生徒会長と意図。
生徒会長が一話ぶりに喋ります。
私は生徒会長だ。
私は紛れ込んだ男子を許さない。
何故なら私は‥‥‥
月曜日。
生徒会長は知るよしもないが雫と摩耶が付き合った日から二日経過した日。
二人が付き合ってから、初めての登校日。
「生徒会長が校門に立ってる?」
「みたいだね」
僕の腕には摩耶がくっついている。
鬱陶しいと感じることも無くはないが、悪い気もしない。
「おはようございます」
「おはよう、仲が良いな。その関係は大切にするように」
わりとすっと通されたな。
男子を見つけ出しに来た訳じゃないのか?
逆に来られても困るんだけどね。
授業中と、授業の合間の休憩はいつもと変わらない時間が流れた。
違ったのは、昼休みだ。
「一緒に、お昼、食べない?」
摩耶が僕の机まで来た。
「それは、いいけど、他の2人は?」
「2人になりたいからって言ってきた」
向こうから視線を感じると思ったらあの2人か。
「ここじゃ、落ち着いて食べられない。行くぞ」
「う、うん」
最低でもあの2人の視線からは逃れたい。
向かったのは屋上。
人が少なく、お勧めの場所だ。
理由は恐らく、来るのがめんどいの一言に尽きるだろう。
さて、食べるとするか。
「どうした?食べないの?」
「ほら、なんというか、食べさせあい、って言うの?をしてみたいなー、なんて」
ふむ、最初ははギャルとか陽キャとか思ってたけど、普通のうぶな女子だった。
と、いうか最初を除いて陽キャ要素は皆無になっていたとは思うけど。
それじゃあ、卵焼きを。
「そういうことか、ほれ、あーん」
「へ、そんないとも簡単に‥‥‥」
いや、中学時代にいくらでもやられたからな。
まわり女子が群がって嫌だったから保健室で食べてた記憶の方が多いわ。
まあ、保健室に押し掛けてきた女子もいたけど。
「‥‥‥おいしい」
「良かった。上手くできたみたいで」
そうして、同じものを僕も一口。
あ、少し甘すぎたかな。
「間接キス!」
「うわあ、ビックリした。どしたの?」
「今、私言ったよね」
「間接キスのこと?」
「聞こえてたんなら意識してくれても良いじゃん‥‥‥」
ごめん、それも昔の経験上慣れた。
「恥ずかしがった方が、良かった?」
「今更、遅いわ。バカ‥‥‥」
は?今の何あれ、可愛くないか?
あとなんで、袖を掴むんですかね。
食べにくい上に視界にちょこちょこ入ってくるんですけど。
加えて顔真っ赤にしてるのはどうしてだよ!
「つ、次は私の番だから!ほら、口開けて‥‥‥その、あーん‥‥‥」
卵焼き、だと思う。少し崩れてるけど。
「‥‥‥いただきます」
慣れた筈だっただろうが!
何で照れてるんだ僕は!
「おいしい、と、思う」
「‥‥‥良かった。私、料理なんてしたこと無かったから」
頑張ってくれたのか?
それは純粋にうれしい。
「ただ、女子力で負けた感あって悔しい。何で普通に作れるのさ‥‥‥」
「難しくないぞ。なんなら、教えようか」
「う、うん。教えて」
いかん、涙目。
女子を泣かせてはいけないのが当たり前だと昔から言われてた。
そもそも泣かせる男子いないけど。
「それは全部、摩耶が作ってくれたのか?」
「一応、全部私一人で頑張ったけど」
「なら、僕より上。これしか作ってないよ、僕は」
実際めんどくさかっただけなんだけど。
「そうなんだ、優しさが余計に辛いよ‥‥‥」
ええ‥‥‥。
これって正解あるんですか。
何処かに『女心』の教科担当いませんかね。
「今朝もあったね、屋上で食べてきたのかい?」
「あ、はい」
生徒会長とばったり。
僕の脇には涙をしっかり拭かせた摩耶がいる。
「屋上に他の人は、いたかい?」
「多分、いませんでした。恐らく二人っきりだったかと」
「そうか、お楽しみだったようだね。すまない、邪魔したね」
生徒会長は道を開けてくれた。
その優しさが怖い。
私は生徒会長に戻ってきた。
予想外だった。
まさかかのクール×ギャルとは思わなかった。
どっちが責めなのだろうか。
先に思い付いたのはクールな方が押し倒す形だ。
ギャルの方も流されるままに行為に至るパターンだ。
良いな。
そう、生徒会長は百合大好きの変態だった。
今回、雫と摩耶が関係を持ったことで、雫は生徒会長の捜査範囲から外れることとなった。