77.新しい仲間が加わりました
突貫でビルの1フロアを改装して3畳の部屋を6部屋(鍵付き)と風呂とダイニングキッチンを作って、ビル購入とお社代でお金が吹っ飛びました。
自宅を売り払い、新居に移り新生活が始まった。
姫嶋神社から神主さん呼んで屋上のお社へお引越しもしたよ。
ヘビ様は、色々いちゃもん付けてきたけど天照大御神の後ろ立てもあって大きな嫌がらせはなかった。
毎日お水の代わりにお酒をお供えしていたら、夢に出てきてもっと良い酒寄越せとねだってきた。
翌日、大吟醸を献上したら夢にまた出てきておつまみも催促された。
どうやら私たちの生活ぶりを見ているらしい。
なので、1日1回私たちと同じ食事・おつまみ・お酒をお供えすることにした。
和解まではいかないけど、お供え物を欠かさずしている分には何も起こらないので良しとしよう。
「う~ん、結構使ったからお金を稼がないとヤバイな」
通帳と睨めっこしながらぼやくと、留美生がヒョイと顔を覗かせた。
「100万円切っているやん。ヤバくね?」
「正直ヤバイ。社とビルの改装・購入で結構お金使ったしな。金貨換金するにしても、一気にしたら色々面倒やから自力でお金稼がんとあかんのよ」
「化粧品セット(良)を販売したら?」
「コピーすると(普)になるんよ。神託のスキルをポイント使ってⅢⅩまで上げたからなぁ」
「また勝手にポイント使ったん! 一言相談しぃや」
「緊急やったんやから仕方がない! それよりも、これからどうするかや」
うーんと二人して唸っていたら、アンナが奴隷買いを勧めてきた。
「奴隷を買いましょう! 人手不足も解消されますし、生産性も上がります」
確かに生産性も上がれば、受注発注の規制も解除される。
しかし、当面の生活費がない。
由々しき問題である。
決断にうーんと悩んでいたら、頭にヘビ様の声が響いてきた。
『明日の10時に●◎駅前の宝くじ売り場で宝くじ買え』
「は? 何で宝くじ!?」
私の言葉にヘビ様からの返事はなく、独り言を喋っているように見られた。
「いきなり何なん。宝くじとか言っている場合ちゃうやろ」
「いや、ヘビ様が明日の10時に●◎駅前の宝くじ売り場で宝くじ買えっていうお告げがあってん」
「金に困っているから助けてくれるんやろうか?」
留美生の言葉に、私は心の中で絶対違うと思った。
献上される品が落ちたら嫌だから、宝くじで当てたお金で更に献上しろって事だろう。
言わぬが花。黙っているのが一番だ。
「お告げもあった事やし、皆で宝くじ買いに行こう」
幸運値の高い契約カルテットも連れていけば、誰か1枚くらい当たるだろうと思った時期もありました。
スクラッチとジャンボな宝くじを1枚ずつ買ったら、全員当たりました。
イザベラは300円だったけど、他は1等や2等といった具合で高額当選したYO!
ヘビ様ありがとう!
これで生活資金が何とかなった。
宝くじの税金対策は、ちゃんとした。当選証明書を発行して貰ったから大丈夫。
書類やお金関係は、全部アンナに丸投げした。
だって、私じゃ分からないもん。
彼女の方が、お金や事務関係は分かっているし、何よりお金大好きなので日本の経済誌など読み漁って自力で税理士の資格取った人だからね。
これでお金問題は解決したので、人員調達するためにサイエスに戻る事にした。
6日間も居たのは久しぶりである。
激動の6日間だった。
王都の宿に戻り、まず最初にした事は宿を出て商業ギルドに皆で向かった。目的は一軒家を買う事だ。
ぶっちゃけ宿を借りていると、日本とサイエスの行き来で時間を気にする必要がある。
なので、手っ取り早く一軒家を買えばその心配はなくなる。
「済みません。家を買いたいのですが」
「家ですね。畏まりました。担当を呼びます」
受付嬢が、魔法具で不動産担当を呼んでいる。
数分後に、七三分けの眼鏡を掛けたインテリ系おっさんが出てきた。
「ハウル・シルビアと申します。こちらへどうぞ」
通された部屋は、皆が座れるくらいの余裕がある大きな部屋だった。
円形のテーブルは、商業ギルドでは珍しい。
大抵長方形か正方形が多いが、ここは円形も採用しているのか。
なかなか人の心理を付いてくるギルドだ。
こちらも気を引き締めないと、足をすくわれそうだ。
「物件をお探しとの事ですが、どのようなのがご希望でしょうか?」
「白金貨10枚前後でお風呂の付いた広めの家を探しています」
「!? お支払いは即金になりますが大丈夫ですか?」
白金貨10枚と言ったら驚かれた。しかも、金払いの心配までされた!
「大丈夫です。お金ならありますので」
ウエストポーチに手を突っ込み、拡張空間ホームから白金貨10枚取り出した。
テーブルの上に置かれた白金貨を見て、インテリ眼鏡はゴクリと生唾を飲んだ。
「た、確かにお金はあるようですね。いくつか候補があります。ご案内致します」
お金を仕舞い、物件を案内して貰った。
色々見て回ったが、これと言って良いのが無く値段を上げようかと思ったら、
「一応、お客様の条件に合うのがあるのですが曰く付きでして……」
と歯切り悪く切り出された。買わないと思われたのか?
「見ます」
留美生が、何でそんな曰く付き物件をー!! とか文句を言っているけど知らね。
案内されたのは、商業ギルドから徒歩10分。丁度、貴族と庶民が住む区画の堺にあった。
厳密に言えば元貴族の家らしい。
確かに立派な佇まいで大きな庭も付いている。
中も部屋数が多くリビングも厨房も大きかった。
何よりお風呂が広くて気に入った。
「良いね! ここにする」
「いや、良くないから! この禍々しさ気付かないの?」
「そんなの気付いているよ。呪われてても問題ないし、ここを買います!」
ハウルは、え? 本当に買うの? と目を丸くしている。
「で、では、一度ギルドに戻って売買書をお渡しします」
「はい、お願いします」
即金でお支払いし売買契約書を貰って、意気揚々と曰く付きの館へ戻って来たヨ。
その間、留美生がブチブチ文句を言っていた。
曰く付き館に到着して、私は留美生に神聖魔法のヒールを館全体に掛けろと言った。
「留美生、敷地全体にheelを掛けて。全力でな。MP切れ寸前までやれ。MPポーションはあるから安心し」
「何でやねん!」
「お前のheelの方が、浄化出来るやん。お前、対アンテッド系には絶大な効果を発揮するheelをいつ使わんでどうすんの」
「だから、曰く付きで安く売られているこの館を買われたんですね」
納得とアンナが頷いていた。
呑み込みが早くて助かるわ。
「どうせ叩き売りしているんやろう。これ、正規の値段で買おうとしたら白金貨10枚じゃ足りひんで」
「そうですね。安く見ても白金貨80枚は要るかと思います」
「やろうね。てなわけで、サクッとheelしてや」
早くしろとせっつくと、留美生は渋々heelを敷地全体に渡るように掛けた。
ギャーとかウァァワアアとか変な声も聞こえたが、強制的に昇天させられた悪霊だから問題なし。
heelを終えた留美生は、息絶え絶えになっている。
「お疲れ様」
「ほんまごっつう疲れたわ」
ゼイゼイ言いながら、MPポーションを煽っている。
「これで浄化完了したし、住めるな!」
と言いながら扉を開けたら、メイドが立っていた。
思わず扉を閉めていた。
見間違いか? と思ってもう一度開けたら、メイドが立っている。
「留美生のheelを食らっても成仏しない幽霊って初めてみたわ」
「スケルトンキングを一撃で倒すくらい強力なのに、凄い精神力ですね」
私の呟きにアンナが感心したように同調する。
「いや、そこちゃうやん! 何で成仏してへんことに焦ろうや」
「そこのメイドちゃん、悪いんやけど。これから此処に住むから成仏してくれへん? 嫌なら、無理矢理昇天させるで」
留美生にMPポーションを飲ませ、heelを打たせようとしたら、メイドが慌てて縋りついてきた。
「待って下さい。危害を加えるつもりはないんですぅ!! ここに縛り付けられていたせいで、自力で成仏出来ないんですぅ」
「じゃあ、害はないと?」
「はい、ありません!!」
半泣きになりながら必死に無害アピールする幽霊メイドを見て、うーんと唸った。
このまま放置しても良いが、それだと後から入ってくる仲間(奴隷予定)達が困惑するので契約することにした。
「じゃあ、私の従魔になる? 契約すれば、好きな時に成仏出来るし此処にいても良いよ」
「はい、はい! それでお願いしますぅ」
パァッと顔が明るくなった幽霊メイドの頭に手を置くポーズを取ると、<幽霊メイドが契約されたがってます>と表示されたのでYESを選択した。
名前は無かったのでパンジーと名付けたら、パッと身体が光り額に太陽の模様が浮き出ていた。
ステータスを確認すると幽霊メイドではなくなっていた。
---------STATUS---------
名前:パンジー
種族:ドモヴォーイ(家の精霊)
レベル:25
年齢:18歳
体力:∞
魔力:0
筋力:3
防御:3
知能:145
速度:27
運 :200
■装備:メイド服
■スキル:索敵∞・罠∞・メイド∞
■ギフト:[拡張空間ホーム共有化]
■称号:[レンの従魔]・[メイドの中のメイド]
■加護:[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
■pt統合
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声が出ない。ステータスの鑑定が壊れたかと二度見したが、変わらなかった。
「今度は体力馬鹿が下僕になったんか」
と留美生が言った。
「阿迦留姫命様の加護が追加されとる。皆、ステータス見せて!!」
確認すると、全員が阿迦留姫命の加護が追加されていた。
戻ったらお礼を言いに行かなければならないな。
「阿迦留姫命様の加護を貰ったから、幽霊からドモヴォーイに変化したんやな」
「どういう事なん?」
「阿迦留姫命様は、決断と行動の神様。美の神様とも言われとるんや。由来は、太陽のように赤い玉から生まれた阿迦留姫命様は新羅、古代の北朝鮮な。そこの王子と結婚したんやけど、王子が凄いモラハラ男で、それに耐えかねて三行半言い渡して日本に帰って来てん。夫を捨て海を渡り再出発した阿迦留姫命様は、女性達に機織りや楽器などを教えた事で『決断と行動の神様』『美の神様』として女性達の信仰を集めたんよ。多分、それが影響して変化したと思う」
「日本最古の国際離婚やと思うわ。凄いな阿迦留姫命様。むっちゃ尊敬するわ」
「新しい仲間も加わった事ですし、今日は宴会にしますか?」
とアンナが提案した。お前は、ただ酒が飲みたいだけだろう、とは突っ込まないでおく。
「家の精霊になったお祝いも兼ねて宴会にしよう! 明日からやる事はいっぱいあるで」
こうして新しい家を購入したら、新しい仲間が漏れなく付いてきた一日だった。




