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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ハルモニア王国王都
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85.蟒蛇たちの攻防戦

 内装の発注も終わり帰宅すると、グッタリとした面々がいた。

「何でこんなにグッタリしてん?」

 留美生(るみな)に聞くと、

「異世界での買い物だから、色々と緊張してたんとちゃう? あ、私のスマホも法人契約にし直したから。あんたらも法人契約に変更しときや」

と言われた。

 買い物疲れか。アンナとイザベラだけが規格外なのか?

 あの2人は、最初から楽しんでいたし。

 選択肢が多いと人の思考は停滞すると言われているから、自分の好きなブランドを見つけるまでは探求すれば良いと思う。

 まあ、それも自分の稼ぎの中からの話になるけど。

 サイエスよりも地球の方が先進的だしね。

 こと日本は、食に並々ならぬ執念があるから染まる日も早いだろう。

「皆、お疲れさん。一度に色んな体験をして吃驚したと思う。気疲れもあったと思う。でも、これから毎日新しいことが目まぐるしく襲い掛かってくるやろうけど、慣れるまでの辛抱やで! 慣れれば余裕が出来て楽しいと思えるやろう。ちょっと遅いけどご飯にしよや」

 パンッと両手を叩いて夕飯だと言ったところで、ワルフに水を差された。

「いや、もう食ってきたんすよ」

「何ぃ!! 外食したんか? うちには節約やって宅飲み強要するくせに、自分は外食してんのか! ずっこいわ」

 キィィイーッ! と金切り声で喚いたら、脳天にハリテンが飛んできた。

 スパーンッと良い音がしたが、むっちゃ痛い。

「じゃかあしいわっ! 大体、お前が押し付けたんやん。業務用のスマホとPCの購入とそれぞれの衣服の必需品の購入! どれだけ時間が掛ったと思ってんねん。慣れない場所で皆ガチガチに緊張してるのをエスコートする身にもなれ。それも1人やなく13人もや!」

「パンジーにご飯作って貰ったら良いやん」

「パンジーに私のご飯を再現出来るほどの力量はない! 今仕込み中なんやから黙っとれ」

 一気に捲し立てられギロッと睨まれた。

 これ以上文句を垂れると禁酒と嫌がらせ飯の刑になる気がする。

「済みません。じゃあ、私がつく……ガハッ!」

 言い終わる前に留美生(るみな)の拳が私の頬に抉りこんだ。

 軽く吹っ飛び床にゴロゴロゴロと転がった。

 殴られた頬にヒールを掛けて、怒鳴りつける。

「何さらすねん! いきなり顔面をグーで殴るか!!」

「お前に調理場荒らされたら手も出るわ」

 荒らすって酷い言い草だ。

 いや、そもそもキッチンに立ってもいないのに殴るってDVで訴えるぞ!

「大体、お前が作るもんは全部最終兵器になるやん」

「何その最終兵器な彼女的な例え方」

「お前の料理そのものが最終兵器だって言ってんの! あんたら、絶対に花令(かれん)をキッチンと工房に立ち入らせんなよ。入ったら最後、食中毒起こして三途の川を見たいなら止めへんけどな」

 留美生(るみな)は、ぐるりと新人諸君と古参を見て言い放った。

「あの、サンズノカワとは何ですか?」

 挙手しながら質問したのは、イーリンだ。

 他の面々も分からないって顔をしている。

「三途の川ってのは、死後の世界と現世の間にある川のことや。と言っても、死んだことないから本当にあるかは知らんけどな。花令(かれん)の料理を食べたら、死亡一歩手前まで行くでって事」

 留美生(るみな)よ。

 ざっくり三途の川を説明しているが、その例えは酷くね?

 姉ちゃん泣くぞ。

 隅でシクシクいじけて居るとポンとアンナが肩を叩いて言った。

「皆さん外食して来たみたいですし、私達も外食しに行きましょう。駅前にある居酒屋さんが気になっていたんですよ」

 滅茶苦茶良い笑顔をしている。

 駅前の居酒屋だと何店舗かあるがアンナの好みなら、

「のん兵衛マル八のことか?」

と聞いたら大きく頷かれた。

 あそこは料理はそこそこの美味しさだが、酒の種類はピカ一だ。

 この憂さ晴らしに飲みに行くのも良いね!

「うしっ、じゃあそこで夕飯食べよう」

 気分も浮上し意気揚々と出かけようとした私達に、

「ああ、あんたらのご飯なら冷凍庫に作り置きがあるさかいそれ食べや。外食という名の飲みは禁止やから。発泡酒は2本までやからな~」

留美生(るみな)が釘を刺した。

「何で留美生(るみな)らは外食して、私らはあかんの!!」

「そりゃ、改装費や備品揃えんのに金がかかるからに決まってるやん。それに、お前らだけで外食させたら諭吉さんが軽く10枚は飛ぶやん」

「そんなに飲みませんよ!」

 アンナも必死にアピールするが、留美生(るみな)はガンとして許してくれなかった。

蟒蛇(うわばみ)4匹も要らんわ。どうせ2人で飲んで帰ってきたら、蛇2匹がグダグダ五月蠅いからダメ! 認められん。どうしても外食したいならお小遣いから出して」

 小遣いという名の給与は、社長なのに月20万円。税金や保険料や何やら出したら手取りで16万円くらいだ。

 個人的な貯金もしたいから出来るだけ使わないようにしてるのに、自分のお金で飲み食いしたら直ぐにすっからかんになる。

「ううっ……宅飲みで我慢する」

「仕方がないです。そうしましょう」

 グスグスと半泣きになりながら、冷蔵庫をガサガサ漁って冷凍食品をチンして食べた。

 とっても味気なかったとだけ記しておこう。

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