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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ハルモニア王国王都
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65.ハルモニア王国の王都に来ました

 やっと着いたよ、ハルモニア王国の王都!

 セブールを出てから何やかんやあって半月も掛かったよ。

 自宅とサイエスの行き来に時間掛かったからなぁ。

 原付と電動スクーターが無かったら、もっと掛かっていたかもしれない。

 道中は、嫌というほどボス級のモンスターと対峙していたからなぁ。

 レベルが上がりまくっても仕方がない。

 入所のところで3度は見られた。

 冒険者と言えば納得されるかもしれないが、私の中で冒険者はあくまで副業。

 本業は商人だ。しかし、何故かポーションを始め色々作らされている。

 家に置かれている化粧品は、全て私作の奴だ。

 私が化粧後に清掃(cleaning)を掛けているのを見られて、留美生(るみな)だけでなくアンナまでも真似し始めた。

 お陰で肌はぷるぷるで艶々している。実年齢35歳と言われても信じて貰えない。

 特にサイエスでは、子供扱いされる。商談の時は、流石に化粧をするのでギリギリ成人したと思われるみたいだ。

 解せぬ。

「冒険者ギルドに事のあらましを報告してくるから、お前らお留守番な」

 トラブルメーカーの留美生(るみな)を連れて歩くと、もれなくカルテットもついてくるのでカオスな空間が出来上がるのは間違いなし。

 お留守番でブーイングが出たが、丸っと無視を決め込んだ。

「私も一緒に行きます。私も冒険者登録が必要ですし、何より今回の件は許しがたい事ですので、しっかり報告しなくてはなりませんもの」

 ホホホホッと笑う顔は、目が全然笑ってなくて怖い。

 私以上に怒ってないか、アンナさん。

 それはさておき、留美生(るみな)&カルテットと別行動を取ることにした。

 欲しいものがあれば拡張空間ホームからお金を取出して使えば良いし、結構稼いでいるので多少の散財も目をつむろう。

 私はアンナを伴って冒険者ギルドを訪れたのだった。




 流石王都だけあり、冒険者ギルドの規模は大きかった。セブールの街も大きいと思ったけど、その倍以上はある。

 3階建てなのか、1階は受付・2階は図書館・3階はギルド職員の住居になっているようだ。地下1階と2階が模擬戦闘が行われる場所のようで火力の高い魔法を打っても問題ないように結界が張られている。

 これだけ厳重かつ充実していると、流石としか言いようがない。

 ギルド職員もしっかりとした対応をしている。怠慢も奢りもない。

 職員の数も受付だけでも100人は超えている。戦闘要員や清掃・厨房の職員などを含めたら1000人はいるんじゃないだろうか。

 そう考えると、王都のギルドマスターは相当のやり手と見える。

 心して掛からないと、こっちが食われる。

 受付嬢にギルドカードを提示して、ギルドマスターに報告したい事があると伝えたが、アポを取ってないため却下された。

 まあ、飛び込み営業のようなものだと思えばなんてことはない。

「セブールの街付近に1万のゴブリンの大群が発生していた事についてお知らせをしにきました」

 そう言葉にした瞬間、周囲の空気がビリビリと張りつめた。

「その情報は本当ですか?」

「はい、討伐しましたから」

 その言葉に、張りつめていた空気が解ける。そして、馬鹿にしたような目で見られた。

 大法螺吹いていると思われたようだ。

「ギルドカードで討伐内容が出来ますよ。ここに来るまでに色々狩りましたので、結構遡らないと確認出来ないかもしれません。後、これゴブリンキングの剣です」

 布の鞄に手を突っ込み拡張空間ホームからゴブリンの剣を取出した。

「確認します」

 ゴブリン王の剣を鑑定し、ギルドカードも預かられ中身を確認している。

「確認出来ました」

 青ざめた顔で剣を返された。まあ、こんな成りでもレベル400だしね。

「セブールの冒険者ギルドの腐敗が酷いのと、ゴブリン襲撃の情報が無かったので、その報告をしたいんでギルドマスターに会えませんかね?」

「至急、確認します」

 魔法具でギルマスに連絡を取っているのだろう。数分待たされて、10分だけならと許可が下りた。

 10分で終わる内容ではないのだが、面会出来ただけでも良しとしよう。

 事が事なので、事態の重さに相手が気付いたなら話す時間は必然的に長くなるだろう。

 3階の一番奥にある仰々しい凝った扉を開けて貰うと、品の良い調度品が飾ってある。

 シンプルだけど良い物で揃えているのが分かる。

 セブールは成金ぽかったけど、こっちは本物の金持ちって感じがする。

「ハルモニア王国の冒険者ギルド本部へようこそ、レン殿。そして値切りのアンナ殿。私は、本部のギルドマスターをしているジョン・タイターだ。気軽にジョンと呼んでくれ」

 馴れ馴れしい奴だな。何て言うかキモイ。

 アンナってば、そんな変な二つ名があるとは驚いた。

 しかし、値切りのアンナと言われて彼女は聊か不機嫌だ。

 まあ、そんな変な二つ名はごめんだわ。

「先程、受付の者からセブールにゴブリン襲撃の情報がなく君1人で討伐したと言うのは間違いないのかね?」

「間違いありませんよ。元々、セブールには昇級試験を受けるために行ったので。ゴブリン討伐は、成り行きですね」

 本当に完全に成り行きだ。まさか、1万のゴブリンと遭遇するとは思わないじゃない。

 そんな確率1億分の1もないでしょう。

「念の為に、ギルドカードを拝見しても良いかな」

「どうぞ」

 ギルドカードを渡し、討伐内容をチェックされる。

 私が今まで狩ったモンスターがズラーッと現れている。

 頑張ってスクロールして流し見している姿が滑稽だ。

 王都に来るまでに結構な数のモンスターを狩ってきたから、ゴブリンを探すのは大変だと思う。

 15分ほどしてギルドカードを返された。

 今まで討伐してきた内容を見たんだろう。

 顔が青ざめている。

「確かに確認した。レベルがギルドランクと見あって無いように思える。昇級試験を受けていかないか?」

「それは構いませんが、ゴブリンの件を詳しく話しても宜しいでしょうか?」

「勿論だ。詳しく話してくれ」

「実は、かくかくしかじかで……」

 私がセブールでされた事や、ゴブリン襲撃の情報が遅れた事などを私情を挟まないように伝えた。

 ジョンは、顔を赤くしたり青くしたりと忙しかった。

「はっきり言って、ギルドマスターの肩書はダリエラさんには荷が重いと思いますよ。正直あの腐った体制を何とかしないと、モンスタービートが起こった時に対応しきれないと思いますけど」

「君たちが居てくれなければ、ゴブリン軍にセブールを攻め落とされていたかもしれん。ダリエラの対応には、査問会を開き厳重な処罰を下そう」

「そうして下さい。後、セブールの冒険者ギルドの立て直しも合わせてお願いします。どうも、天下りっぽいところがありますので」

「う、うむ。それも早急に対応しよう」

 うしっ、言質は取ったどー!

「しかし、君みたいな若い子がレベル400とは驚きだ。1万のゴブリンを討伐出来るならCランクではなくSランクでも良いだろう」

「私一人だけ飛びぬけてランクが高いと困るんですよ。アンナや妹とパーティを組んでいるので、良くてBかAランクですかね」

「アンナは商業ギルドを辞めてきたのか!?」

 え、そこに驚くの? おっさんの驚くポイントは、私には理解できなかった。

「レンさんと一緒に行動すれば、実入りも良いですし。何より彼女は商人ですから」

「いや、それを此処で言っちゃう?」

 薬師ギルドと冒険者ギルドは副業で、本業は商業ギルドで化粧品などの販売だからアンナの言っていることは強ち間違ってはいないけど。

 そうはっきりと言われると気恥ずかしい。

「商業ギルドの職員ではなくなりましたが、商業ギルドに登録はしておりますよ。レンさんとこれからも行動を共にしますので、私も冒険者ギルドに登録することにしましたの」

「アンナは、流石に戦闘は無理だろう」

「いや、風魔法が得意で後方支援して貰ってますよ。レベルも80以上だし」

 レベルの上がり方が異様に早いんだよね。

 恐らく契約(テイム)した者は、須らく私の経験値倍化が適用されるんだと思う。

「嘘だろう……」

「いや、本当です。登録すればレベルも分かるでしょう」

ということで、アンナも冒険者ギルドに登録することになった。

 冒険者ギルドカードに名前・レベル・ジョブ以外を伏せさせてジョンに提示すると、頭を抱えている。

「お前の妹のレベルも聞いて良いか?」

「確か300後半だったと思いますけど」

「お前ら人間じゃねーわ」

 何とも失礼な本音がジョンから飛び出した。ぶっ飛ばしてやろうか。

「パーティで行動しているので、ギルドランクは統一したいんですよ」

 バラバラだと受けられるクエストが違ってくるからね。

「後、従魔に蛇と蜘蛛とスライムが居ます。蜘蛛は、ここに来る前に契約(テイム)したので序にギルドカードの情報に追加しといてください」

 ギルドカードを渡すと、手早く追加してくれた。

 王都のギルドは仕事が早いね!

「形式だが昇級試験を受けて貰う。Sランクになるが、一応形式は大事なんでな」

「じゃあ、全員がSランクって事ですか?」

「そうなるな。パーティ戦と個人戦の二つを行うから、都合の良い日を教えてくれ」

「明日で」

 こっちの1日が、日本じゃ1週間になるんだもの。

 面倒臭いことは、さっさと終わらして化粧品を売ったり王都の色んな物をウィンドショッピングしたい!

 私が昇級試験の話をしている頃、留美生(るみな)が一足先にウィンドショッピングをしていて王都の売り物が日本製より遥かに劣ることにガッカリしていたとは思いもよらなかった。


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