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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ハルモニア王国王都
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72.闇市の招待券

 話が長くなりそうなのと、アンナにも動いて貰う事になりそうなので自宅に戻ってきています。

 留美生(るみな)は、アトリエに籠りっきりだ。

 情報通と云う称号だけあって、ワウルは私や留美生(るみな)の事もある程度は知っていた。

 しかし、顔までは知らなかったようだ。

 留美生(るみな)と出会ったのが、彼にとって運の尽きだ。

 アンナをリビングに呼んで、闇オークションについて根掘り葉掘り問い詰めた。

「それで闇オークションは、どこで行われるの?」

「三日後、マーキュリーホテルの地下で行われるっす」

「興味はあるけど、そういうのって入場制限あるんじゃないかなぁ?」

 凄く興味はあるが、入場制限掛けられていたら入るすべがない。

「へい、そうなっすよ。主に貴族か大富豪が出席してます」

 ワウルの言葉に、私はやっぱりと溜息を吐く。

 私は「行けたら良いな~」の考えだが、容子(まさこ)は「絶対行く」と言い張るだろう。

「そうなると、Sランク冒険者の肩書は逆に邪魔になるかも」

 冒険者=野蛮と捉える貴族は多い。

 商人として飛び入り参加した方が、良いかもしれない。

「ワウル、飛び入り参加出来るものなの?」

 チラッと彼を見ると、ブンブンと首を横に振っている。

「いや、無理っすね。紹介状とかないとダメっす」

「だよねー。そう思った。ワウル、ちょっとお使いに行って来て。そのオークションに出品者側として参加出来るように手配して」

 私の言葉にワウルが、物凄く焦った顔で首を横に振っている。

「いやいや、無理っすよ! 第一、出品って何を出品するつもりなんっすか?」

「セブールの商業ギルドで、白金貨150枚で買い取った杖の話は知ってる?」

「ええ、まあ」

「対になるローブがあるとしたら? 売れると思わない?」

 私の言葉に、ワウルの目が点になっている。

「は? え…ええ??」

 カルテットの制作した物(やらかした)は、世に出せないだけで拡張空間ホームの中に残っている。

 整理した時に、『紙装甲な貴方にお勧め!極力物理無効化ローブ』なんてものを発見した。

 一見ただの白いローブに見えるが、鑑定すればチート級アイテムである。

 カルテットが、大人しく言う事を聞くような奴らじゃないのは身に染みて分かっていた。

 しかし、何をどうしたら高性能なアイテムが出来上がるのだろう。

 相変わらず、ネーミングセンス0だし!

「杖同様の高性能なローブなら、出品も容易ですね」

「アンナ、これ見てよ。契約(テイム)カルテットが、またやらかした」

 アンナにローブを見せると、乾いた笑みを浮かべている。

「性能は良いですが、ネーミングセンスがちょっと……」

「他にもあるけど、武器は売り捌くつもりないし。あいつら、平気で物騒な物を作るからな。今あるので一番マシなのがこれやねん。極力物理無効化とか謡っているけど、9割は無効化されると思うわ」

 血圧が上がりそうだ。頭を抱える私に、アンナは良い笑顔で闇市の競売に出しましょうと言い出した。

「性能は勇者の装備品にしても良いくらいの出来です。残念な名前は、この際無視しましょう! 留美生(るみな)様に印を入れて貰ってきます。これなら正面から堂々と参加出来ますよ」

 競売にかければ結構な値が付くことは予想出来るが、後々面倒な事にならないか心配だ。

「面倒事にならないかな」

「国王と言えど、商業ギルドを敵に回せば経済の停滞が起きますから大丈夫です」

 経済を停滞させて国力を削ぐのかい!

 つくづく怖い事を考えるな、この人は。

「アンナが大丈夫なら問題ないやろう。それを三日後の闇市に出品する手配を取って」

「分かりました。では、少し出かけてきますね」

 アンナは、そう言って部屋を出て行った。

 そして流れる静寂の時間。

 ぶっちゃけおっさん相手に何を話せば良いのか全然分からない。

 留美生(るみな)が拾ってきた奴だしなぁ。

「取敢えず、あんたの事について何か話してや」

「なんて適当な!」

「ネタが無いんやもん。提供くらいせーや」

「無茶ぶりが酷すぎるっす」

 根掘り葉掘りワウルの生い立ちから現在までの軌跡をBGMとして聞き流し、参加ついでに新作のドレススーツやアクセサリーをお披露目しよう。

 勿論、詐欺メイクして美人のアンナには劣るがクラスに3番目に可愛いと言われるくらいの顔は作れる……と思う。

 後で、留美生(るみな)に突貫で新作のドレススーツと小物一式を作って貰うことにした。

 おっさんを拾ってきたツケは、きっちり身体で払って貰うぜ。

 フフフフと邪な笑みを浮かべている私は、ワウルが怯えているなどつゆ知らず、どんなデザインにしようかな~と考えていた。




 1時間後にアンナが満面の笑みで戻り、手には闇市の招待券が握られていた。

 キッチリ4枚も持ってくるなんて、本当に有能だ。

 留美生(るみな)もアトリエから出てきたところを確保し、かくかくジカジカでと説明し、闇市の為の新作ドレススーツと小物を作ることを要求した。

 アンナは赤い薔薇がモチーフ、留美生(るみな)は菖蒲をモチーフに、そして私は牡丹をモチーフにした和風ドレススーツを作って貰うことにした。

 ゴスロリ要素は控えめに、民族衣装っぽいけどスーツなので袖が広がっているとか、スカートがマーメイドラインになっているという変わったものだ。

 勿論似合うように作られているし、それに合わせての口紅やチークも作った。

 ワウルは、なんちゃって執事服を作って貰ったのでそれを着てもらうこととなった。

 突貫の割には上出来だと思う。

 メイクは私が担当したよ! Your Tube様様である。

 自分でするより人に施した方が綺麗に仕上がるのは何故だろう。

 私のメイクは、アンナにお願いした。

 留美生(るみな)にさせたら、コケシみたいになるから折角のスーツも台無しになってしまう。

 アイテムボックスの機能を付与してもらったシャルルのハンドバッグを手に、いざ闇市が開催されるホテルに私たち+契約(テイム)カルテットは乗り込んだのだった。


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