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第4話 俺の名前

次回予告したら大体そこまで話が書けないのがわかったのでやめておきます。主人公があの子に恋をした理由は3話の最後の文章を参照です。

今回は少し下ネタが入ってしまいます。

気になるあの子に恋をした。

偶然盗み聞きしたというか、聞こえたとしても気になるあの子が自分を好きと言ってくれたのなら好きにならないはずがない。

もちろん、2番目らしいけど。


けど、おれはこう思った。2番?2番でもいいじゃないですか。1番じゃ駄目なんでしょうかと。

それに、古城は一度は振られたものの、堀北のことが好き。これは繰り上げで1番になったのではないのか!同じ堀北さんは古城のことをキモオタ認定しているし、もしかすると1位は建前で本当はおれなのかもしれない!身長168cm、67.8kg、ぽっちゃりで運動がダメなこんなおれにパラダイスが訪れるなんて!

絶対におれはあの子と幸せになってみせる!

この嬉しさと興奮を胸に込めて、おれは恥ずかしくて誰にも伝えることのできないこの気持ちを御先祖様のいる仏壇にずっと話していた。


●恋をすると一気にアホになるとはこのことだと私は思う。この頃、中学1年1学期の私は人生の中で1番楽しかった日々を送ったのだろうと思う。ただ、この好きな人ベスト3、私も上中下をでたらめに言った1人であり、今となってはこれは嘘だったのかも知れない。


この会話を聞いた翌日から始まった 期末試験も終わり、親達は成績表をもらい、おれたち中学生は夏休みに入ろうとしていた。体育は昔から苦手で縄跳びは後ろ飛び、サッカーはドリブル、水泳は平泳ぎ、25mまで泳ぐことができなかった。

しかし、おれは頑張ったかいもあり、運動能力は皆無だが真っ直ぐと取り組む態度が評価されて5段階評価中4を手に入れることができた。体育の授業でおれより下手な奴がいることを期待して入学したおれだが、小学校同様におれが学年で最下位だったことがわかった。俺と同じ、または5のやつは運動能力の塊というやつかその時の体育のスポーツのバレーやサッカーが得意分野のやつしかいなかった。逆におれより上手いやつらが3,2の評価だということがおれの励みになった。


夏休みのおれはお世話になった部活の先輩たちの最期の夏を全力で過ごし、家庭教師の大学生とともに勉学を励み、海やゲームをして楽しんだ。


そして、2学期の始業式。事件は起こった。

おれは小学校の頃と同様に、書道教室にいたことと、絵を描くことが好きだったこともあり、夏の書道と絵作品、ついでに作文と地域のコンクールで入賞した。そしてその表彰式校長がおれの名前を呼ぶ。

「奥野 誠樹。(おくの せいき)」

その瞬間、爆笑が走った。

「あいつの名前チンコやんwwww」

誰かがそういった。その後爆笑の渦がどんどん広がり教師たちが止めた。

俺自身疑問はあった。いつもワープロやパソコンで自分の名前を変換する時にでてくる「性器」これは保健体育で性教育を学んだ人たちにとってはすぐわかると思うがあの股間にある息子のことである。その後2学期始まってすぐの保険の授業でこの意味を全員が理解することになるだろう。


今まで疑問に思うことがよくあったが、その疑問が解消された瞬間であった。ゲームで主人公の名前を自分の名前として入力するといつも「不適切な言葉なので利用することができません」とででくる表記。


卓球の試合の時もそうだ。「次の対戦表です。名前が呼ばれた2人はCコートの4で試合があります。まずはサイハテ中の奥野..んんっ、誠樹さん。」

その後所々で聞こえてくる笑い声。何故かいつも奥野の後にワンテンポあけて読むアナウンスのどこかの中学校の女子達。


歯医者などで自分の名前が呼ばれると笑うどこかの中学生。少しはにかむ親や大人の人達。


その今までの全ての謎が理解することができた。


その始業式の後、夏休みの宿題の回収が始まる。

待ち時間の間やってくる島田と高川。

「お前のお母さんと親父めちゃくちゃ変態やん」

「今度から奥っちやなくて他のあだ名呼ぶわ。

ちんちん君?ペニーちゃん?どれがいい?」

本当にうざかった。だけど幼馴染の松岡や山寺、古城や部活の女子が何人かいたためにおれはなんとかめげずに過ごすことができた。この時をはじめに女子たちは「せいき」、「せいき君」と呼ぶ子は昔から親睦のある女子2人を除いて1人もいなくなった。みんな奥野くんと呼ぶようになった。夏休み前、のっさんと呼ぶねと言ってくれたあの子も。


その後のおれは授業で度々苦労することとなる。

歴史の授業のとき。

「中学の歴史ではまず歴史に入る前に西暦を覚えてもらいましょう。今、君達のいる時代は21世紀、では2000年は?」

答えは簡単だ20世紀だ。21世紀は2001年からだ。

1899年、1900年は19世紀。1901年は20世紀だ。

そこで手を上げる高川。

「はい!2000年は奥野世紀だと思います!」

最悪だった。クラスの中心的な女子バレー部の女子は爆笑。ドヤ顔をする高川。

「ふざけたことを言うんじゃない。」と注意する歴史兼社会の北林先生。そんな感じがしばらく歴史の授業で続いた。


保健の授業。1学期におれのことを褒めてくれ、4をくれた先生。そして始まる保険の授業。ここはなんという名称かと持って来た資料を指差す。

「はい!奥野性器です!」と答える島田。

この保険の授業は男女別れて行う授業で1年の男子全員が授業に取り組む。そして爆笑が起こる。

「ふざけるんじゃない!そんなちんけなことで

笑うんじゃない!恥を知れ!恥を知れ!」

かなり怒鳴ってくれた体育教員には嬉しかった。


それでもおれは友達がいたことが大きく普通に学校に来ることができていた。


2学期始めの美術の授業の時、美術の先生が口にする。

「画用紙を1人1人に用意しました。今回は隣の席の方とペアで似顔絵を描いていきなさい。また、1学期に採点した課題を置いておいたのと一緒に取りに行ってください。また、その時に夏課題の"私の家から見た風景画"を提出しなさい。」

そんな指示を聞き、まず美術での隣の席になる山寺と机をくっつける。

「かっこよく描いてね奥野画伯!」

そう言った山寺に努力すると答える。

その前に..課題をと渡しに行こうとした時にあの子が近づいてくる。無言でおれの1学期の課題の採点と画用紙を置いていく。

「あ、ありがとう。」

嬉しかった。観察するとあの子は他にこんなことをしている男子はいなかった。

「なんだかねぇ。」

と、ため息をつく。

その時、「もうできた!」と山寺が見してきた絵はおれの似顔絵ではなく、おれと同じ名前のあれだった。

「ジョーグだって!ごめんごめん!真面目に描くから!」嘘だろお前がか。そんな気持ちだった。



授業終了後、 あの子が前の課題と画用紙を取ってきてくれたから夏課題の"私の家から見た風景画"を渡すのを忘れていたおれは慌てて美術室の教員の机に渡しに行く。


するとそこにはあの子と島田がいた。課題を渡すついでにちらっとあの子と島田の会話を盗み聞きする。どうやらあの子も夏課題"私の家から見た風景画"を出すのを忘れていたみたいだった。


「なんなん、そのボロっちい絵。」

「いや、そんなことないです! 近くの家はこんなのしかなかったんです!」


そこにはおれの祖父の家が描かれてあった。


たしかに祖父の家は戦時中からある家なので古い。が、課題のテーマは"私の家から見た風景画"。

祖父の家はあの子の家から見ることができない。

課題のテーマとは違うことを描いてあることになる。


それに、おれは自分の2階から見た風景を描いているし、山寺も自分の部屋の窓から見た風景を描いている。おれの知ってる友達の家も全部ではないが後日、学校の3階の廊下に飾られた作品を見て家の窓や庭から描かれた風景ばかりだと確認ができた。


しかし、あそこには他にもたくさんの家がある。中でもあそこには大きな公園みたいな庭付きの家もある。

ただ、祖父の家の隣は空き地があり、そこに座って祖父の家を描くということが長作業的に楽だったのだろうか。それとも写真を撮ってそれを見ながら描いたのだろうか。そもそもこの家が私の祖父の家だと知っていて描いたのだろうか。考えれば考えるほど頭がパンパンになる。それに苦手な島田がいたこともあってさっさとおれは夏課題の"私の家から見た風景画"を提出してすぐにその場所から帰った。


●今となってはこの時、あの子はどういう気持ちでここを選び、最後まで描き、提出したのだろうかわからない。


こうして、私の2学期はスタートしたのだった。

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