94.ルミナお仕置き&求人広告
屋敷に戻り、自宅に帰ってみると留美生と男衆3人が居なかった。
残っていた者達に聞くと、ボトル作りに飽きて逃亡したとのこと。
急いで屋敷に戻り、留美生が帰ってくるのを仁王立ちで待った。
不機嫌な顔をしながら戻ってきた留美生は、私の顔を見た瞬間ヤベッと思ったのか青ざめている。
「あ~ん~たなぁああああああああああああ!! こっの! 馬鹿留美生ぁああああああああああ!!」
絶叫と共に繰り出された右ストレートが炸裂した。
体重を乗せて抉るように繰り出された拳は、留美生の体を吹っ飛ばすのは簡単だった。
ゴロゴロと床を転がり壁に激突している。
頬を押さえながらheelを掛けている留美生を絶対零度の視線をくれてやった。
「あんた、何、逃亡してんのっ! ボトル等を量産するように言いつけたよなぁ!?」
ギロっと睨み付けると、必死に言い訳してきた。
「だって、だって、耐えられへんもん! 向こうでも量産、量産やったやん」
安月給で駆けずり回っている私に対して、逃亡とは良い度胸だ。
「私だって交渉してたりして忙しかったの! あんたが代わりに交渉してくれるんか!?」
ああ~ん? とメンチきったら酷い酷いと喚かれた。うざっ!
「出来へんの決まってるやん! 酷い!」
「だったら文句言わずにノルマをこなせ! しかもカルテットも連れて行きやがって!」
留美生と契約カルテットを掛け合わせたら、面倒事を持ってくるんだから自覚しろよ。
「良えやん! あいつ等、放っておくと勝手に武器とか作成してんねんもん。最近は活動範囲広くなってるんやで!?」
「監視も仕事の内や!! 他に問題起こしてないやろうなぁ!?」
自然と声が低くなる。
私の問いにビクゥッと体を震わせる留美生を見て、嗚呼やっぱり面倒事を持ち帰ってきたのかと察した。
暫く無言で見ていたが口を割らないので、拡張空間ホームからハリセンを取出し側頭部を張り倒した。
「痛ぃいいいいいいいいいい」
ピーギャーと泣く留美生を放置して、三馬鹿男衆に事情聴取(と云う名の尋問)した。
話を聞くとセブールに居た時に絡んできたチームバルドと再会し、クレクレされたので私に丸投げしたとの事。
怒りが上限突破すると笑顔になるんだね。
ニコニコと笑みを浮かべながら、留美生の胸倉を掴みギリギリと締め上げた。
「何厄介事を背負ってんねん。殺すぞ……」
「ごめんなさい。糞チームが王都に戻ってるとは思わへんやん!」
腐ってもAランクなんだから、王都に居てもおかしくないだろう。
それにダンジョンも近いのだから、遭遇する確率の方が高いと考えろよ。
厄介ごとを背負いこんで押し付けた所業は許すまじ。
「ノルマ1万追加な。それが出来上がるまでは討伐はさせへんからな」
「勘弁してや!!!」
ノルマをさらに追加したら、ギャーッと悲鳴を上げているが知らね。
「これから商談の準備に入るから邪魔すんな、カス」
ペイッと留美生を捨てて、自宅へと戻った。
談話室とは別に会議室も作っておいて正解だった。
とはいえ、6人入れば狭くなるけどね!
アンナと会議室に籠り、1階で販売する基礎化粧品と化粧品について相談だ。
「化粧品を売るに当たってスタッフを募集しようかと思うんやけど」
「彼らを売り子として起用すれば良いのでは?」
「それも悪くないんやけど、結構色々やらかしているから調べられると困るんよ。それに、実際作成しているのは私やし。ぶっちゃけこの会社は一代で終わると思う。結婚・妊娠する気ないし。誰かに任せようと思っても、作っているのが私1人だけやしな。後任を育てて、任せる方法もあるけど。今のところは、素養がある人材がおらんから保留やね。作る工程を見せるわけにはいかんから、販売員は日本在住の人を雇おうと思う」
私の言葉に、アンナは成程と感心している。
「では、売り子を雇う方針で行きましょう。賃金はどうしますか?」
「固定給20万円、歩合で化粧品セット1つに対し1割還元でどうやろう。後は、社会保険・年金・失業保険・有給有くらいかな。社割で自社商品を購入できるようにするのはどうやろう?」
「悪くはないと思います」
「折角ビルの内装をすることやし、住込み社員も募集しても良いかもしれんね」
「そうすると1階は売り場、2階を住込み用のフロアにしてはどうですか? 3階を作業場、4階を住居にする方向はどうでしょう? 雇った社員は2階までしか行けない使用にすれば良いかと」
「そんな設定が出来るん?」
「工事する必要はありますが、エレベータードアセキュリティを使えば出来ますよ。詳しい事は、エレベーター会社に説明と見積もりを出して貰いましょう」
知らなかった。説明されても理解出来るか自信が無いわ……。
ここは、アンナに丸っとお任せしよう。
「じゃあ、私は求人広告とハローワークに求人募集掛けてみるわ」
「私は、エレベーター会社にアポを取って内装工事と同時進行出来るように調整してみます」
アンナは、そう言うと自前のタブレットを持って退出して行った。
出来る女は違うな。
というか、タブレットいつの間に買ったんだ?
スワロフスキーのストーンが散りばめられて目がチカチカしたよ。
しかも、ハローケティちゃんだったww
可愛い猫ちゃんシルエットをモノグラムで表現しているのが凄い。
どこで作ったんだろう。
自作?
思わず思考がそれてしまった。
「さてと、求人広告を探しますかね」
ネット検索しながら求人広告募集サイトを見まくる。
勿論、鑑定しながらだ。
小さくても手堅くきちんと仕事をしてくれる会社が良い。
ブラックな会社やお水系の広告を扱っているところはパス。
探すが、なかなか良いところは見つからない。
一度大手のタウンザワークやバイトールなどの大手会社に直接頼んでみるか。
ハローワーク、タウンザワーク、バイトールに求人を載せてもらう事にした。
販売員15名、事務員2名、店長1名、チーフ2名の計20名を正社員として募集する事にした。
経験・未経験問わず、学歴も問わない。
営業時間は10時~18時、1時間休憩あり、18時~19時までに店内掃除・売上計上・ミーティングをして貰って退勤。基本的に残業なし。福利厚生有。ボーナス有(給与2か月分/ただし売上や勤怠によって変動有)。固定給20万円/歩合有もしくは、住込み(光熱水費・Wi-Hi込み)の場合は固定給16万円/歩合有で出してみたら応募者が殺到した。
そして、私は面接漬けの地獄を見た。




