


「…はい?」


少年は首を傾げた。


「名前だよ! おいとかお前としか呼べねぇだろ? 早く言えよ!」


「…七海昌幸(ななみまさゆき)です」


「マサユキが名前だな?」


「そうですよ…?」


昌幸と名乗る少年は、不思議そうな顔をした。




「…着きました ここが僕たちの家です」


到着したのは、薄暗くボロボロの布や木々で構成された小さな家々であった。家と呼べるかすら分からない。


「これが…家か?」


トパーズは神妙な顔で少年を見る。


「そうですよ で、でも! ここは僕の家です 他のみんなの家は …ほら」


少年が指差した方角には、同じような家が何個も連なっていた。


「…よくこんなとこに住めんな」


トパーズはここに住んでいる者に同情した。自分には到底住めっこないと思ったからだ。トパーズは仮にも王族だ。大きな家に大きな自室は勿論の事、その他にも数多くの部屋がある。そんな生活を送ってきた人間にはここまでの質素な生活は不可能に近いだろう。


「いえ、自分たちは恵まれています 今この時にも、こんなちっぽけな家すら無い子供も沢山居るんです だから贅沢も言いませんし僕達はこれで満足です」


昌幸は何処か嬉しそうにはにかんだ。


「そうか…? まぁ良いや」


「…アナタ達こそこんな所に何しに来たんですか」


少女…円香は不機嫌そうにそう言った。


「もうちょっとマシなもんあるかと思ったんだけどよ …見当違いだったわ」


「…随分も失礼な人ですね」


「うるせ 無抵抗な奴にナイフ向けるような奴に言われたかねぇ」


「僕からもお願いです 良ければ聞かせてくれませんか?」


「…まぁ 良いぜ オレらの冒険を語り尽くしてやる あ、今からする話は他言禁止だぞ?」


トパーズはドスンと地面に座り、胡座をかいた。


「まだ四日くらいしか経ってないだろ…」


トパーズは若干盛ってはいたが、これまでの事を全て語った。


最初は興味無さそうにしていた円香も、次第に目をキラキラさせて話を聞き入っていた。


気づけば最初は二人しかその場にいなかった子供たちも十数人が近寄ってきていた。


「───つう事で ここに来たって訳だ」


「今の話マジならやっべぇな!」


「おとぎ話みたい…」


「未だに信じられません… 海の向こうにも大陸と国があるだなんて」


「…」


円香は何やら考え込んでいるみたいだ。


「…円香?」


昌幸は円香に声をかけた。


「……え、どうかした?」


円香はハッと我に返ったかのように答えた。


「いやぁ 急に黙っちゃうから心配しただけだよ…」


「じゃあ次はお前らの話を聞かせろよ」


「…別にいいですけど 全然面白くないと思いますよ」


「良いから早く言えって」


「…分かりました」


少年少女達はそれぞれここに来た経緯を語り始めた。


数人の話を聞いたが、親に捨てられたという子が大半だった。


こうやって身寄りの無い子供たちが家族のように寄せ集まって暮らす事は、よくある事だそうだ。


中には人を殺してしまった子も居て、ナイフを使った護身術等はその子に教えて貰ったらしい。


中には腹が減りすぎて母親を殺してガリガリになるまで肉を食べ尽くしたなんて奴も居て結構引いた。


「……迷っていましたが…… 決めました」


円香は、決意を固めた表情をして壊斗を見つめている。


「私もその旅に連れてってください」


『…は?』


トパーズと壊斗は声を合わせた。


「マドカちゃん!?」


「円香!?」


「…実は皆に隠してた事があるの」


辺りがざわめく。


「な、何?」


「私の苗字 皆に言ってなかったよね」


「…うん 言いたくないのかと…」


「ううん もういいの 私ね…」


「"東雲"家の一人娘なの」


───しののめ? 知らない名前だなぁ。


「…嘘だよな?」


少年達は引きつった笑顔を見せた。


「…何で今嘘つくと思ったのさ」


「冗談でもそんな事言うもんじゃねぇぞ…?」


「だから本当なんだって」


いつもの三人以外、動揺し大声で騒ぎ立てた。


「東雲家のお姫様が何でこんな所に住んでんだよ!?」


「や、やべぇッ!俺ら殺されるッ!」


「い、今すぐ家に帰れってッ!な!?」


「お、おいッ! オレらを話から置いてくなって!」


「東雲家の現君主であり大名、東雲右月(しののめうげつ)様! この国のトップに君臨するお方だ!ジャーバルだけじゃなくエマルカ人だって知ってる!」


眼鏡をかけた少年が震えながら解説を始めた。


「…随分と詳しいね」


昌幸はそう聞き返す。


「…俺の死んだ親父が侍だったんだ 親父は東雲家に仕えてたから詳しく知ってるんだ」


「…詳しく教えてくれるか?」


壊斗は静かにそう呟いた。


「…? いいけど」


眼鏡少年は詳しく説明をしだした。


「元々右月様は左月(さげつ)様と言う実の弟が居たんだ けど『千色(せんじき)の戦い』で左月様が敗北し、右月様に処刑された」


「そこからは右月様の天下だ 自分に楯突く大名はもう誰も居ない この国を収めるたった一人のお方だ!」


「あん? じゃあそのウゲツって奴がこの国で一番強ぇんだな?」


「馬鹿かよ! 大名の娘、円香姫の前で何たる無礼だ! この事を円香姫が上告すればアンタなんか直ぐに死刑になるんだぞ!」


「…秀光(ひでみつ) 急に変な喋り方しないでよ…」


円香はため息を着いた。


「皆も今まで通り接して 皆にまでそんな他人行儀な話され方すると私も疲れちゃう」


「う、うぅん…」


「…やっぱりもう どっちにしろ此処には居られなさそうね」


「正体がバレちゃったんだから 仕方ないけど…」


「アナタの名前…壊斗って言いましたよね? …もう後には引けない 私を連れていってください お願いします」


円香は深々く頭を下げた。


「…姫っ! 何をしておられるのですか!?」


「…アンタ もっと攻撃的じゃなかった?」


「…数々の無礼をお詫び申し上げます」


「もう!秀光は東雲家に仕えてる訳じゃないんだから普通に話してよ!」


「で、どうすんだよバン」


「いい加減名前覚えてくれよ」


「しっくり来ねぇ …で、コイツも仲間にすんのか? 情報収集位しか出来なさそうだけど、あ」


「どうした?」


「その女諸共ウゲツとか言うやつも仲間にしちまえば良いんじゃねぇか!? そうだ! それが良い!!!」


「ぜってぇそんな簡単なもんじゃねぇだろ…」


壊斗は呆れてため息を吐く。


「…俺らに着いてきた所でここに居るのと大差ないかもよ? そんな運良くゴロツキが居るとも限らんし」


「それに…多少危険も伴うかも知れない それでもいいのか?」


「…うん 覚悟は出来てます」


「なら僕も行きます いや、行かせてください」


「昌幸!?」


「円香だけでは心配です だから…」


「要らねぇよ」


トパーズの一言で場が静まり返る。


「…何でですか!?」


「必要ねぇ どーせその東雲家とかに行きゃ何人も協力してくれる部下が居るんだろ? ならお前みてぇなガキよりそいつらの方が良いだろ」


「…クッ! お願いします!」


地面に頭を擦り付け、土下座をした。そしてそのまま血が滲む程頭を打ちつけた。


何度も何度もお願いをした。


「辞めろッ!!!」


壊斗が声を荒らげた。


「トパーズッ! 何やってんだ! 子供にそこまでさせんなよ!」


「い、いや…だって…」


「だってもクソもあるか! …昌幸 大丈夫か?」


昌幸は顔を上げた。額からは血が滴っている。


───ここじゃ混乱を産むだけだ。後でエメルに治してもらおう。


「二人共 これが約束出来るなら着いてきて良いよ」


『何ですか?』


「自分の身が危険に晒された時、自分の力だけで解決しようとせずに俺らを頼る事 な?」


『分かりました…』


「良し! じゃあ早速…行く?」


「…工崎さん 一応右月様に許可を得た方が懸命かと思います もし無言で旅に出て万が一家来の方に見つかりでもしたら…事が思わぬ方向へ行ってしまいますし、最悪僕達と右月様との全面戦争に発展してしまうかも知れません」


昌幸は神妙な面持ちでそう言った。


「…じゃあ そうするか 円香…姫? 案内して…ください」


「…敬語など不要です 普通に喋って下さい」


「あ、わかった」


「…」


壊斗はちょいちょいと昌幸を呼んだ。


「何です?」


「…お前 実は円香…姫の事好きなんだろ?」


「え!? …な、なんで分かったんですか…」


「何となくな〜」


壊斗たちは新たに二人の仲間を増やし、東雲城へ向かった。

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