39.拡張空間ホームGETだぜ
飯抜き令を発令を発動したが、余りにも五月蠅かったので今回だけ許すという形を取った。
今後の方針を決めるため、一旦自宅へと戻る。
スマートフォンのアラームを3日と5時間後に設定してある。サイエスに戻れば朝の6時になる。
時間の流れが同じだと、何かと便利なのに管理が面倒くさい。
スマートフォンに留美生が、契約した4匹に何を上げたのか聞きだしアプリに登録する。勿論、バックアップも忘れない。
自宅のリビングで4匹と二人で、食事を取りながら今後の方針を決めることにした。
「昇級試験も終わったし、3日と5時間は自由にして良いよ。サイエスでは翌日6時にあたるから」
「了解」
<箱の中やなくて、もっと広々と過ごしたいわ>
<せやせや、狭すぎる>
脱走蛇共、おまいらを捕獲するのにどれだけ時間を費やしたと思ってるんだ。
「脱走するからダメ。それに、部屋中でウンコやオシッコされたら困る」
私の答えはNO! 断固許さない。触れなくなっちゃうしね。
「ウンコとオシッコ、水浴びはゲージでする事を条件にして放し飼いにしたら? サクラちゃんを見てたら自由に動き回りたいと思うのは仕方がないよ」
と、妹の裏切りにあった!
妹の言うことは一理あるけど、何でもかんでも飲み込まないか心配だ。
<サクラもみんなと遊びたいのぉ~。あるじー、だめぇ?>
サクラたんテラカワユス罪!
「うん、サクラがそういうなら仕方がないよね。紅白ちゃんと赤白ちゃん、絶対その辺にあるものを口に入れない。ウンコとオシッコと水浴びはゲージで絶対すること! 約束出来るなら自由にして良いよ」
<<分かった>>
綺麗にハモリましたね。そんなにゲージが嫌だったのかい。
ちょっぴり傷ついたよ。温度や湿度管理に気を使ってたのに、契約したことで何か変化があったんだろうか?
楽白は、テーブルの上で何やら1匹怪しげなダンスを踊っている。
この子は、生まれたてだからなのか私ですら意思の疎通が出来ない。
面白いから放っておこう。
「これからの事なんだけど、昇級試験も終えたし暫くはセブールの街に滞在してレベル上げしようと思うんだけど。ポーションとかも作りたいし」
下級ポーション(劣)や魔物除けの薬や解毒剤が売り捌いて底をついたからね。
素材集めて作らないとダメだ。
始まりの街に比べて魔物が強くなっているし、中級や上級ポーションを作れるようにしておきたい。
それには、薬師ギルドに行って中・上級ポーションのスクロールを読み込む必要があるんだけど……。
また、缶詰でポーション作りさせられるのかなぁ。
「私は、ドワーフの鉱山に行ってみたい! そしてアトリエが欲しい。スキルで拡張空間ホームが取得出来るんだよ!」
「……その心は?」
「希少な鉱石をGETして、アクセサリー作りに没頭したい!」
「却下」
そんなものを持たせたら、留美生がアトリエに籠りっきりになるのが分かり切っている。
「何で!」
「だって籠りっきりになるじゃん。寝食忘れて没頭されたら困るし。この話はこれで終わり!」
お終いだと強引に切り上げたのが悪かったのか、楽白ちゃん以外だれも私に近づいてくれなくなった。
触ろうとするとサッと逃げられる。
それが2日も続くと心が折れた。そう、バキバキに!
留美生の奴め、みんなをお菓子とかで釣ったんだ!
酷いよ。私がご主人様なのに。誰も私の言う事聞いてくれない。
仕方がないので留美生を呼んだ。
「……拡張空間ホームの習得して良いよ。だから、皆を触らせて!」
「やった!」
<約束の酒は弾んで貰うでぇ~>
<うちは、塩ウニ食べるんや>
<アイスアイス>
念話が駄々洩れだよ、おまいら。
やっぱり食べ物に釣られたのね。1匹は飲み物だけど。
契約されているのに、ご主人様を無視し過ぎだと思います!
ぷんぷんと怒っても、結局あの可愛い子たちを前に怒りは長続きしないのだ。留美生を除いてだけど。
「留美生、ステータスのポイントどれくらいあんの?」
「ちょっと待って。確認するわ。ステータスオープン」
---------STATUS---------
名前:ルミナ[山田留美生]
種族:人族
レベル:49
年齢:18歳[35歳]
体力:156→162
魔力:263→281
筋力:91→100
防御:78→84
知能:123→128
速度:53→68
運 :70→77
■装備:カーキーのカットシャツ・黒のパンツ・スニーカー
■スキル:料理4・射撃5・神聖魔法1・神官1・生活魔法1・索敵1[5]・隠蔽2[7]・隠密[7]・魔力操作1・念話1
■ギフト:なし[アイテムボックス共有化]
■称 号:[レンの従魔]・蜂殺し
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■ボーナスポイント:5484pt]
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アイテムボックスの上位である拡張空間ホームは、20000pt必要だった。
「妹よ、残念なお知らせがある。拡張空間ホームは20000pt無いと取得できないよ」
私の言葉に、妹はその場で崩れ落ちた。そんなに欲しかったのか、拡張空間ホーム。
私は使ってないpt+セブールまでで狩ったモンスターのボーナスptが残っているから取得は可能だが、態々留美生のために取得する気になれない。
「サクラのpt使っても良い?」
<うん。良いよ~>
本気ええ子やぁ。
「何でサクラちゃんのpt使うん? それじゃあ、サクラちゃんしか拡張空間ホーム使えないじゃん」
ブーブーと文句を垂れる妹に、私は特大の溜息を吐いた。
「拡張空間ホームはアイテムボックスの上位なの。私達、アイテムボックス共有化しているのお忘れ? サクラが拡張空間ホームを取得すると自動的に私達も使えるようになるの!」
私の説明に、パァアッと顔が明るくなった留美生。本当に現金すぎる。
「じゃあ、サクラお願い」
<わかった~。んーんっ、取れたよぉ>
自分のステータスを確認するとアイテムボックスが拡張空間ホーム共有化に変更されている。
これで留美生の要望は叶った。
「ちゃんと拡張空間ホーム共有化に変更されているよ」
「うぉお! これで思う存分作業出来る。ひゃっほぉい!」
両手を上げて変な踊りをしている妹に釘を刺しておく。
「拡張空間ホーム使うのは構わんけど、整理したアイテムとか滅茶苦茶にしたらぶっ飛ばすからね」
「はひぃ」
間抜けな返事が返ってきたけど、まあ良いか。
拡張空間ホームに留美生用と花令用、アイテム用、お金用のフォルダを新たに作った。
私もポーション作りで部屋を汚したくないし、かといって薬師ギルドに缶詰になるのはゴメンなので、これはこれで有りなのかもしれないと思った。




