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水槽の月~我思うとも、我在らず~  作者: 相対冷夏
人魔大戦編
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四十四話「地上の恒星」

「さて、タチガミよ。今から何が起こるか分かるか?もう少し簡単に言うなら何故私達がここにいるのか分かるか?」


刃が交わるであろう地点から数えれば相当数の距離のある場所で吞乃はタチガミに問う。その顔には少しばかりか小童が意地悪をするような薄ら笑いが浮かんでいた。


「さぁ?吞乃様がその顔で問う事には応じることが出来ないと相場は決まっておりますので。」

「何だ詰まらん。もう少し迷って困ってくれた方が面白いというのに。」


淡々と面白みのなく返答するタチガミに吞乃は少しむっとした。空は西の方が少しばかり赤く染まっているほどで、殆どが降りてきた常闇の帳に覆われている。日が落ちきると同時に攻め込まんと魔物どもも前へと進んでいるほどには。


「まあいい。さあ、もう数える間もない程に、すぐ日が落ちるぞ。」


そう言ったと同時に天は漆黒の様相を呈す。合わせて吞乃は言葉を続けて紡ぐ。


「その言葉通りにな。」


その言葉の後、刹那に満つか満たない程の後に、山に囲まれた平地が上に膨大な熱と径を持った光球が現れた。その光は煌々と辺りに降り注ぎ夜目の聞く魔族どもの目は須く驚きおののいた。


「おおぅ……八咫烏ですか……。」


困惑と感嘆を多く含んだタチガミの言の葉がその口から漏れ出す。


「何と言いますか……中々に狂った事をしてくれますね……」


そう、八咫烏は天照大御神の使いとして太陽の力を持つ太陽の神獣である、鴉故に他の動物と比べて賢であるのは確かであるが、しかしそれはあくまでも動物の中を比べた相対的なものでありやはり大賢とは行かない。故にその力をその思うままに振りかざす。言伝にはどこかの村を一度に七つ程焼き払ったという旨の者もあるほどに強大で不確かなのだ。確かに暗幕の空へと何一つ対策を打たないというのは余りに楽観が過ぎるが、それにしても面倒な力を引き出したものだ。


「さて。それじゃあタチガミ、アレの相手してくれるか?」


「んな殺生な……と言いたいところですが、まあ悪くないでしょう、いくら彼の大御神の使いと言えど鳥畜生に後れを取るには余りに私に智が有り余る。私の頭蓋に詰まった私の軌跡で躾してやりましょう。」


「良く言ったタチガミ。」


吞乃は口角を上げてタチガミへ賞賛を送る。


「では、仰せの通りに。」


タチガミは結界を空中へと貼りそれを足場に天へと昇って行く、見るに足取りが割に軽るい、吞乃は安堵し、流動する戦場を眺め、次の修正すべき例外が発生するその時を見つめている。

戦の始まる前こそ数と力で勝る魔族の優勢だと思われたが思わぬ策によって夜に住むものどもの戦績は芳しくなさそうだ。このまま行けば奴が痺れを切らして現れるだろう。



――所変わってここは魔族どもの支配する領域。日中ですら薄暗く、気味の悪い土地である。その領域の中には幾つかの城がありそこに魔族の上位豪族が居を構えている。城じまつわるにある噂がある。曰く「吸血鬼の城のどこかには秘匿された部屋があり、そこにはありとあらゆる血を欲すると同時にまた、他から傷を受けることに歓喜を覚えるが故に全てを無に帰すほどの力を持ったバケモノが存在する」――と。


城のどこかで壁の崩れる音がした。

一ヶ月半も休んでたんかいな……学年が上がったせいで時間割が変わったので今までに小説に時間を当ててた水曜が使えなくなったんですよね。まあ今日から復活しまーす

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