96.ルミナが白蛇を拾ってきました
私が面接や工事の調整をしている間、留美生がTHE Beauty部隊結成を結成していた。
構成員は、イザベラ、ルーシー、キャロル、マリー、レナ、イーリン、ヘレンの7名である。
イザベラの化粧は才能なしと中間報告を受けた時、やっぱりなと思ったのだが、コスプレにハマったみたいで〇〇風メイクと言えば出来る上達ぶりを発揮してくれた。
洗髪とヘッドマッサージしか取り柄がないと思ったのに、やれば出来る子だったのね! なんて、ちょっぴり涙が出ました。
THE Beauty部隊あらためコスメ部隊は、Your Tubeで日本のメイク術を習得しメキメキと技を磨いている。
そんなコスメ部隊に対し、留美生が新しい制服を作成していた。
しかも可愛い!!
クレクレしたら無視して市場調査の視察と称してイーリンを連れて出て行かれたが、諦める私ではない!
服飾部門の人材確保の採用権をぶら下げて強奪した。
でも、採用権はあげなかったけどね!
市場調査から戻ってきた留美生が持ち帰った白蛇が可愛かった!!
赤白や紅白よりも小さい蛇ちゃんだ。
「ギャァァアアッ! 何この可愛い子ちゃん!」
「市場調査してた時に拾った」
「マジか! 紅白が家に来た時くらいの大きさやん。スベスベしてテラ可愛ゆす」
「あんまり構ったら嫌がるから止めとけ」
と留美生に止められた。思わずハッスルして頬擦りしちまったぜ。
「名前とか付けたん?」
「うん、白に朱色と書いて白朱ちゃん」
「良い名前やね! うちの蛇ちゃんズと同じ赤と白かぁ~。留美生にしては、マシなネーミングだと思う」
グッと親指を立てて褒めたら、どこから取り出したのかハリセンで頬を打たれた。
それも思いっきり。ハリセンの軌道と同じ方向にゴロゴロと回転して壁に激突した。
「何すんねん!! 褒めたったのに!」
「どこがじゃ! 全然褒めとらんわっ。てか、寧ろ貶してるやん。私のネーミングセンスが悪いって言うんか!」
「え? だって、縁起でもない名前を付けようとしたりするやん。野良猫に納豆とか付けたりする奴に言われたくない」
「納豆が好きな猫やったんやから納豆って呼んだだけやもん! 私はネーミングセンス悪くない!!」
自称ネーミングセンスがあると言われても、過去の名付けでネーミングセンス0なのは明白だ。
「ハイハイ、ワロスワロス。で、白朱ちゃんも契約するからな」
「私が拾ったのにぃ! 赤白ちゃんも紅白ちゃんも私のなのに! 何でもかんでも契約すんな」
誰がお前のだ! 世話の1つもしない無責任野郎が言っていい言葉じゃない。
「じゃかあしい。山田家のルールは私! お前に権限はないんじゃ。それに、契約せんかったら念話も使えないやろう」
「くっ……確かに」
私の言葉に渋々ながら頷いた。
「んじゃ、契約すんで~。ステータスオープン」
契約しますかの表示にYESを選択し、名前をタップして白朱と入力する。
両手に収まる白朱のスータスを見ると、幸運と速度以外はしょぼかった。
---------STATUS---------
名前:白朱
種族:蛇/アオダイショウ(幼体)
レベル:1
年齢:0歳
体力:1
魔力:1
筋力:10
知能:15
速度:281
幸運:3872
■スキル:丸飲み1・絞め殺し1・念話1
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化]
■称号:レンの従魔・癒しのマスコット
■加護:須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命
■pt統合
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やっぱり赤ちゃんなのね。
念話を取らせてみた。
「白朱ちゃん、分かるかな? これから宜しくね~」
チロチロと舌を出しみょーんと体を延ばし頭を上下に振るだけで、何も聞こえてこない。
赤ちゃんだから言葉が分からないんだと思うが、こちらのニュアンスは伝わっているの……かな?
まあ、無事契約で来たので良しとしよう。
「白朱ちゃんの面倒は、誰かに見て貰おう……」
私も留美生も仕事があるし、アンナも新人教育の真っただ中。
他の連中もそれぞれ仕事をして貰っているし、う~ん。
そうこう悩んでいたら、
<わいらが面倒みたるで~>
<サクラも面倒みるですの~>
いつの間に現れたのか契約カルテットが、白朱に絡みだしている。
契約カルテットに面倒みさせたら、それこそ性格がデンジャラスになりそうなんだけど……。
「留美生、どう思う?」
「ちょっと……いや、大分心配なんやけど面倒見る人がおらんからな。任せてみたらどうや? 何かあれば報告してくるやろう。面倒見る事で愛着も出ると思うし良いんちゃう」
と何とも楽観的な返事をされた。
契約カルテットのような破天荒っぷりな性格にはならないで欲しいが、人でも居ないので任せするしかないか。
「じゃあ、ちゃんと面倒見てな」
<おう、任せとき>
<ちゃんと一人前の蛇にしたるわ>
<サクラもお世話するですの~>
各々自信満々にお世話を安請け合いしている。キシャーキシャーと鳴きながら変な踊りを披露している楽白を見て、後輩が出来て嬉しいんだねと心の中で思った。
白朱を契約カルテットに預けて、仕事だと思考を切り替える。
暴走集団契約カルテットからクインテットに変わるのは、そう時間は掛からなかったと後に留美生が泣きながら語った。




