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カバンの中のラブレター

作者: 非対応

ラブレターとは

好きな人に愛の告白をする手紙のこと。


僕の書いたラブレターはラブレターではない。

中学校時代、好きだった人にラブレターを書いた。でもずっと渡せずにいた。


高校生になってもラブレターをカバンの中にいれていた。好きだった人の住んでいる家は何となく知っていたが待ち伏せなんてことはできなかった。カバンにずっと入ったラブレターはカバンに着けているキーホルダーより意味をなさないモノだ。そんなことをたまに考えていた。


時は流れ大学生になった。ラブレターはいまだに渡すことは出来ず。相変わらず鞄の中にいた。ふっとラブレターが気になり取り出しみた。ラブレターはまぁまぁ綺麗な状態だったが所々破れていた、こんなことは大学生までにしよう…。


大学生のサークルで新人歓迎会があった。他の大学からも参加しており初めて会う人もちらほらいたが、中学校時代に好きな人はいなかった。新人歓迎会が始まりしばらくたったころ他の大学から参加している男性が話しかけてきた。


話しかけてきた男性はとても人懐っこい雰囲気で話しやすかった。その男性の名前は松本。

松本とはすぐに打ち解ける事ができた。

松本が明るく話しかける

「彼女はいるの?」

「いないよ」

「好きな人は?」

「いるね」

「え、どんな人?教えて、教えて」

松本が興味津々に僕が好きな人の事を聞いてくる。僕は中学校時代の好きだった人の事を必死に思い出した。

「うーん、えっと、えっと、とにかく明るくて、優しくて、人の気持ちを考えられる素敵な人で…」  


僕の好きな人で…

やっぱり僕は彼女のこと好きだ。

松本に好きだった人の事を話していると自然とそう思った。


でも急に目の前が真っ暗になる。


目の前が明るくなると

松本と数人の男性と1人の女性が楽しく会話をしていた。


……??さっきまでのサークルの新人歓迎会とは別の場所だし松本達はスーツを着ている。


その女性が話しかけてきたが、

その女性の問いかけには答えず松本の顔を見る。

松本が人懐っこい笑顔で「会えて良かったな」と言う。

彼女に目線を戻すと「約束ね」と言っている。

僕が「え?」と言うと彼女は


「私のピーチを奪って約束ね」


また急に目の前が真っ暗になる。

目の前が明るくなるとサークルの飲み会に戻っていた。


松本はどこにもいなかった。


あれは何だったのだろうか…何となくカバンの中に手を突っ込んでみたが何をしようとしたのか分からなくなった。

とりあえずカバンの中身を全て出してみたが教科書、筆箱、ペットボトル、マンガ特に変わりはない。


数週間、ずっと何かを探してるがその何かは分からないでいた。新人歓迎会のお店、自分の家、大学の教室、大学の落とし物コーナーを見て回った。


自分のモノは落ちてもなければ、拾われてもなかった。


4年後


僕は大学を卒業して社会人となり今は新人社員研修中である。

研修はとても大変だが一つだけ嬉しい事があった。研修中に同じグループとなった女性が同じ中学校だったことが分かり結構仲良くなったのだ。


女性の名前は今井さくら

中学校時代からとても明るく、優しい人で笑顔がとても素敵な人だ。


長かった研修も今日で最終日となり皆それぞれの部署に配属される。配属後は毎日顔を会わせることはなくなるだろう、僕は今井さんともっと仲良くなりたい。僕は思い切って同期の皆で次の休日にバーベキューをやろうと提案した。


皆も寂しく思っていたのか満場一致でバーベキューに賛成してくれた。


慣れないバーベキューの幹事だったが皆の助けもありバーベキュー当日を迎えることができた。


しかし僕は幹事なのでバーベキューの準備に追われ今井さんと話すことが出来ずにいた。

今井さんと楽しく話している同期達を見ると心の中が重苦しくなった。


とうとう今井さんと満足に話すことができないままバーベキューが終わりの時間になってしまった。


同期の皆は僕にバーベキュー企画してくれてありがとうとお礼を言う。今井さんと仲良くなりたいという動機で企画したバーベキューだが色んな人と更に仲良くなれて僕は嬉しかった。


バーベキューに使った机を片付けをしていると今井さんが手伝うよと机の端を持っていた。僕はとっさに男にやらせるから大丈夫だよ。と言ってしまった…せっかく2人っきりになれるチャンスだったのにと後悔していたら、


今井さんが「大丈夫だよ。私こう見えても力持ちなんだから。一緒に持っていこう」


机を一緒に持ってるだけだがとても幸せな時間だった。


今井さんは一生懸命、机を持ち上げながら言った。

「中学校時代を思い出すね。こうやって一緒に野外学習の片付けしたっけ」


僕は「懐かしいね、机はこの車に置いたら終わりね」

今井さんの腕の筋肉が限界だったのかホッとした表情で

「分かった!よし、これで終わりと」


机を運び終えて皆の元に戻ろうと二人で歩いていた。

今井さんが「今日みんなが楽しくバーベキューできたのはあなたのおかげだよ、ありがとう」

僕にはとても嬉しい言葉だった。何か気の利いた返事が思いつかないまま話し出した。

「いや…今回のバーベキューの目的は今井さんと少しでも仲良くなりたくて…その…」

僕は何を言っているのだろう。


今井さんは僕を見ないで答えた

「もうあなたの良いところ十分わかってるつもりだよ」

「え…」僕は足を止めて今井さんを見た。

今井さんも足を止めて僕を見て言った

「中学校時代もあなたは皆に優しくて、研修中もついて行けない同期に付き合って居残りして、今日も皆の為に頑張ってた。私は好きだな、そういう人」


なぜだか涙がこみ上げてきた。

今井さんが僕に好意を持っていたというより、僕のことを見てくれてた人がいたことがとても嬉しかった。


泣いている僕を彼女は優しく抱きしてくれた。

「辛かったんだね大丈夫だよ」


僕と今井さくらは付き合うことになった。


社会人にもいくぶん慣れてきた今日この頃、オフィス街で懐かしい人に出会った。松本である。


松本には一度しかあったことはないが、あの人懐っこい笑顔は松本だとすぐ分かった。


久しぶりの再開をお互い喜び合った。

別れ際に松本が言った「中学校時代に書いたラブレターの人には会えた?」

「ラブレター?」

「うん、確か今井…さくらさんだっけ?」

「え?なんでさくらの事を知ってるの?」

その瞬間目の前が真っ暗になった。


明るくなると大学の新人歓迎会のお店にいた。

目の前には松本がいる

松本はこう言った

「今井さんにラブレターを渡すパターンも体験する?」人懐っこい笑顔だった。

僕は笑いがこみ上げてきた「いやいい、ラブレターは僕に向いてなさそうだ」

カバンからラブレターを取り出してビリビリに破いた。


松本は消えていた。

いつも一緒にいてくれてありがと僕のラブレター。


あとがき

読んでいただきありがとうございます。


本作品は私が見た夢の内容を題材にしています。

作中に「私のピーチを奪って」という訳の分からない言葉がありますが夢でそう言われたからそのまま書きました。意味不明でしたねすいません。


おまけとして「ピーチを奪って」を伏線と考えて無理やり回収したらどうなるか考えてみました。


付き合ってしばらくたってからの何気ない会話

「さくらの好きな桃買ってきたぞ」

「やるぅー食べよう、食べよう」

「じゃー切るかな、うーん」

「どうしたの?」

「桃ってさハートの形に似ているよね」

「あー確かに」

「さくらに僕のピーチが奪われたと言うことか」

「くだらねぇー普通逆でしょ

私のピーチを奪って約束ね」

「うん、約束する」


また夢を見たら投稿すると思います。ではまた。

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