95.化粧品会社Cremaオープン
はい、今現在山田家は求人広告の募集で回線がパンクしている状態です!
受付は、残念なことに1~4階が改装工事が終わっていないので、私たちの住居である5階で行われることになった。
なので、厳選した人物以外は全員サイエスに戻って貰うことにした。
受付員にワウル・キャロル・マリー・ジョン・ニック・イーリン。
面接官に私、ルーシー・アンナ、楽白。
覆面面接官に紅白・赤白・サクラ。
面接場所は会議室を使うことにした。
面接に来た人は、ダイニングキッチンで待機する方向で決まったのだが、1人意義を唱える奴がいた。
「私も面接官したい!! 何で私は面接官になれへんの? 副社長やで」
「いや、お前……副社長(笑)やん。お飾りだけの面接官は要らん」
「酷い!!」
留美生も面接官やりたいと駄々を捏ね始めた。
正直、物作りしか興味がない人間に面接が務まるとは思えない。
「新事業でアパレルとアクセサリーの部門作るんやろう! 私が居ても良いやん。接客業に難があっても、もしかしたら服飾関係の才能がある人が来るかもしれんやん」
泣きながら直訴してくる留美生に、ドン引きしながら仕方がなく面接官に加える事となった。
ぴょんぴょん飛び跳ねながら大喜びするのは、35歳にもなったババアがすることではないと思うが口には出さなかった。
「今言った人以外は、一旦サイエスの自宅に戻ってな。その間は、休みになるから羽伸ばしといで! 指名された者はお仕事になるけど、特別手当出すし頑張ってな」
「その特別手当、私も出るんか?」
シュパッと挙手しながら特別手当について、留美生がクレクレしてきた。
「出す予定。私の分も出す!」
「じゃあ、残業代もだ」
「出すわけないやん! お前に残業手当出したら、めっちゃ金かかるもん」
留美生の残業代クレクレに対し、遮って一刀両断したらキレた。
「じゃあ、あんたも残業代なしや!」
「何でやねん!! 馬車馬のように働いてねんから残業代くらいくれよ」
「じゃあ、私にだって権利はある!!」
留美生に残業代を出したら、お金が吹っ飛ぶ。
タダ同然で働かせることが出来る貴重な人材に、くれてやる金はない。
やっぱり残業代は出せないとなると、残りは役職手当で妥協しかない。
「じゃあ、役職手当やる代わりに残業代はなしな」
「分かった。勿論、お前と同額なんやろうな」
ギロッと睨みながら釘を刺された。
チッ、感の良い妹だ。
「ハイハイ、私も同額で良いですよ! だから、これ以上文句言うなよ」
「分かった」
留美生は、ブーたれた顔をしたが最終的には納得したので良しとしよう。
「じゃあ、今言った人は残ってな。それ以外は、サイエスの自宅へ移動して」
エレベーターの玄関を私が押して開けると、サイエスの自宅の玄関に繋がっていた。
指定した人以外全員をサイエスへ送り返した後、リビングで面接について説明を始める。
「よし、じゃあ面接について説明すんで。まずは、この場所で赤白・紅白・サクラは身を隠しながら面接に来た人の様子を監視。変な奴が居たら報告な。特にサクラ、見つかったらあかんで!! それから、受付はワウル・キャロル・マリー・ジョン・ニック・イーリンで交代で回すこと。面接の予約の電話対応、面接に来た人から履歴書の回収とお茶出し係な。これがマニュアルになるから、頭に叩き込んでおくこと。ルーシーは、面接に来た人の顔と名前を憶えてな。楽白は、虚偽がないか教えて。主にアンナと私で決める。合否は後日電話で言い渡す。留美生は、鑑定持っているんやから良さそうな人が居たらキープでチェックして報告。今回の募集で落ちても、千葉の工場で働いてくれる人の人員確保出来るしな。千葉の工場が完成するまでの間は、在宅で仕事してもらい給与は歩合制にする。実際に完成したら、引っ越しして貰って住込みで働いて貰うのが条件だけどね。引っ越し代は会社持ちだよ。だから慎重に選びなよ」
「OK。後、市場調査したいからキャロル達を借りるけど良いよね?」
「良いよ。でも、面接のときには戻ってきいや」
「了解」
ミーティングは終了し、WEB応募のリストを抽出して手分けして電話を掛け捲る。
出ない奴には、伝言に吹き込みして折り返しを待つ。
掛かってきた電話は、随時手の空いている者が受ける体制を取った。
掲載1週間で結構な人数の応募があった。
100人超えた辺りから覚えていない。
実際に面接日を指定したりと忙しかった。
その間、非常階段(裏口)から降りて病院に通ったりもしたよ。
電話だけでお腹いっぱいになったわ。
そして、面接開始日から地獄を見た。
分刻みのスケジュールで、本当に色々な人が来た。
虚偽の履歴書だったり、自慢話ばかりする中身のない人だったり、自己アピールが矛盾していたりと酷い。
面接のチェック項目を作り、パソコンで採点するシステムを作った。
犯罪歴や窃盗癖のある人は勿論却下。
人格優先で募集すると、やっぱりスキルが足りないんだよね。
全員の面接を終えるのに3週間かかった。
その間、着工で来た親方と打ち合わせするのに席を外したりと仕事に忙殺された。
留美生が欲しがった人員も確保出来たし、結果オーライだろう。
「1階を優先的に着工して貰ったから、直ぐにオープンする事は出来るけど……。接客スキルが足りないし、経験も足りない人ばかりだからなぁ」
「完全に丸投げは無理ですね」
アンナに痛いところを突かれて撃沈したYO。
新卒・中途採用含めて募集を掛けたが、面接時の履歴書に鑑定で見えたスキルをメモしていた。
接客の経験はあっても、殆どがヒラなのだ。
マネージャークラスの人は居なかった。
「最悪オープン日を延ばして、教育すれば良いんとちゃう? 教育は、アンナが適任やと思う」
確かに、商業ギルドでもそれなりの地位に居たと思う。
「アンナ、暫く彼らが使い物になるまで任せて良いか?」
「良いですけど、特別手当出ますよね?」
「……はい、出します」
流石金の亡者。しっかり特別手当を要求してきたよ。
特別手当の金額を交渉して、一月30万円で決着がついた。
本当は、もっと安く済ませたかったのに……とは口が裂けても言えない。
アンナ指導での社員教育がスタートし、その1ヶ月後に株式会社Cremaの新店舗がオープンした。




