90.サイエスにて化粧品の納品です
本来のお仕事も忘れてません。
BBクリームや口紅などの試作品も作りました。
留美生に量産させたボトルに、2班に分かれて交代で詰め替え作業&梱包作業を頼んで、アンナを連れてサイエスにいます。
何でサイエスかと言うと、基礎化粧品の納期が近いので商業ギルドに顔を出すためである。
後、留美生作のポーチやアクセサリー類の販路確保もある。
ぶっちゃけ今のランクはFなので税金払うのは安くて済むんだが、どうも基礎化粧品だけでなく留美生が勝手に売り払ったアクセサリーが色々と話題を呼んでいるらしく、結構な高値で売り買いされているらしい。
特に貴族に。
面倒な事になりそうな予感でガクブルだよ。
アンナは、安定のキャリアウーマンで涼しい顔をしているが。
取敢えずは、せっつかれる前に基礎化粧品を下ろそうということになった。
化粧品のレシピを売るなと留美生には言われているが、逆に売って印税を貰う方が楽出来るんではないだろうか?
最終的に会社に印税が入るように持っていけば、後々サイエス組が食い扶持に困ることはないだろう。
アンナに個人ではなく、組織に印税が入るようにすることは可能か確認したところ可能との回答を貰ったので、特許の手配も併せて行うことにした。
化粧品のレシピは始まりの町の薬師ギルドに下ろして、あのババアに恩を売っておこう。
いつか何かの役に立つかもしれないし。
サイエスで買った豪邸から歩いて15分くらいのところに、ギルドが密集しているのは助かる。
自転車で移動することも出来ないしね。
地球の文化を無暗やたらに取り入れて、それが戦争などに使われたら最悪だからね。
出来るだけ厳選して作っていこうと思っている間、留美生とイスパハン・契約カルテットの馬鹿達が恐ろしい兵器の制作に着手しているとは知る由もなかった。
最近、体を動かすようになったからか15分歩いても疲れることはない。
「見えてきたな。じゃあ、アンナ交渉は任せるさかい頼むわ」
「お任せ下さい!」
キランッとエア眼鏡が光ったように見えた。
「7:3がボーダーラインやからな」
値切り過ぎるのは良くないよと暗に釘を刺した。
「そこは8:2だと思います。寧ろ9:1でも十分利益は還元出来ると思いますよ」
アンナは、完全に値切りモードに入っている。
「値切るのは良いけど、気持ち良く長く取引するなら相手に利を与えべきやで。それに、あくまで商売は此処での生活基盤を整えるための手段でしかない。うちの目的は当初に伝えているやろう」
糞神をぶっ殺す!
しかし、その糞神がどんな神なのかも知らないのが現状だ。
アンナの口ぶりからすると一神教みたいだし、商いをしながら各地の様々な情報を仕入れる目的もある。
「済みません。そうでした」
「アンナの実務や交渉の能力は買っているから、うちの目的さえ見失わなかったら良いよ」
「はい」
「じゃあ、売り込みに行くで! 留美生の作品は無名やから安く買い叩かれる可能性もあるから、そこはしっかり交渉してな。任せる」
パンッと軽く背中を叩くとアンナは私を見下ろして、
「お任せください!」
と花が綻ぶような笑みを返してくれた。




