42.必殺採取人
サクラ・蛇ちゃんズはショルダーバッグの中、楽白は留美生のフードの中に入れて索敵と隠密を使って薬草の群生がある場所へ原付と電動スクーターで移動した。
隠密を発動させて拡張空間ホームを出せば良いじゃんと思うようになり、次第に悟りを開いた。
開き直るって素晴らしい!
原付は音がするので、電動スクーターに暫く二人乗りして、索敵で人の気配がない場所で降りて原付に乗りなおす。
ガソリン代が馬鹿にならないのが辛い。懐がね、直撃するんだよ!
セセコマシイと言われるかもしれないけど、ずっとサイエスで過ごすつもりは無いし、老後の為にはお金は大事!
サイエスの自称神様をぶっ潰して、華麗に地球へ帰還し悠々自適な生活を送るんだ。
そんな事を考えながら、無事薬草の群生に辿り着きました。
ここまで魔物に遭遇してないのが、ちょっと怖い。
幸運持ちが3匹いるから?
ここに来る前に、死亡フラグを立ててくれたギルドのお姉さんの言葉が頭を過る。
考えるのは止そう! 採取するぞ!!
採取人は留美生と私。蛇ちゃんズ+留美生チームは薬草、楽白とサクラ+私チームはマナ草を探す事にした。
二手に分かれて探した方が効率が良いからだ。それに、留美生達では分からない虫よけや解毒剤・魔物除けの薬の材料は見つけられない。
虫よけの薬は残っているけど、それ以外はないからね。
どんな時でも薬はあった方が良い。
「留美生、土の付いた状態で採取してね。10束をタコ糸で結んで拡張空間ホームのアイテムフォルダにいれれば良いから」
「了解! これが終わったらドワーフの洞窟に行けるんだよね?」
妹よ、鳥頭過ぎるぞ。人の話を聞いていたのかい? ポーションなど作り終えてからだと何度も言ったのに……。
「ポーションとか作ってからね!」
「チッ」
舌打ちしているが、もう無視だ。
「サクサク刈るわよ!」
「おー!」
従魔達もやる気を出して、鑑定しまくる。流石、群生地だけあって薬草とマナ草の宝庫だ。
雑草も時々混じって出てくるけど、圧倒的に薬草などの方が多い。
「1/3は残しといてね。暫くしたら、また此処で採取するから」
「サイエスってゲームをベースに作られているんでしょう? だったら、薬草もリスポーンするから問題なくね?」
留美生、いい質問だ。だがしかし、
「必ずリスポーンするとは限らないし、検証してないから分からないもの。ここは、刈りつくすより残すことを選択した方が賢明だと思う」
刈りつくして、新しい群生地を探すのは面倒だとは言わないでおく。
「まあ、一理あるね」
「頑張って!」
留美生に発破を掛けつつ、私も必死にマナ草とそれ以外の薬になる草や木の実を探した。
結構豊富に取れたと思う。拡張空間ホームのアイテム欄を見ると凄い勢いで数が増えていくのが分かる。
自重を知らない者同士が組み合わさったら、劇薬になる悪い意味での良い見本だ。
私は、程々にしておいたけどね!
薬師ギルドに行けば、新しいポーションや薬などのスクロールが手に入るだろうし、薬になりそうなのは片っ端から入れておこう。
そんなこんなで採取作業から4時間経過した頃、我慢の限界だと言わんばかりに留美生が音を上げた。
「もう疲れたぁ~。お腹も空いた! 腰は痛いし、もう休もうよ」
<わしらも何か食いたいわ>
<サクラは、プリンというのが食べたいですぅ~>
楽白も疲れたと言わんばかりに、動かない。
まだ10時なんだけどなぁ。
「お昼には早いから、お菓子で我慢して」
みんなにcleaningを掛けて、折り畳みテーブルと椅子を出した。
大皿とお徳用パックの和菓子詰合せを拡張空間ホームから取出して皿の上に盛る。
<大吟醸は?>
「赤白ちゃん、朝からお酒はあかんでしょう。夜に出してあげるから我慢だよ」
これでも食ってなさいと、饅頭を口に突っ込んだら黙った。
というか、物理的に黙らせた。
「一服したら正午まで採取して、昼食取ったら狩りに出かけて良いよ。私は、先に薬師ギルドに戻って上位ポーションのスクロールを手に入れてポーション作りに励むわ」
昼に解散だよと言ったら、全員が留美生と行動すると言った。
本当、主思いだね! ちょっとは、私を構ってくれても良いじゃない?
のけ者にされた感が半端ないけど、自分で言い出したことだし、調合の時に居ても構ってやれないので仕方がないと自分に言い聞かせた。




