眠気か彼女か選べない
「雫、起きて~。起きないと、キスしちゃうよ~?」
「まだ6時だろ、7時まで寝かせろ」
「それじゃあ寝癖とかどうするのさ!」
「んなもん適当にしとけば直る、何のためのショートヘアだと思ってるんだ」
アニメ、小説大好き勢としてはアホ毛なら大歓迎なんですけどねぇ。
寝癖は嫌いだ。
「ほら~するぞ、しちゃうぞ~?」
「頬にならどうぞご勝手に、何がなんでも7時までは寝る」
寝ると言う固い意思を告げ布団に潜り込む。
そもそもクッション敷いてるとはいえ、布団より寝心地悪いから欲を言えばベッドで寝たい。
「やっぱりしっかり睡眠取れてないんじゃ‥‥‥」
「お前が早起きすぎるんだよ」
「はあ、仕方ないなぁ、7時に起こしてあげるから、ベッドで寝なさいよ」
「そのベッドを制圧していたのはお前だけどな」
本当に次に起こされたのは7時。キッカリ7時だった。
「よぉし、朝食行くぞ~!」
「なんかハイになってない?大丈夫これ、あ、カフェインちょうだい‥‥‥」
半引きずられ気味だがまあ、いいか。楽チンだし。
とか思ってたら「ちゃんと歩けぇ!」と一蹴。
うーむ、残念。
「雫ちゃん、おはよう。珈琲?紅茶?」
「紅茶。珈琲飲めん」
「オッケー」
朝食を食べ終え、準備。
んまあ、そんなものは昨日のうちに、そもそもなにも出してないか。
「ああ、朝みたいに引きずられたい」
「視線痛いと思うよ?」
「それでも楽がしたいのじゃ」
「唐突のおばちゃん」
まあ、視線が痛いのは嫌なので普通に歩きますけどね。
めんどくさいものはめんどくさいのじゃ。
「保健室行きたい」
「ほう、病状は?」
「持病の仮病」
「ちゃんと授業受けようね?」
彼女の威圧がすごい定期。
そもそも授業ってなんのためにあるのさレベル。
つーかーれーたー。
スマホが揺れた。
誰からだよ。寝たいんだけど。
届いていたのは部屋のグループ。
『勉強難しいよー!誰か助けてー』
『何がわからないんです?』
『全部〈ドヤア』
『暗記で良くない?(ゲームに戻るので音沙汰無くなります)』
『はじめちゃんに聞いても意味無いことは知ってるよ(泣)』
『国語→教科書見てもあてにならん、数学→捨てゲー、社理→暗記ゲー』
『もう自棄になってない?ねぇ!?』
『見てないのは恐らく桃華ちゃんですね、基本見ませんし』
『プラスはじめ』
もうなんの会話かわかんないし見るの止めよ。
てか、やることあるし。
睡眠と言う名の仕事がな!
とか言ってたらチャイムなりました。
ねぇ、保健室行っていいっすか。
「‥‥‥疲れた」
「うん、お疲れ様」
昼メシの為に屋上へ。
尚、鍵はかけてしまったため誰も入れない。
まあ、来ないんだけどさ。
因みにもう昼メシは食べ終わりました、んで何をしてるかと言いますと、ひざ枕されてます。
‥‥‥屋上で何してるんだろ。
「ほら、眠そうだし後10分は寝れるよ?」
「逆に寝れねえよ、クラスの机の方がまだ寝れる」
一番寝れるのは家のベッドだけどな。
「まあ、目を閉じるだけでも」
「はいよ」
‥‥‥いつ裏切って来るかと踏んでたもんだが、そんなことは無いみたいだな。
他の人はどうかは知らないけど。
「おはよ、結局ラスト5分位は寝息たててたよ?」
「‥‥‥」
油断大敵、寝ないと思ってたのに、恐るべしひざ枕。
眠気は多少はとれたし、午後も頑張らないと。頑張りたくはないけど。
授業は寝ずにすんだ。が、ひたすらに眠い。
早く自分の部屋に帰りたい。
「おつかれ、雫。今日はどうするー?」
「寝る」
眠い、ひたすらに。
「じゃあまた私がひざ枕をしてあげようではないか」
「どこでだよ、てか、なにキャラだよ」
「王様?私女子だし王女様?」
「王族にしては派手のベクトルが違いすぎるだろ」
『こんな王族は嫌だ』に入るぞ、それ。
「別にいらないから」
「それでも押し掛けたら入れてくれるもんね。雫優しいから」
「うるさい」
‥‥‥お前と一緒だと寝不足になるから嫌なんだよ。