第十七話「ジャーバル」
YouTubeでオススメに「平穏世代の韋駄天達」のOPが出てきたんだけどカッコよすぎた。OP歌ってる人がめっちゃ好きな人で何回もループした笑
見てみようかな…
『着いたぁ!』
三人、口を揃えて叫んだ。
約三日ぶりの地面、と言っても砂浜だけれど。
遠くの方に建物が見える。
「な!? 俺の言った通りだったろ!? やっぱゾウ大陸以外にも国はあったんだよ!!!」
「うわ! 何だこの地面! 気持ちわりぃ」
大はしゃぎて一番に船から飛び立ち、地に足をつけたのはトパーズだった。
「ひゃっほう! 感触が面白ぇな! 泥とはまた違ぇみたいだし! ちょっとオレひとっ走りしてくるわ!」
水に濡れぐちゃぐちゃになった地面を蹴るように一人で走り去ってしまった。
「こ、怖いよぉ… カイトぉ…」
エメルは、壊斗の裾を引っ張り、フルフルと小刻みに震えた。
「そんな怖がるもんじゃないぞ? ただの砂浜なんだし」
壊斗は ほら と船から降りて見せた。
それを見たエメルは恐る恐るぬかるんだ地に足をつけてみた。
「わわ! べちゃべちゃ…」
「トパーズが帰ってくるまで水遊びでも… って 今の俺がそんな事したら死人が出ちまうな… 少し歩く?」
二人はトパーズが戻ってくるまで砂浜を散歩する事にした。
「ただいまぁ〜」
「遅せぇよ 一体どこまで行ってたんだよ」
二人は砂のお城を作りながらトパーズの帰りを待っていた。
「んじゃ 早速行くか!」
「トパーズ エメル」
壊斗は、自身のフードを大袈裟に被って、アピールした。
「おっといけね 忘れてた」
「私も」
「あ、トパーズが盾を被ってたらさ… このボートどうすんの?」
『あ』
「…てかさぁ 変装する必要無くね?」
トパーズが冷静にそう言った。
「…言われてみればそうだな よし 二人とも 脱げ」
「お前の手柄みてぇに言うな」
トパーズは壊斗の頭を軽く小突いた。
「この帽子暑いから脱げて良かったよ〜」
「じゃあトパーズ 早速この筏盾に包んどいてよ」
「…へいへい」
三人は砂浜を抜け、アスファルトの上を歩く。
「そういえばさ… さっきから思ってたんだけど… ここ一応ビーチのはずなのに何でこんなに人が居ないんだ?」
『びーち?』
「何回やんのこのくだり…」
確かに妙だ。どんな季節だろうと、人の一人や二人居るであろう。ましてやこの天気の良さ、日本とは違い、カラカラした暑さしていた。絶好の海日和なのに。
「…とりあえず 歩くしかないよな」
少し歩いて壊斗はある事に気がついた。
そこが、慣れ親しんだ"日本"の様な作りになっているということに。
然し、そこは壊斗があまり見慣れない、比較的田舎な街並みをしていた。店はほとんど営業しておらず、地べたにはゴミや酒瓶が転がっており、作りの雑なアスファルトをただ、歩き続ける。
少し歩くと、木造建築で出来た店がズラっと立ち並んでいた。ライヴァンとは打って変わって、壊斗は修学旅行を思い出していた。
そして壊斗は大事な事に気がつく。それは、「文字が読める」という事だ。一部の建物に書いてある、例えば、茶屋、や酒屋、等。
そして、懸念する点が一つ見つかった。それは街の住人の多くが老人という事だ。
「す、すいません」
「はい?」
お婆さんは壊斗に聞き返した。
「つかぬ事をお聞きしますが、ここってどこでしょうか?」
「アンタ 何を言ってるの?」
「おいババ…婆さん オレたち別の国から来たんだ だからここの事何も知んねぇんだよ だから教えてくれ」
壊斗の威圧的な気を察知し、トパーズは言葉を言い改めた。
「───おいトパーズ! 別の国だなんて言っちゃダメだろ! ボロが出るぞ」
壊斗はトパーズに ぬっ と近寄り、小声でそう言う。
「別の国… あら アンタ達"エマルカ"から来たの? 通りで見ない顔だと思ったわ」
「……何言ってんだこいつ?」
エマルカ… 当然聞き覚えのない国名だ。二人でさえ聞いた事が無い国を、俺が知ってるわけが無い。
「あ、あぁ そうです! エマルカから来たんですよッ!」
さっきのリアクションで怪しまれないよう必死に取り繕った。
「ここはねぇ "ジャーバル"って国だよ 隣なんだから そのくらい知っておきなさいよ」
ジャーバル。ジャーバルかぁ。どこかで聞いた事があるような。ないような。
「おいバン 何でその婆さんが言ってる言葉がわかんだ?」
「え?もしかして……」
「やっぱ只モンじゃねぇな じゃあオレの言葉伝えてくれよ」
「婆さん ついでに聞きてぇんだけどよ "フロウザー"って家名に心当たりはねぇか?」
壊斗は言葉を少し変えてお婆さんに伝えた。
「ふろうざー? …聞いた事無いねぇ」
お婆さんは首を傾げてそう答えた。
「そうか ありがとな 婆さん」
「旅行するには… ここはつまらないだろう? もう少し西に行けば栄えてるけれど… 少し危ないから気をつけてねぇ」
「この調子で聞き込みを続けりゃ見つかるだろうぜっ!」
トパーズは楽勝だなと鼻を鳴らした。
「聞き込みは無意味だと思う」
「何でだよっ!」
「お前… 他人の家名なんて知ってんのか?」
「…知らねぇけど」
「なら直接聞くしか方法は無いだろ」
「でもどうやって? 一人一人のお家を訪ねるの?」
「表札を見て判別出来るものは判別するで良いと思うけど 大体今ん所見る限り表札なんて貼ってる家の方が珍しいし 表札だって身バレしない為に偽モン付けてるかも知んねぇ …端から無理だったのかも知んないな 何で最初に気づかなかったんだ…」
「そ、そんな最初から諦めんなよ! あんだけ沢山の人間が住んでんだ! 普通の家に住んでる可能性は少ねぇ! ほら! 大分絞られたろ!?」
壊斗が諦めかけていると思ったトパーズは、必死に説得をした。
「…ま、こんな感じの旅行とか初めてだし 俺はいいけど 楽しいし」
「最初はこんな感じで良いのかもな ただブラブラ歩くだけってゆうか」
「私も… 見たことないものがいっぱいあって楽しい!」
「あぁ…… まぁ… 地道に探すしかねぇよなぁ」
トパーズは頭を抱えた。
「手分けして探すにしても人数が少なすぎる暫くは協力者… 仲間集めが優先だ」
二人は壊斗の発言に頷いた。
「今日は観光でもして明日から本格的に探そうぜ」
「!? あれは!!!」
数時間歩き続け、少し栄えた場所に入り、壊斗が大声を上げて指を指したものは───。
銭湯だった。少し古めかしく、だけれど割と大きい外装である。賑やかな声が飛び交っていた。
「あれがどうしたってんだよ?」
「なに?あれ!」
「あれは"銭湯"て言ってな 風呂だ 昔よく父さんに連れてってもらったよ 俺は温泉の方が好きだけど いやぁ懐かしい」
「お前 ここ出身だったのか!?」
「…それについては後で教えてやる さっき一汗かいたし ほら 行ってみようぜ」
壊斗達は噛み合わせの悪い引き戸を開け、中に入った。
「いらっしゃい」
受付には美人なおばさんが一人、立っていた。
「三人で」
壊斗は指を三にし、おばさんに見せた。
「三人で900円ね」
円!懐かしい響き!
……円? そういえば俺、円何か持ってたっけ?
壊斗はポケットから袋を取り出し、中から玉を取り出した。
「…これ 使えます?」
「なんだいこれ …ビー玉? にしては大きいけれど…」
やばいやばい! どうしよう。やっぱり使えないのか…! 下手なことを口走ったらバレかねない…。ここは黙っておくのが得策だよな。
「もしかしてアンタたち… これで払おうとしたの!? 今は手持ちは?」
「…これ以外は 特に…」
壊斗はテヘっと笑って誤魔化そうとする。
「…はぁ まあいいわ 附けとくから 次来た時に今回の分を払ってくれれば大丈夫よ」
「え…? 良いんですか?」
「良いって言ってるでしょ? あんまり執拗いとモテないわよ」
「ありがとうございます! 行こーぜ!」
「お、おう」
「ねぇカ… バン! このヒラヒラしたのに文字が書いてあるみたいだけど… なんて読むの?」
「それは"のれん"っていってな "男"と"女"って書いてあるんだ エメルはこっちの赤い方の女 に入るんだよ」
「えぇ… 私だけ仲間はずれ…」
エメルはどこかガッカリした様子だ。
「いくら子供っつっても 親子でも兄妹でも無いんだから一緒ってにはいかない ごめんな?」
「わかったよ」
エメルは頬っぺを膨らまし、不貞腐れながら女湯に入っていった。
「早く行こーぜ トパーズ」
「中はどうなってんだろ」
のれんをくぐると、中は直ぐに脱衣場だった。
「いや〜 ラッキーだったわ〜 …どうした? 早く脱げよ」
素っ裸になった壊斗はトパーズを急かした。
「何やってんだよ! 隠せって!」
「え? 何で? 男同士だろ?」
「くっそ…」
きっと価値観の違いだろう。
トパーズは顔を赤らめながら身にまとっていた服を脱ぎ出した。
トパーズは盾で作ったタオルを腰に巻きながら戸を開けた。
「うわ! 露天かよ!?」
そこは室内ではなく、露天風呂であった。柵等は木でできており、床や壁の一部は岩で出来ていた。
体洗う所が外って、冬場は凍え死にそうだ。
「おっ シャワーあんじゃん」
「個室じゃねぇのかよ…」
「このイスに座って体洗った後にそこの
風呂に入るんだ」
壊斗は床と違い、削られておらず磨かれていない天然の岩で出来ている風呂を指さした。
「この緑色の容器に"シャンプー"って書いてあるだろ? あ、シャンプーって書いてあるんだ まずはこれで髪洗うんだよ」
「しゃんぷぅ? 石鹸はねぇのかよ?」
「髪顔体全部石鹸で済ます国の方が珍しいんじゃね?」
ライヴァンは…といってもトパーズの反応から万国共通していそうだが、あの国では石鹸で頭、顔、体を洗うという文化だった。一々泡立てるのがめんどくかったのを覚えてる。
「…壊斗」
「え?」
髪を洗いながら壊斗は自らの名を告げた。
「俺の本当の名前 工崎壊斗 苗字が工崎だから… 気軽に壊斗って呼んでくれていいぜ」
「クザキカイト… か… それって本当にトゥルーネームじゃねぇんだよな?」
「違ぇよ それはお前らの文化だろって」
続けて出身国、どうやってこの世界に来たか等を事細かに語った。
トパーズは時々相槌をうちながら話を聞いてくれた。
体を洗い終わり、二人で湯に浸かった。
「よしトパーズ! 我慢対決な! 昔よく友達とサウナでやってたけどここにはサウナねぇから代替だ」
「オレ風呂苦手なんだけど… 負けねぇぜ」
トパーズはニヤリと笑う。
「もうギブ! 死んじまう!!!」
トパーズは僅か十分程度で暑さのあまり飛び出る様に湯から上がった。
「早すぎねぇか?」
「茹でダコになったまうよ!」
この世界でもそんな言葉あるんだ。
トパーズは入口付近にある水風呂に水泳選手の如くダイブした。
「うぎゃぁぁぁあ゙! 冷てぇ!!!」
「おいトパーズ! あんまり大声を出すな 迷惑だろ?」
壊斗は軽い口調でそう言ったが、客など壊斗たち以外誰一人として居ない。
「うおぉぉ 寒ぃ… オレ先出てるから…」
「りょーかい …ったく 寒いならもう一回入りゃいいのに…」
ガララ…
「トパーズ?」
そこには毛むくじゃらで小太りのおじさんが立っていた。
脇と股にお湯をかけ、湯の中に入ってきた。
「…なんすか」
壊斗が若干キレ気味になった理由は、ピッタリと体を寄せ付けてきたからに他ならなかった。
「よぉ 兄ちゃん いい体してんじゃねぇか」
おじさんは無遠慮にベタベタと体に触ってきた。
「見ての通りガリガリですが」
「こっちの方はどうかなぁ? おじさんが剥いてあげ…」
おじさんが下腹部に手を伸ばしてくるのを阻止しようとしたが、少し力が入ってしまったようだ。ボキッと音を立てておじさんの指が折れてしまった。
「あ、ごめんなさい… でも! …変なことしないでくださいよ!」
「───痛ッ!…チッ つれねぇガキだぜ」
おじさんは不機嫌そうに風呂から出てしまった。指は大丈夫なのだろうか。
「…何だったんだよ あの人 …怖」
人通り風呂を堪能したので上がると。
三角巾を被り、黒い着物の様な服装をした女の人が入ってきた。多分湯加減の調節をしに来たのだろう。
壊斗は特に気にせず通りすぎようとすると、女の人は壊斗のブツを凝視してきた。
…何だあの人。人の体ジロジロ見て。失礼だなぁ。
少し不信感を覚えた壊斗だったが、そのまま戸を開けて脱衣場へと向かった。
着替えを済ませ、先に待っていたエメルとトパーズと一緒に銭湯を出た。
「…まず金だよな」
「金だな」
「お金だね」
折角大金を持っていたって使えなきゃ話になんない。マジでどうしよう…。
「オレがちょっくら稼いできてやんよ 」
「え?」
意気揚々と放たれたトパーズの言葉に、一瞬動揺した。
「どうやって…?」
「さっきからちょくちょく気配を感じてたんだけど オレらの荷物も狙われてたくさいぜ 金は一応盾で包んで閉まっておいたから盗まれる心配はなかったけどよ」
「…つまり そいつらから金を奪うってのか? あれは仕方なく奪っただけであんまり良くないことだよ?」
「前だったらぶん殴って奪ってた所だが… 相手から先に襲ってくるまで待つ事にする お前ら二人はどっかで時間つぶしてろ オレ一人で稼いできてやるから」
トパーズは親指を立ててそう言った。
「…まぁ奪おうとして逆に奪われんのは自業自得だし… わかった でも殺しはすんなよ?」
「任せとけって 絶体絶命のピンチにならなきゃ殺しはしねぇよ」
「あ! トパーズ! 随分と遅…って どうしたんだ!?」
エメルと二人でベンチに座って待つこと三十分、トパーズが戻ってきた。
然し、脇腹を手で支え、フラフラとした足取りであった。
「しくった… 背中刺されちまった…ッ エメラルド 頼む…」
エメルはトパーズの元へと駆け寄り、治癒能力をかけた。
「…ふぅ 危なかった 少し… 貧血気味だ…」
トパーズは腰に盾を布状に変えて巻き付け、止血をしていた。
「盗っ人にやられたのか…?」
「あぁ、ただ… 殺さなかったぜ …逃げてきた」
トパーズはぎこちなく笑ってそう答えた。
「そいつはどこだ …俺が殺してやる」
黒目が小さくなり、エメルとトパーズが仰け反る程の殺気を漏らした。普段から殺気を立てていない者は殺気をコントロールするのが下手くそだからだ。
「何言ってんだ… お前が殺すなって言ったんだろ… ほら お土産だ」
トパーズはポケットの中に入っていたものを取り出した。
「中にはこの紙切れしか入ってなかったけどな」
トパーズは財布の中身を広げて見せた。その中には札が何十枚か入っていた。
「待って! それって…」
壊斗は中身をよく見ると。
「一万円じゃん… しかもこんなに…」
「えんってさっきも聞いたけど金だよな… じゃあこの紙切れって…」
「大金だよ! いやマジか…」
「やっぱ金だったか… 一応全部この袋が一番中に入りそうだったからこん中にまとめたんだ 最初この紙が一番価値が高いって渡された時騙されてんじゃねぇかって思ったぜ…」
「これで今日は野宿しないで済みそうだ こんな大金 普通なら貰えないけど …人を殺そうとした奴からなら何も感じないな」
「…お前 前俺が襲われそうになった時オレの方を責めてたじゃん」
トパーズは少し不貞腐れながらそう言った。
TikTokで「血界戦線」の紹介動画出てきて調べたんだけどEDは有名だから知ってたけどOPがBUMPな事知って滅茶苦茶驚いた。しかも知ってる曲だったし笑




