何故近付いてくるのか。
「どこ行くの~?」
カラオケの時から毎日のように僕のところに来る。
他の友人はどうしたんだろうか。
ちなみに5日目。
構わない方がめんどくさいことは理解してる。
「本屋」
特体性のお蔭で金はある。
本の発売日に買いに行くと前から決めていたから、変えるつもりはない。
「それって私もついてって良い?」
「‥‥‥真弥、何か買うの?」
彼女は炎 真弥とこの間言っていた。
知ったきっかけは、「炎さん」と言ったところ「真弥ってよんで!」って怒られたからである。
「あったら、かな。おすすめがあったら教えてよ」
「それじゃあ、古本屋にもよった方が良いか」
確か近くにあったはずだ。
「でも、古本屋に行くと長居しちゃうから、あまりおすすめしない」
「いいよ、いいよ!いこう!」
「自転車?」
「人混み過ぎて電車は嫌いだから」
「ちょっと待って、私も取ってくるから!」
‥‥‥不思議な人。
「お待たせ!」
「ん、行こうか」
30分ほど走らせる。一店舗目はここだ。
「到着」
「大きい書店だね~」
当たり前だろ。買いたい本がある場所じゃないといけないからな。
「こっちは買うの決まってくるから買ってきちゃうぞ」
「わりと効率的な人?」
「結構」
買うものは先に決めておくタイプの人です。
「雫ってさウインドウショッピングとかしないタイプでしょ」
「金が足らなくて諦めたことならある」
「それはちょっと違うんじゃないかな‥‥‥」
基本的には自宅にいた記憶。
回りから視線を感じすぎて、嫌だから出てなかっただけだけど。
「私は少し回ってくる」
「わかった。出口付近で待ってる」
手早く買い物を済ます。
出口のすぐそばにはベンチがある。
待ち時間はここで過ごそうと思っていたのだ。
まさか、ここに座る日が来るとは思わなかった。
いつもなら帰宅ルートだからね。
「おお」
悪くない。
地べたで読むのも、固い椅子で読むのも好きだが柔らかいのは初めてだ。
今度柔らかめのクッションでも買おうかな。
若干いたいと感じるときがあるし。
買ったばかりの本を開く。
カバーはかけてもらってあるので表紙が汚れる心配もない。
栞も持ってきてある。
万全の体勢だ。
10分ほどして帰ってきた。
「残念、無かったや。」
「そんなもん」
めぼしいものは予習なしでは手に入らない。
最初の頃はそんな感じだった。
ちなみに本は5ページ程読み進めた。
少しゆっくりかも知れないが、本当に良いところで帰ってこられるのを恐れてゆっくり読んでいた。
「あとは、古本屋だっけ」
「これは徒歩で行ける範囲にあるから」
人が一緒にいるときは不思議と長居する気が起きなかった。
相手に合わせてるのだろうが、嫌な気分にはならなかった。
「おすすめありがとう。読んでみるよ」
「気に入ってくれるとうれしい。あまり読んだことの無いような人でも読みやすいのを選んだから」
「雫のおすすめなら外れは無いだろうね」
「‥‥‥‥過度に期待するな」
「お、ツンデレ」
「断じて違う!」
男のツンデレとか誰得だよ。
いや向こうからすれば女のツンデレなのか。
と、いうか断じてツンデレではない。
「ただいま」
「おかえり~夕飯もうできるよ」
「了解」
全く飛鳥は料理しているのにまたトランプをしているのかこの3人は。
「飛鳥、何か手伝うことあるか?」
「今は大丈夫。あ、箸だけ出しといてもらえる?」
「わかった」
その程度こいつらにもやらせろよ‥‥‥‥
まあ、良いか。
夕飯の時間は皆の報告タイムでもある。
皆の出来事を振り返って、ばれないように改善する。
「俺はすぐ帰ってきたからわかんないや。そういえば雫はどこに行ってたの?」
「本屋。こないだのカラオケを誘った真弥もいた」
「あの人不思議だね。もうちょっと他にい‥‥‥ムグッ」
「ちょっと黙れ」
失礼なことを言いそうになったはじめの口に唐揚げを押し込んでやった。
「確かに。昔から仲良い人ならまだしも、こないだ話したばかりの人なのでしょう?」
「面白いね。そのモグ雫ちゃんのモグ友達」
「にとりは食べ終わってから話せ」
結論は大体出ていた。
しかし、ばっさりと、それを言ったのは桃花だ。
「つまり、生徒会側である確率が高い、と。」
「結論的にはそれだろうね」
「そうなっちゃうか、仕方ないよな」
「良い子だったんだけどね~」
「雫ちゃんはばれないようにするのは最優先ですが、真偽も確かめたいので、お願い出来ますか?」
何とも、難しいことを。
はじめが最初にばれそうとか思ってたのになんだよ。
「了解した。できる限り探ってみるよ」
予想じゃ十中八九それにしか思えないんだが。
「可愛いかった‥‥‥」
「真弥っちそれバッカリだよね。私らとも遊ばなくなったし」
「それは、本当にごめん!」
「別に良いけど。雫って子のとこだよね。好きになっちゃった?」
「そんなわけ無いじゃん!!女の子の同士だもん!!」
「素直になりなよ、真弥。今時女子同士なんていくらでもいるだろう?」
「う、そうかもしれないけど‥‥‥」
「真弥っちってそういうとこ几帳面だよね。男子なんてほとんどいないんだからさ」
まあ、確かに、雫と一緒にいると楽しいし、なんかちょっとドキドキもするし、「ちょっと手を繋ぎたいな~」とか思ったりもするよ!?
だけど、だけど~!!
「ワンちゃんあの子が生徒会長の言ってた男子だったら真弥も合法で付き合えるのか」
「でも、報告しなきゃいけないんじゃないの?それって」
「‥‥‥それだったとしたら、私はしない。男子なんてあり得ないけど、友達を売ることはしない」
スマホがなる。
全員のが同時になったため学校からの受信だ。
「‥‥‥これ、でも?」
「売らない。そもそも男と決まったわけじゃ無いし」
「これは、重症だわ」
学校、いや、生徒会からの受信だ。
『男子生徒を見つけて報告したものには100万円の報酬を出す。その程度で学校の平和が保たれるなら安いものだ』と。
「とりあえずまずはなにがしたいの?ほら、好きになったんだから一緒にしたいこととか思い付くじゃん?」
「えっと、今日繋げなかったから、手、繋ぎたい」
他二人の思考が重なった。
ピュアか!
始まりました百合要素。(正しくは男女なんだけど)
ギャルっぽい人が純情なの可愛いと思います。