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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ハルモニア王国王都
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75.不動産巡り

「私とアンナはやることがあるさかい、留美生(るみな)は2人の服とか準備したって。ヤマタ電気でパソコンとスマホ購入もしといてな。後、戸籍は大丈夫! 昨日ハッキングして作ったさかい。これからは、山田イザベラと山田ワウルになるからな」

 私は、それだけ言い残してアンナを連れて自宅を後にした。

 行く先は不動産だ。

 昨日言っていた中古ビル丸ごと購入の話を実現させるために、物件探しをすることにした。

 何件か不動産を見て回り、5階建てのビルを見つけた。

 築4年で新築と云っても良いくらいなのに、叩き売りされていた。

 5000万円(税込)って完全なる曰く付き物件だろう。

 間取りを見ると、全フロアが事務所になっている。

 トイレとコンロが全フロアに付いている。

 エレベーターと階段も完備だ。

 物件としては魅力的だが、実際に見に行くと霊感のない私でもかなりヤバイと思った。

 不動産の人にズバッと聞いてみた。

「ここで何かありました?」

「はい。神社を潰して建設したため、怪異現象が多発して入居される会社が次々と倒産するという事で買い手が見つからないんです。売主も相当病んでしまい、今は親族の方が代理で売りに出しているそうです」

「その潰した神社は何ていう神社ですか?」

「姫嶋神社の分社だと聞いてます」

 蛇を祀っている神社やんけ!

 やりなおし神社として一部では有名な神社だ。

 決断と行動の神様『阿迦留姫命』は、美の女神でもある。

 本社には『住吉大神』や『神功皇后』もお祀りされている由緒ある神社だ。

 一度伊勢に行って天照大御神の許可を貰って、本社にお参りして事情を話して許可を得てからやな。

「済みません。この物件キープ出来ますか?」

「買うつもりですか!?」

 私の言葉に、ビックリしている不動産の人。

 色々曰く付きな物件を購入しようとしていること自体驚きなんだろう。

「曰く付きなのは分かってますが、5000万円はちょっと高いですよ。3000万なら即金で購入します」

「……一度、売主と相談させて下さい」

 半額ではないが、結構な値下げを要求している自覚はある。

 でも、神様の恨みを買っている時点で相手は直ぐに手放したいだろう。

 今は売主と入居者が厄を貰っているが、時間が経過すれば関わった者全てが厄を貰う事になる。

 この物件を見つけたのは何かの縁である。

 阿迦留姫命は、日の出の太陽を表す赤い瑪瑙の玉の化身だ。

 太陽神信仰の私にすれば、この女神も十分信仰の対象だ。

 丁重に祀り直せば私たちに利益を齎してくれるはず。

「良い返事を期待しています」

 携帯番号を交換して、不動産の人とは別れた。

「良いんですか? 私でさえも尻込みしそうな雰囲気でしたよ」

「日本の神様は、荒ぶる神様ばかりだからね。大体、神主呼んで神様をお帰りの儀式してから建てるならともかく、何もせず神社を潰すなんて罰当たりな事をしたのが悪い。今から伊勢に行って日本の最高神にお伺いを立てに行く」

「え!? 神様って他にもいるんですか?」

 神様は一神と信じていたアンナには、驚愕の事実だった。

「日本には八百万の神がいるからね。八百万っていうのは、いっぱいって言う意味やで。この世に存在する全てに神様がおるって考えや。お米にも神様はおるし、トイレにも神様はおる。いつでも何処でも神様はおるんよ。人が神様になることもあるけど、祟りを収めるためにお祀りして祟り神だったのが、今では勉学の神様になっとる。外国は一神教が多いけど、日本はちゃう。疫病神のような人から嫌がられる神様も居れば、福の神のように人が好む神様もおる。良くも悪くも神様は神様。何かしてくれるわけやないけど、人の心の拠り所であり畏れ敬われる存在や」

「それって意味があるんですか?」

「あるかどうかは知らん。信仰するしないは自由やし、強要するもんやない。でも、居たら凄く素敵やと思わへん? 私の家にも神棚があるやろう」

「いつも拝んでいるアレですか?」

 神棚と云っても、お札を3つ立てて置ける簡易的なものである。

 主神である天照大御神と氏子である八坂神社、金井金比羅宮のお札がお祀りされている。

 どれも毎年欠かさずお参りに行っている場所である。

 後、伏見稲荷やサムハラ神社なんかも年に数回お参りしている。

「アンナが思い浮かべたのやつ。今日、生きられてありがとう御座いますって感謝すんねん。まあ、同じくらいお願いも多いけどな」

「どんなお願いしてるんですか?」

「皆が無事に一日過ごせますようにとか、商売が上手く行きますようにとかやね」

 俗物的なお願いも多いけれど、殆どは自分が行ってきた結果が今出てきている。

 神様は見守ってくれるだけで、何かしてくれると期待してはいけない。

「縁があったからアンナと出会って、一緒に商売しとる。これも神様が縁を結んでくれたんかもしれん。そう思うと凄く素敵な事やと思わへん?」

 私の言葉に、アンナはフッと笑みを浮かべた。

「フフフ、面白い考えですね。確かに、そう言われると素敵ですね」

「やろう? 三重に伊勢神宮がある。そこに日本の最高神が居を構えてはるから、今から向かうで」

「分かりました」

 私は、留美生(るみな)のスマートフォンに電話を掛けたが留守番電話に切り替わったので伝言を残し、その足で伊勢神宮に向かった。


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